西 加奈子著『夜が明ける』の感想
有休を取得して一気読みしました。『夜が明ける』読んでたら日が暮れてたわけです。
貧困や社会的弱者に関する本は一般の人よりも読んでいるし、そもそも私自身、大学に行ってなくて、25歳ぐらいまで定職についていなかったり、30代にして1年以上無職の時期を過ごしたりしているので、自分は主流からは外れてて、ある程度分かってる方だと思ってました。
ただこの本を読んで、自分の想像力のなさにちょっと泣いてしまいました。
最後の方で2016年から2020年ぐらいに現実に起こった出来事が色々と取り上げられています。その当時はもちろん酷い出来事だと思ったり憤ったりしたものの、大してダメージを受けるような出来事ではありませんでした。
しかし、アキや主人公の人生を追体験してから、その出来事を再度まとめて突きつけられると、圧倒的に生々しく身を削られるようなダメージがありました。
読む前と比べて出来事自体から受けるダメージも大きくなっていたのですが、その出来事に大したダメージを受けていなかった過去の自分を鑑みることによるダメージがデカかったように思います。まぁ、想像力の欠如は責められることでもないとも思ってますけどね。
『夜が明ける』は読む前と後では少し世の中の見え方が変わるような、物語の、小説の持つ持つ力をまざまざと見せつけられる本だと言えます。
不寛容の源泉には、余裕のなさがあるんじゃないかと思うので、自分や周りの人がそうならないように生活することヤバくなる前に助けを求めることを心掛けたいと思ったりしました。
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