HSPについて知ってほしいこと

HSPとは?

HSPは「人一倍繊細な人」という意味で、これまではシャイや心配性と呼ばれていた方々を総称して呼ばれる言葉です。

外向的な人を基準に考えられてきた人格の表現では、HSPの方々はどうしてもネガティブに捉えられることが多く、当事者たちも自分に対して劣等感を抱えてしまう例も少なくありません。

HSPは生まれ持った気質で、具体的には以下のような症状があります

・感受性が高く、一度に多くの情報を吸収してしまう。
一度に情報を多く集まれられるという点は長所として活用は可能ですが、取り入れたくない情報も大量に摂取してしまうため、脳や心のキャパシティを超えやすい一面を持っています。

・音や匂いに敏感。
本人が意識していなくても、情報を収集してしまうため、自身がコントロールできない環境下での音や匂い(テレビの音、花火の音、タバコのニオイなど)に非常に敏感になってしまう。

・ゆっくり多角的に考えることができる。
一つの物事に対して多角的に考えることは長所ですが、長い時間が必要であるため、すぐさま返答をしなくてはいけない場面では、疲れやすい一面があります。加えて、キャパシティを超える状況が続くと、この長所は表に出てくることなく、衝動的な行動(怒りや周囲の関係をすべて切ろうとするなど。)を取りかねないです。

・慎重で危機管理能力が高い。
真正面から取り組みトライアンドエラーを繰り返すよりは、じっくり観察をし、対象にじっくり向き合うことのほうが、HSPの方は向いてます。しかし、この特徴は見方を変えるとウジウジ悩んでいるように見える場合もあり、行動を起こすまで時間を要するため、不安を抱えてしまいやすい一面もあります。

・共感力が高く、気配り上手。
周囲の人から影響を受けやすいため、共感力の高さは他の人たちよりも優れています。その点、周囲から影響されやすい点は、自身に関係のない争いなど、ネガティブな影響を受けてしまう一面もあります。

・誠実で責任感がある。
HSPの方々の多くは「他人に迷惑を欠けたくない」という思いを抱えている方が多く、必要以上に責任を取ろうと頑張ってしまいます。

・想像力が豊かで、内的生活を充実しやすい。
他の人が見逃すようなものからも、影響を受けやすいHSPの方々は他の人よりも、インスピレーションが湧きやすく、これらのインスピレーションを上手に昇華できれば、価値ある創作物を生み出すことができるそうです。その代わり、一度インスピレーションが湧き出すと、止まらないこともありますので、深夜に情報を収集することは避けたほうがいいでしょう。


以上のように、感受性の高さを軸にしたHSPのいくつかの症状を紹介しましたが、HSPの方々がこれから過ごしていくにあたって、最も重要な考えは、特徴を踏まえ、自身の特徴を理解し、落ち着いて過ごせる環境にいれば、人一倍幸福を感じることができる点です。

これは、この後に紹介する内容においても軸となる考えでした。



HSPの方がなってしまいやすいいくつかの問題

感受性が強いHSPの方々は、以下のような問題を抱えてしまいます。

・自身に高度な要求をしてしまう。
・罪悪感や羞恥心に苛まれてしまいやすい。
・恐怖心を感じることが多く、憂鬱になりやすい。
・怒りを上手に放出できない。

これらの問題の背景には、まず「自尊心のなさ」が大きく影響しているそうです。

自分はありのままでは受け入れてもらえないと考えてしまうため、受け入れられるために自身に高いハードルを設け、それを超えられなかった際には、罪悪感を感じ、自身を必要以上に責めてしまう。

しかし、ありのままの自分を受け入れてもらえる場所を手に入れれば、見せかけの自分を作る必要がなくなり、高度な要求を自分にする回数を減らすことができますし、これらに続く罪悪感なども発生しにくくなります。

