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まるでマッチポンプのような。。。

1980年代前半、まだ東西冷戦が続いていた時代に、国連内に設置された「軍縮と安全保障問題に関する独立委員会」は、軍縮、軍備管理に関する分析と提言を行いました。そこには「力の均衡、軍拡に頼ることの不合理さ」そして「軍事力は、国家間の紛争を解決する正当な道具ではない」ということが明確に示されていました。

ソ連崩壊後、欧州安全保障協力機構(OSCE)というロシアと全ヨーロッパの国々を含めた包摂的な枠組みがつくられ、紛争の平和的解決、経済協力、環境、情報、人権、文化遺産等に至るまで様々な分野で協力し、域内の安定・発展を目指すとされました。しかし、結局この枠組みは十分生かされず、NATO諸国もロシアも、軍事力によって相手の攻撃を「抑止」するという、きわめて不合理で前時代的な戦略をおしすすめ、ヨーロッパの軍事ブロック化が進んでしまいました。この誤った流れが今のロシアのウクライナ侵略につながっているのではないかと感じます。

お互い相手を批難し、危機感をあおり、軍事力を強化・威嚇し、結局危機に陥り、戦争につながる。このまるでマッチポンプのような外交や安全保障政策を断ち切れないのは、各国政府の政策決定に軍拡・軍事ブック化を望む行動原理が働いているのか、本気で平和を希求する外交努力をする気がないのか、あるいは軍拡・軍事ブロック化が抑止につながると本気で考えるほど分析力や想像力が足りないからなのか。いずれにしろ、各国の市民が思考を停止せず、それぞれ自分たちの政府に働きかけ、変えていく努力を続けていくしかないのかもしれません。

日本がこの軍拡・軍事ブロック化に自ら飛び込んでいこうとする動き、そしてそれが避けられないもののように感じさせてしまう雰囲気作りが恐ろしく感じられます。ぜひどの国とも対話を重要視する外交努力をあきらめないで欲しいと願います。

いろいろな課題や困難を抱えながらも対話を重視する姿勢を見せるASEANに所属する東南アジア10か国は、2024年1月16日現在、シンガポールを除き、核抑止力をも否定している核兵器禁止条約 (TPNW)に署名しています。対話重視という点では、下記の報告のように年間1,000以上の様々なレベルでの会議が開催され、対話が続けられているそうです。私はこのような動きに期待していますし、日本もそのような流れを推進する国になってほしいです。

https://www.ituaj.jp/wp-content/uploads/2015/03/2015_04-15-kaigai.pd


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