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「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」

11月22日に政府の有識者会議である「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」が報告書を提出しました。

上記内閣官房のホームページによると、会合は2022年9月30日、10月20日、11月9日、11月21日の4回だけで、議事要旨が公開されているのは3回目までです。

議事要旨や報告書を読む限り、防衛力強化に関して、その効果に対する疑問や防衛力強化に伴う地域の不安定化や軍拡競争激化のリスクなど、防衛力強化自体に対する疑念や反対意見なども出ておらず、「軍拡ありき」「反撃能力ありき」の、政府の意向に沿って議論が進み報告書がまとめられた印象です。

「反撃能力の保有と増強が抑止力の維持・向上のために不可欠」、「今後5年を念頭にできる限り早期に十分な数のミサイルを装備すべき」とする一方、財源については「必要な水準の予算上の措置をこの5年間で講じなければならない」として「幅広い税目による負担が必要」であると増税を主張しています。

この報告を受けて、岸田首相は11月28日、防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%に増額するよう関係閣僚に指示しました。

[日本経済新聞 2022年11月28日 19:16 (2022年11月29日 5:25更新)]

軍事費2倍化、約11兆円規模の防衛費となります。

「反撃能力」保有のネガティブなインパクトの評価も、「適正な防衛費」の議論も、あらゆる安全保障オプションや外交の道筋の議論も十分行われないまま、政府の意向に沿った「有識者会議」の報告書が採用され、それをもとに防衛構想と防衛費規模の大転換を図ろうとしていることに、恐ろしさを感じます。

財源の議論については、財界からは法人税増税への反発、自民党からは国政選挙で「軍拡のための増税」を公約していないことから、国民の反発を恐れての増税反対意見もでています。

しかしながら、財源の議論よりも何よりも、そもそも「軍拡」「反撃能力保有」の具体的効果やリスクについての論理的な議論や、軍拡に頼らない安全・平和の道筋を追求しない政府の議論に、私はもどかしさを感じます。

いままで、誰かがあとこれだけ軍事力を持っていたら防げた戦争というものがあったのでしょうか?これだけ費用対効果があいまいで危険な議論がまかり通るところが、技術屋の私としてなんだか信じられません。止まらぬ軍拡競争をスタートさせる責任は誰が取れるのでしょうか?

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