恐怖心については、持つこと自体は否定されていませんが、HSPの方々は必要以上に恐怖を抱えてしまうため、収集がつかなくなることがあります。そのため、想定する恐怖は最悪の事態だけに絞り、その最悪の事態に備えて準備をしておく、そうすれば、抱えている恐怖は将来に向けての備えに変わり、最悪の事態を想定しているので、そこまでの被害がなかった場合も、「最悪の事態にならなくてよかった」と少し前向きに考えることができるようになってきます。

怒りについては、「怒りを悲しみに変える」という方法が提案されていました。怒りはエネルギーを大量に消費してしまうため、HSPの方々にとっては、キャパシティを超えてしまいかねない危険な行為。その代わり、怒りを悲しみに変えることで、「こうならなかったらよかったのに」と目の前の状況を客観的に捉え、「この状況を避けるにはどうすればよいか」と未来に対し考えを向けやすい環境をつくり、自身が落ち着いて過ごせる環境を作っていくための条件を把握していくことが、人生をより豊かにしていくための第一歩となるのです。

HSPの方が周囲と接するために

HSPの方々が周囲の人と上手く付き合っていくには、

・自分自身の限界(キャパシティ)を理解する。
自分がどこまで許容できるのか、どこまでいくと疲れを感じてしまうのかなどを把握することで、事前に休憩を取ったり、疲れてしまうような環境から身を引いたりすることができる。

・自分の認識と相手の認識のズレを減らしていく。
「もしかしたら自分の言葉で傷つけているんじゃ…」「自分はよく思われていないんじゃ…」といった、HSPの方々が抱える恐怖心を減らしていくために、相手に直接自分のことをどう思っているかを対話の中で聞く。非常にリスキーな行動に思えるが、それ以上にHSPの方々が抱える恐怖心は、精神に大きなダメージを与えてしまうのです。

・接し方をコントロールする。
HSPの方々は浅い話や世間話が苦手な代わりに、自身の内面や興味ある話題に関しては、非常に気持ちが前向きになるため、今自分がしているこの会話は、浅いのか深いのか、を把握し、コントロールしていくことで、会話からくるストレスや刺激をへらすことができる。
浅い話や世間話は、「個人を特定しないような、誰にでも当てはまる内容」であり、深い話に進むにつれ、「個人の内面」に近づいていき、最も深い話は「対話している当事者同士の関係性」となります。
もし、浅い話が続いていれば、会話相手の内面について話を持っていくことで、ストレスや刺激を和らげることができるかもしれません。


はじめにも述べましたが、HSPの方々は自身が落ち着いて過ごせる環境では人一倍幸福を感じる事ができる。そのため、今自分がいる環境を少しでも理想の環境に変化させる、または、環境を丸ごと変化させるなど、自身が過ごしやすい環境を作っていくために、自分自身を理解すれば、自分自身の人生をより豊かにしていくことに繋がるわけです。

HSPの方が自分と関わっていくために


自分を理解するためには、どのように自分と関わっていくのか。

・外から入ってくる情報の調整
周囲の情報に敏感であることを活用して、自身に効果的なものに限定する。(芸術・自然・動物・読書など)目を閉じたり、イヤホンで音楽を聞くなどして、入ってくる情報に制限をかける。身体を動かす。

・自身の内側を見つめたり、向き合う時間を作る
周囲の情報を遮断して、自分に入ってきた大量の情報を整理する。特定の言葉などについて哲学的に考えてみる。創作的な活動をしてみる。

・自己愛を身につける
自分は周囲の人間と異なっていることを自覚するとともに、それは決して悪いことではないと自身に言い聞かせる。周囲と異なる自身を責めるのではなく、客観的に見た自分に寄り添い、守ってあげる。それを繰り返して自己愛を少しずつ高めていく。


自己愛を手に入れ、自分らしく過ごす場所や関係、そして自身の力で自分らしく振る舞うための計画。これらを身につけていくことで、HSPの方々は人一倍幸福を感じられることができる。

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