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技術者の年齢と能力

南国の石油開発操業会社では、ただ年齢だけによる技術者の昇給や昇格はありません。

給与体系は南国国民とエキスパットでは違うようなので一概に言えませんが、基本的に給与はパーソナルグレードによって決まり、パーソナルグレードを上げるには上司の推薦によってテクニカル・ラダー (Technical Ladder)と呼ばれる複数のインタビュアーからなるパネルの評価を受けて、それにパスすることが必要で、グレードが上がることによって昇給が実現します。

私たち日本の会社からの出向者は、日本の会社から給与が支払われているので、操業会社でのグレードと給与がどの程度リンクしているのかは分かりません。

日本人出向者と違って、操業会社の直接雇用技術者は、給料が安いとどんどん他の会社へ移ってしまうので、グレードを上げて給料を上げることによって引き留めておくという側面があります。ですので、日本人出向者のグレードと能力はそれ以外の直接雇用技術者のそれとは比べられないと操業会社の上司から言われたこともあります。

操業会社ではパーソナルグレードのほかに配属されるスロットにタイトルがついています。CEO, SVP, VP, Manager, Team Leader などのラインマネージメントのスロットと Specialist, Senior などがつく技術者、そして何もつかない技術者などのスロットです。そして技術分野によって、geologist, reservoir engineer, well engineer などの名前がつきます。

それぞれスロットにはそれに見合ったパーソナルグレードのレベルがあります。システム自体は日本でもよくあるシステムなのではないかと思います。

さて石油開発会社で働いていて思うのは、技術者の能力は必ずしも年齢とは関係ないということです。もちろん年齢が上がるほどいろいろ経験している可能性もありますが、そうでもない人もいます。年齢に関わりなく、どんな経験を積んできたか、何を学んできたか、どんな課題と取り組んできたかなどが非常にものをいうところだと感じます。

技術的な引き出し (知識と経験) が多いこと、論理的・合理的に考えられること、データを適切に扱え、読めて、必要な情報を取り出せること。これらは必ずしも年齢とは比例していないと感じます。

だから、私も若い技術者からも学ぶことがたくさんあります。様々な経験を経て来た技術者が集まることが力を発揮すると感じます。

そして、実際に操業を行うこの会社では、決断力と実行力が非常に重要です。オペレーションは常に動いているので、決断し、実行に移し、結果を評価して次につなげるサイクルを回していけることが重要なわけです。

年齢を重ねると上司の承認をいかにうまくとるかとか、株主へのうまい説明の仕方とか、やたらテクニックは覚えますが、技術者の能力の本質とはちょっと違うような気がします。


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