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核抑止論「核の傘」は世界の常識か

現在世界の核保有国は9か国と言われています。そのうち核兵器不拡散条約 (NPT) において「核兵器国」とされ核兵器保有が認められている国は米国、ロシア、イギリス、フランス、中国の5か国です。NPTの枠外で核兵器を保有しているのがインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮の4か国とみられています。

自国の核兵器を持たず、平時には自国領土に米国の核兵器を保管し、有事にはその核兵器の使用を認める国として、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、トルコの5か国があります。いずれもNATO加盟国です。

一方、現在これらの核保有国以外の国々で核保有国の核の傘の下にあると思われる国はいくつあるのでしょう?

アメリカの核の下にある国:NATO加盟30か国のうち米国、イギリス、フランスを除く27か国。日本、韓国、オーストラリアなど。

ロシアの核の傘の下にある国:旧ソ連の一部の国など。

実態は正確にはわかりませんが、合計で最大40か国程度と思われます。おそらく合わせて50か国程度が核抑止論に基づいて核保有、または核保有国の傘の下に入っていると思われます。

一方、核兵器禁止条約は広島市のホームページによると2023年9月19日現在、署名93か国・地域、批准69か国・地域となっています。

例えば、ベトナムは、現在どこの国の核の傘にも属さず、核兵器禁止条約を批准しています。この核兵器を拒否することが出来る確固とした態度は一体どこから来るのでしょうか?

ベトナムはベトナム戦争でアメリカの核兵器使用の脅威にさらされたことがあります。また、現在、核保有国である中国と南シナ海の領有権をめぐる紛争を抱えています。そのような中でも、核兵器や核の傘を拒絶する態度を貫いています。

ベトナムは、ベトナム戦争の経験なども踏まえて、核兵器や化学兵器などの非人道的な兵器の実験や使用による被害について、深い共感をもっているのではないでしょうか。

ベトナムは核兵器禁止条約の交渉や採択にも積極的に貢献してきたと聞きます。ベトナムは核保有国との紛争を抱えながらも、核兵器を持たず、核兵器に頼らないという選択をしているのです。

下の図は広島市のホームページに掲載されている核兵器を巡る世界の現状の図です。確かに核抑止論にたよる巨大な国々の影響力は無視できないと思います。しかし、数の上でも、平和の維持に関して核兵器に頼らないことを決意している国々がむしろ主流になりつつあります。


広島市のホームページより

https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/432628.pdf

日本は戦争で核兵器を世界で唯一使用され、核兵器の非人道的な被害をもっともよく知る国です。たとえ同盟国であろうとどのような国に対しても、核兵器に対する断固とした拒否を真っ先に表明すべき国であると私は信じています。核に頼る国々は今や決して世界の主流ではないと上記の世界地図を見て私は感じています。

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