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南国石油開発で使われる単位に翻弄される

就職して南国での石油開発に携わるようになって、いろいろな単位に悩まされました。

まず、長さの単位としてのフィート (ft) とインチ (in)。どちらもヤード・ポンド法における長さの単位です。

1 ft = 0.3048 m (30.48 cm) で、1 ft = 12 in です。ヤード・ポンド法の長さの単位にはヤードとかマイルもありますが、南国の石油開発、特に地下技術者が良く使うのは ft と in です。

ただしこの ft と in を使うのは主に掘削深度と掘削した穴やパイプの径に関することがほとんどで、水平距離などは m や km を使うのでややこしいです。

掘削中に地下から柱状の地層のサンプル (コア) をとってくることがありますが、この深度も ft や in で記載します。例えば 6523 ft 6in の深度の場合、6523’ 6” と記載することがあります。ところが 6 in = 0.5 ft なので人によっては 6523.5’ と記載する場合もあります。

これがよく混乱のもとになります。もっとひどいのになると、6523 ft 11 in のつもりで、6523.11 などと小数点以下がインチのつもりで書きなぐる人もいて、昔の手描きのレポートで大混乱を起こしたこともあります。小数点以下が11までしか出てこないので不思議に思い、よくよく考えたら、12 in = 1 ft なのでインチのつもりで書いている小数点以下は 1 ~ 11までしか出てこないわけで、12になると繰り上がっていたのです。

とにかく就職したばかりの頃は ft や in で数字を聞いても、パッとその長さや深度の感覚がつかめず苦労しました。

そしてやっと ft / in に慣れて来たのに、ベトナムの現場では深度は m でした。感覚を m に戻すのにまた苦労しました。

体積の単位も石油特有のバーレル (bbl: 1 bbl = 約 158.9 L) が使われる場合もあれば、ガロン (US液量ガロン、gal: 1 gal = 約 3.785 L)、立法フィート (cuft: 1 cuft = 約 28.316 L) なども良く使われていて面倒くさいです。

温度も南国ではファーレンハイトスケール (華氏温度: °F) が一般に使われていて、 セルシウススケール (摂氏温度: ℃) になれていた私は熱いのか冷たいのかパッとイメージがわかず困りました。

私は、長さや体積や温度など、身近なものや体で覚えている感覚に置き換えて理解しようとしていることが良くわかりました。そして単位の違いへの対応力が弱いことも。。。

それにしても石油の埋蔵量を計算する際には、油田の面積×油層の厚さで油層の体積を求めることがあるのですが、油層の厚さは ft、面積は水平距離の単位が m なので平方メートル、そして、最後は bbl に換算するとは、なんと面倒くさいことでしょう。

さらに、大きな数字を表すのに、お金などの場合は千を K で表し、100,000 を 100K などと表しますが、体積などの場合 K の代わりに M で表すことが多く、100,000 bbl を 100M bbl などと書きます。1,000,000 の場合には 100MM などと書きます。知らない人が見たら Million の M とも間違えそうですよね。

何とかしてほしい気もしますが、伝統的に使われてきているものもありますので、変えたら変えたできっと大混乱を起こすのでしょう。これからも単位とその換算を間違えないように気を付けたいと思います。。。

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