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本気になれば変えられるかもしれない

石油開発を取り巻く環境はここ数年で激変したように感じます。

かつては日本でも「石油の一滴は血の一滴」とも言われていました。この言葉は第一次世界大戦中ドイツとの戦いの中でフランス大統領が語ったという有名な言葉です。

私が石油開発会社に入社してからも、石油を取り巻く環境には大きな波がありました。油価が上がり石油の安定供給に不安が出てくれば自主開発原油確保や代替エネルギーを求める声があがり、油価が下がり石油がだぶつけば、「安い原油を海外から買えばよいではないか」との声があがり、石油開発に対する風向きは大きく揺れ動いてきました。

そのたびに石油業界も右往左往してきたように感じます。

しかし最近の気候変動を危惧する世界の潮流は、いまだかつて感じたことがないほど化石燃料の将来を左右するものだと感じずにはいられません。

コロナが流行り始めた頃、私たち自身が健康と命を守るために生活を激変させたように、私たちは本気を出せば生活習慣を変えたり、エネルギーのシフトを達成したりすることは可能なのではないかと感じます。

世界の多くの石油会社は化石燃料だけに頼る将来像は描けなくなってきています。一方で再生可能エネルギーへの転換もどのぐらいのスピードでどのぐらい力を割けば良いのか、自信が持てない状況なのではないかと思います。

化石燃料からの撤退の道筋、原子力に頼らない決意、そして時間を区切った思い切った再生可能エネルギーへの転換の不退転の決意、そのための企業や研究機関への思い切った補助など、社会全体が覚悟を決めなければならない時期に来ているのではないかと感じます。

私たち石油開発会社は石油産油国とともに、化石燃料に頼る社会の幕の引き方をそろそろ真剣に考えなければならないのかもしれません。

世界の弱者を切り捨てることなく方向転換を図るには、力や技術のある国々の協力が必要です。日本はその先頭に立つ覚悟はできないものでしょうか?


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