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人はミスするもの、機械はこわれるもの

石油開発の現場では、前提として、「人はミスするもの」「機械は壊れるもの」という認識に立って、誤操作、誤動作が発生した場合にも HSE (Health, Safety & Environment) 上の重大事故にならないように、機械、装置、システム、プロセスなどを設計することが普通です。

たとえば、なんらかの装置・システムにおいて、誤操作・誤動作による障害が発生した場合、常に安全に制御すること、またはそうなるような設計手法である「フェイルセーフ」

システムの一部に何らかの障害が発生した場合に備えて、障害発生後でもシステム全体の機能を維持し続けられるように、予備装置を平常時からバックアップとして配置する「冗長化」

ある一定の条件が整わないと他の動作ができなくなるような機構である「インターロック」

工業製品やシステムを設計する際、誤操作や誤設定などの間違った使い方をしても、少なくとも使用者や周囲にとって危険な動作をしないように、あるいはそもそも間違った使い方ができないように配慮する設計手法である「フールプルーフ」

などなど。人はミスするもの、機械はこわれるものという前提で設計が行われています。

私は機械、装置、システム設計の専門家ではありませんが、自分がミスをする可能性も十分理解していますし、それを100%なくすことはできない以上、この設計思想は本当に大切だと思っています。

特にミスに関して言えば、ミスを責めるよりも、ミスを起こす要因を取り除く、ミスを見つけやすくする、ミスをしても重大事故につながらないようにする、このような発想が重要なのだと思います。組織を守るためにも自分自身を守るためにも、自分自身を含めて「人はミスするもの」という発想を持っておくことは必要なのではないでしょうか。

例えとしてはちょっと適切ではないかもしれませんが、たとえば、高速道路で前の車にぴったりと張り付いて煽っている車をここ南国でもたまに見かけます。

自分の運転技術を誇こりたくて車間ぎりぎりで走っているのかもしれませんが、遅い前の車の運転手が下手だと思っているのなら、なおさら車間距離を開けるのが、事故を防ぐ理性ある対処法です。

運転下手かもしれない前の車の運転手、運転ミスをするかもしれない前の車の運転手に自分の命を預けるなんて、理性ある運転上手が考える発想ではありません。
「あなたは自分が煽っている前の車に自分の命を預けているのですよ。いいんですか?」と問いかけたくなります。

煽っている運転手が、「自分は事故を起こしても構わない」と考えているのだとしたら、前提から議論になりませんが。

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