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気候変動の歴史を正しく理解する。気候変動メカニズムを解明する。住みやすい地球環境にする決意。

地球科学を勉強していると、地球の気候変動の歴史を正しく理解することの難しさや気候変動のメカニズムの複雑さに気づかされます。

[気候変動の歴史を正しく理解する]

地質学では地質時代の気温の変化を様々なデータから推定しています。たとえば南極の氷床コアや化石などに含まれる酸素同位体比の変化、年輪の幅などからの気温変化の推定、氷河・氷床の量や堆積物から推定される海水準の変化など、放射性年代測定などの年代測定法と組み合わせて、地球の過去の気温変化、気候変動の様子が解明されつつあります。

気候変動を語る場合、数十年規模なのか数百年、数千年、数万年規模なのか、どのようなオーダーのサイクルや変化を話題にしているのかにも気を付ける必要があると思います。最近になればなるほど細かいサイクルの気温変化が記録に残されています。一方、地質時代の気温変化データからは最近のような細かいサイクルの気温変化を正確にとらえることはむずかしくなります。

現在世界各地で気温測定が同じような条件で同じような精度で行われていると思いますが、地質時代のデータからはそのような情報を入手することは難しく、気温の地域性についても現在ほど十分な情報は入手できません。
私たちは地球の気候変動の歴史を解明する難しさ、その精度の限界などを正しく理解しておく必要があると思います。気候変動の歴史を知るために世界で続けられている様々な研究の成果に期待したいと思います。

[国立大学付属研究所・センター会議 未踏の領野に挑む、知の開拓者たち vol.72 2019年12月6日 『気候変動の研究からクジラの生態調査まで。
最先端の分析技術で過去を「復元」する』]

[複雑な気候変動メカニズムを解き明かす]

気候変動のメカニズムは大変複雑であることが指摘されています。

たとえば、海洋中に栄養塩濃度が気候変動に及ぼす影響についての研究があります。

[東京大学 大気海洋研究所 2022年7月2日 『人間活動に伴う海洋への窒素と鉄の排出が引き起こす地球規模の海洋環境の変化 ―地球温暖化の影響を相殺/増幅していることが明らかに―』]

地球の現在の気候変動は自然的要因と人為的要因のコンビネーションであると考えられます。また、相互の影響、地域差、原因と結果の正しいとらえ方など、現時点であまり単純化することは危険かなと思います。

気候変動の正しいメカニズムの理解が今後私たちがとるべき正しい対処につながると思います。

下記のインタビューでは気候変動の複雑な仕組みの一端がうかがい知れます。

[国立環境研究所 地球環境研究センター 2017年4月号 [Vol.28 No.1] 通巻第316号 201704_316004 インタビュー「地球温暖化の事典」に書けなかったこと 『[21] 気候変動の複雑な仕組みが見えてきた—より詳細な温暖化の解明に挑む—』]

[人間が住みやすい環境にしていく決意]

気候変動が人的要因と自然的要因のコンビネーションで起こっているとしても、もし地球環境が人類にとって住みにくくなることを防げるのだとしたら、もし私たちの努力次第で私たちがより住みやすい地球環境に変えることが出来るのだとしたら、私はその方向に舵を切ることに賛成です。

ただし、地球環境は非常に繊細なバランスの上に成り立っている可能性があります。まだ分からないこともたくさんあると認識すべきです。私たちのあらゆるアクションが地球環境にどのような影響を与えるのか慎重さをもって対処していくことが必要だと思います。

過去の地球環境の変化の歴史を正しく理解することや気候変動のメカニズムの解明することは、今後の私たちの決断に大きく役立つはずです。

私たちの迂闊な誤った決断によって、私たちが地球上で生活していくことが困難にならないように、基礎的な研究がさらに促進されることを願います。

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