木造校舎と手回しサイレン
NHK連続テレビ小説「らんまん」。海外赴任でNHKの朝ドラは今まであまりフォローしていませんでしたが、この「らんまん」については久しぶりに1話目から録画しながら欠かさずにたどっています。
主人公のモデルと言われる牧野富太郎さんの植物図鑑を子供の頃目にしたことがあったのもこのドラマを見るきっかけとなりました。そして今、すっかりはまっています。
ドラマに出てくる東京大学の植物学教室の建物。あの場面を見ていると、私が通っていた小学校や中学校の木造の特別教室 (音楽室や理科室) を思い出します。
当時からとても古く年季の入った校舎で、取り壊されて立て直される直前でした。木造なので火事になるとあっという間に燃え尽きるとのことで、当時の避難訓練は真剣そのものでした。
特別教室の準備室には古い教材や木箱に入った見たこともない不思議な道具が沢山ありました。
小学生だったある日、音楽の授業が始まる前の休憩時間に、友達と音楽室の隣にある準備室に忍び込んで古い道具を見ていました。その中に手回しハンドルの付いた「サイレン」と書かれた道具がありました。ハンドルを回すと丸い筒の中で金属の羽が回転して、音を出す仕組みのようです。
私は後先考えず道具を手に取ると思わずハンドルを回してしまいました。すると思いもよらぬ大きな音でサイレンが鳴り始めたのです。ハンドルを回した張本人の私自身びっくりするほどの大きな音でした。
その時、「先生がきたぞ」という友達の声が聞こえ、焦った私は何とかこの大きな音を止めなければと思ったのでしょう。筒の隙間から指を突っ込んでしまったのです。
指先に鋭い痛みが走り、音は止まりましたが、指を引き抜くと真っ赤な血がぼたぼたと吹き出ていました。それを見た私も友達も別の意味で焦り、やってきた音楽の先生に「すいません!指をけがしました!」と報告し (実はこの場面の記憶があやふや)、ハンカチで指を抑えて保健室に駆け込みました。
幸い、傷はそれほど深くなく、保健室で手当てをしてもらって包帯を巻かれました。手当てを受けながら保険の先生に事情を話すと、「馬鹿だねえ」と呆れられ、「指とれなくてよかったね。音楽の先生にしっかり怒られてきな」と送り出されました。
音楽の先生は厳しい男の先生でした。私は自分の馬鹿さ加減にすっかりしょげ返って覚悟を決めて音楽室に戻りました。しかし、音楽の先生は「大丈夫か?」と一言聞いてそれ以上はお咎めありませんでした。
家に帰ると親にも呆れられ、怒られ、散々でした。今でも木造校舎を見ると思い出す痛い思い出です。
そういえば手当てをしてくれた保険の先生に、「今日は血がいっぱい出たから、たくさん卵を食べて血を作りな」と言われたことを思い出します。「卵は血を作る食べ物なんだ」と妙にその言葉が記憶に残っています。
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