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メッセージウィンドウに読みやすい文章を収めるコツ


☆この記事はゲーム制作者が自由な記事を作る Advent Calendar 2021の12月11日の記事です。☆

アドベントカレンダーからいらっしゃった方は初めまして、こんにちは。
フリーゲームを作ったり、小説を書いたりしている時雨屋と言います。

アドベントカレンダーから来てない方もこんにちは。
「12月の25日まで、特定のテーマでブログ記事を書いていく」っていう企画があるんですよ。
他の方のブログもめちゃくちゃ面白いので、是非読んでみてください。

軽いノリで参加したら周りがレジェンドばっかりでビビり散らかしています。


さて。
今回、時雨屋が解説するのは「ゲームウィンドウに文章をうまく納めるコツ」です。

日本語にはいろいろ種類ありますが、
ゲームに表示される文章というのは結構特殊で
「枠という制約」が非常に大きいのです。

ちなみに、時雨屋さんは、文章・ゲーム制作における
ズブのド素人なので、「ふーん、ド素人がなんか偉そうに言ってるな」と鼻くそをほじりながら読むといい塩梅の記事かと思われます。

それでは行きましょう。


1.改行位置

私はよくRPGを作る人なので、それっぽいサンプルメッセージを作成しましょう。
そうだな……じゃあスタンダードに。

「ここから東にある森に、ゴブリンたちが巣を作ってしまった。
 薬草が取りに行きたいのに取りに行けない。病気の母がいるのに困った。
 勇者様、どうかゴブリンを倒してほしい。」

みたいな感じのことをNPCに言ってもらうことにしましょう。

ではどうぞ!

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まくし立てるな。

小説を書いてる私が言うのも何ですが、
人間って字がびっしり書いてあると嫌になる生き物です。

しかも今はSNS社会ですからね!
3行以上の文章なんて誰にも読んでもらえませんよ。マジで。

しかし、そこはTwitter社会。
日本人総活字中毒社会でもあります。

すなわち。
「適度に分割すると、長い文章でも読んでもらえる」のです。


さあ、まずこの文章を適度に改行を入れましょう。

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ゴブリって誰よその女!!!

メッセージウィンドウ内の改行位置って本当に重要です。
単語の中では極力改行しない方が良いでしょう。
小説(ページの中)だとこんなこと絶対ないんですが、ゲームの中だとよくある。

では、以上を踏まえて、いい感じに改行しましょう。

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よみやすくなったね。

サンプルでは右側寄りに立ち絵があるタイプのゲームなので、結構高頻度で改行しております。(立ち絵に文字がかからないようにするため。)


2.小説の禁則処理をどこまで適用するか

禁則処理っていうのは、なんか原稿用紙のルールのアレです。
あまり深く考えなくていいです。

①感嘆符
原稿用紙だと、感嘆符のあとにスペースを入れます。
つまり! どう言うことかと言うと? こういうこと!! なんですよ!

しかし、それは原稿用紙の上での話。
ゲームのウィンドウの場合ではどうすればいいのでしょう。

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どれが見やすいですか?
ぶっちゃけこのへんはどうでもいいですね。読みやすければ何でもいいと思います。
ここは原稿用紙の上じゃないので、原稿用紙のルールは適応しなくてもいいのです。でも個人的には、あ! の後にスペース入れたほうが読みやすいですね。皆さんはどうですか?

かんじが つかえなかった
ファミコンや ゲームボーイの じだいは
こんなふうに スペースを あけて
よみやすく して いました。

おそらく えいごの ぶんしょうの スペースあけを 
さんこうに している のでしょう。

Thank you Mario!
Your quest is over.
We present you a new quest.
Push button B to select a world.

②三点リーダ
原稿用紙上では……(三点リーダ)は「2つ続ける」or「偶数個使う」が鉄則です。(なんでかは知らん)
が、個人的にゲーム内に三点リーダは1つでいいと思います。

具体的には、「……。」よりも
「・・・。」「…。」が良いと思うのです。

ただでさえ文字数制限が厳しい中、2つ「……」で使うより、「…」の方が文字表示数が少なくて済むのですよね。

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ドラクエっぽい感じで1文字ずつ「ぽぽぽぽぽ」と表示される場合は、「……」よりも「・・・」の方がリズムがいいような気がします。

まぁぶっちゃけこれも何でもいいような気がしますね。お好みで。


③話題の分割

私が今使っているツールがツクールなのでツクールで話を進めてしまいます。
ツクールのウィンドウには、文字を4行入れることができます。

サンプルテキストはこちら。

聞いてください勇者様!
実はここから東にある森にゴブリンたちが住み着いてしまったのです!
物凄く困りました! だって、私には病気の母がいるのですから!
超困りました!
勇者様! 
倒していただけませんか?
お強いんでしょう?ね?ね?ね?


