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社内技術コンサルティング

技術職で経験を積んでくると、だんだんと社内で技術コンサルタントのような仕事が増えてきます。

若い技術者が行っている業務に対してアドバイスしたり、あるプロジェクトのピアレビューを行ったり、マネージメントからの相談に乗ったり提案したり、外部コンサルタントやコントラクターの仕事をチェックしたり、組織間の調整を行ったり等々。

幸い、私は長く海外赴任をしていて石油開発の操業会社に所属していたことから、石油開発の最前線にいられたので、この歳になるまで自分自身で手を動かしながら油田開発計画の基礎となる油層モデルを作る機会や、現場で得られるデータを直接見ながら様々な検討を行う機会がありましたが、それでも社内コンサル的な仕事も多く抱えていました。

技術コンサルタントとは結局は人と人とのコミュニケーションで成り立つ仕事だと思います。技術的な課題や問題ももちろん重要なのですが、私に相談を持ちかける人たちが本当は何に困っているのか、どんなアドバイスを期待しているのか、私に何をしてほしいのか、まずは知ることから始まります。

相談を持ち掛けてくる人は、焦っている人もいれば、怒っている人もいます。やる気ばかりが空回りする人、自身を失って消極的になっている人、責任を転嫁したい人、自分で成果を上げたい人、いろいろな人がいます。

比較的若い頃はそのような人と人とのコミュニケーションで成り立つコンサルティング的な仕事でかなり神経をすり減らしていました。自分でもくもくとこなせばよい技術的な仕事に比べて、自分自身ではコントロールが効かない部分が多いように感じていたのです。

そんなころ同じように社内コンサルティング的な仕事が多かった同僚から紹介されたのが、ジェラルド・ワインバーグ (Gerald Marvin Weinberg) さんの「コンサルタントの秘密 – 技術アドバイスの人間学」(木村 泉 訳、共立出版)です。

この方はソフトウェア開発やプログラミング、コンピューター科学の分野ではあまりに有名な方なのでご存じの方も多いと思います。

この本はコンサルタント業務での「あるある」に満ち溢れていて、それを自身の言葉なのか、誰かの言葉を拝借しているのか、とにかくユーモアにあふれる「法則」「理論」として簡潔に表現しているのが傑作なのです。

私はずいぶんこの本に助けられたような気がします。すべての悩めるコンサルティング的な業務をこなす人々に役に立つ、かどうかはちょっと自信がありませんが、日ごろ技術コンサルティングで神経をすり減らしている人にはぜひ一度読んでみて欲しい本です。

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