さて、この文章、
どこでウィンドウをめくりましょう?

先ほどの「いい感じ」を使用して改行し、
そのままコピペするとこうなります。

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悪くない。
でも、なんか、文脈をもっとスッキリさせたい。

こう分けてみるのはどうでしょう。

話題①(情報提示)
聞いてください勇者様!
実はここから東にある森に
ゴブリンたちが住み着いてしまったのです!
話題②(理由提示)
物凄く困りました!
だって、私には病気の母がいるのですから!
話題③(お願いごと提示)
超困りました! 勇者様!
倒していただけませんか?
お強いんでしょう? ね? ね? ね?

うん。
なんかスッキリした気がする。

まぁこれが最適解というわけではないのですが、
ご提案の1つということです。

例えば、私だったら②は別のイベントで提示しますね。
この村人Aの家を作って、寝込んでる母親のイベントを作るとか。


さて。
ここまで述べたことは、全部ウィンドウがあるRPGの話をしています。
これが例えば、パズルゲーのルール説明文とかだと、また「読みやすさ」の話は変わってきます。

例えば、文章が画面にびっしり出てくるタイプのノベルゲームだと、
あんま改行しなくてもいいような気がします。

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こういうゲームだと、別に改行位置どうでもいいですね。
文字通り「ノベル(本)ゲーム」なので、そんなに気にしなくていいのです。ひぐらしとかもこんな感じだった気がします。


そもそも、最近はゲーム画面の解析度が高いので、文字を小さくして、1行に結構な文量が入ります。文章レイアウトなんかまったく考えなくていい気もしてくる。

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特に何も考えずに「。」の後に改行を機械的に入れてる例。これでも十分読みやすいしシンプル。

ネット小説時代の改行位置ってホント難しくて、

ネット小説では
「1行あけろよ!!!!1行と言わず2行以上!!!ユーザーが読みにくいだろ!!!」
と怒られ、

文壇への投稿小説では
「最近の作者は改行しすぎ!!!! 1行開けすぎ!!!死ね!!!!!」
と怒られまくっています。何なん。

まぁ媒体(PC,スマホ表示,物理紙)の差が一番大きいとは思いますが。

3.結局文章とは何なのか


文章とは。

テレパシーです。
人にモノを伝える手段です。
例えば、私が文章を書きます。

「テーブルの上に犬がいる。犬の首輪には、8という数字が書いてある」


さて、2021年12月4日の11時09分に私が書いたこの文章は、
時を超えて、場所を超えて、アナタの目に届き、あなたの脳に今入りました。

あなたが想像したテーブルは、様々な形をしているでしょう。
こたつの机かもしれない。ダイニングテーブルかもしれない。
PCテーブルかもしれないし、クロスのかかっている白いテーブルかもしれない。

犬も様々です。
ダックスフンドを想像したかもしれないし、ドーベルマンを想像したかもしれない。
黒いかもしれないし、白いかもしれない。
子犬かもしれないし、老犬かもしれない。

だけど、首輪に書かれた「8」という数字だけは、絶対のはずです。
16でもなければ、4でもない。6.1でもなければ4/3でもない。
絶対に8なのです。

これが文章なのです。
モノを伝える力です。

(ここまでスティーブンキングの『書くことについて』の受け売り)


4.まとめ

文章を書くコツは簡単です。

「わかりやすく、簡潔に。」

文章は他人が読むものである以上、
「人に伝えること」を念頭に置かないと成立しません。
(自分しか読まない文章であっても、未来の自分は他人と定義します)

そして、ゲームにおける文章というのは「プレイヤーの行動をガイドする・ルールの説明をする・物事を伝える」という点において、
むっちゃくっちゃ重要なのです。

で、「文章は簡潔に」とか言ってるくせに、
今回のブログはだいぶ長くなってしまったのでこの辺で。

他にも書きたいことあるんだけどね。
夏目漱石に始まる日本語の言文一致の歴史とか、
3Dゲーにおけるウィンドウと立ち絵の処理とか。
まぁ、そのへんはまたの機会に。

それでは。


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