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名探偵コナンが腐女子を迎合し何が起きたか

■筆者の立場

アニメ1話からハマったコナン愛読者。同作の同人界隈とは一線を引いているが、別作品で同人を齧っているのである程度のルールと空気は把握済。腐女子では無い。夢女子でも無い。原作から供給されるものを読んで、受け取るだけに留まっている。若干考察厨の毛があるが作品許容範囲だと思う。

■名探偵コナンwith腐女子

まずこの話の属性的に腐女子が読んで面白い記事にはならないであろうから、わざわざ腐女子は読まなくていいです。

コナンには腐女子が昔から居る、という認識を持っている。作者も認識している様子。
色々な噂があるが、もともと実は同人には寛容な作品だと感じている。なぜなら小学館編集部がそれを許容するようなことをハッキリ言ったり、作者も「まじっく快斗」のコピー本を出していたことがあるからだ。また作者は最近愛のある同人なら歓迎だという話もしていた。愛のあるで議論が分かれそうではあるが割愛。
しかし、最近まで同人の勢いについてはそこまで触れられることは無かった。些細な問題は同人界隈なりにあったように見受けられたが…いやちょっと問題は多いジャンルと認識されてはいたが、同人人気のある漫画という認識は昨今まで無かったはず。
さらには腐女子というものもあまり重要視されていなかった。何を隠そう男女のラブコメばかりを描いている漫画なのだ、コナンは。大体界隈で取り上げられるものは男女カプ争いだったように思う。おもに主人公と蘭と灰原の。

■コナンで腐女子の話題が取り上げられるようになった経緯

・2016年 映画「純黒の悪夢」公開
この映画の公開で一気に腐女子が増えた。ちなみに普通に鑑賞すると子供たちと記憶喪失の美女との美しい観覧車物語である。
何故腐女子が食いついたかは割愛するが、要するに赤井と安室が本編では見られない対決をしたのだ。アムロとシャアのパロディのように。ガンダムありきの腐女子の口コミの拡散力は凄まじく興行収入が20億伸びた。この映画が安室透の映画初登場だった。
スタッフ陣が「赤安」(赤井秀一と安室透の)という発言をしたり、実質腐女子を引き込むような話を出すようになる。安室の中の人が寛容だったのもあり、確実に腐女子に向けて「コナンで腐女子を歓迎する」というムードが外に向けで宣伝されていた。作品ではありえない(※指摘により日本語修正)設定やシチュエーションのグッズが出るようになる(例えば赤井と安室とコナンが温泉に一緒に入ったり、祭りに行ったりなど)。
グッズ欲しさに大勢の客がコナンカフェに訪れた。そしてパニックが起き、赤井と安室のグッズが無くなった店内は踏み倒され割れてしまった他キャラクターの商品が散乱するという、リアルな事件が起こった。
コナンファンたちが戸惑いだしたのは、言うまでもない。

爆発的に増えた同人の問題はあったが、あくまで同人のことと割り切る。公式とは関係ない…のだが、公式がここに触れていたこともあった。スタッフたちも予想外のことだったのだろう。もちろん腐女子対応の対策などとっていなかったはずだ。
映画円盤はいつも売れているがいつもより売れていたし、翌年予算が増えたように感じた。
さらにはグッズの種類も増えた。赤井と安室だけ出すのはおかしいので他のメインキャラグッズも合わせて出るようになった。種類が増えれば、品質やデザインもあがっていく。これまでグッズ売り上げが全く重要視されてこなかった(つまり売れてなかった)コナンでグッズ革命が起こった。

・2017年 映画「から紅の恋歌」公開
平次と和葉、そして紅葉という新キャラクターの恋愛模様を重視した。赤井と安室は出演していないが、16年からさらに興行収入をアップさせた。
この映画の感想で「平次の女になる」というツイートがバズる。
腐女子の反応はというと純黒サイコーでから紅の評価は低そうだった。
この映画の最後、おきまりの来年映画予告で安室透メインの映画がつくられることが発表された。
安室透フィーバーは原作的には既に起こっていたものとみて良いはず。あまり実感は無かったのだが(きっかけが純黒映画だということは分かった)、どんなグッズを見ても安室が居たので、まぁそういうことなのだろうと把握した。

例年、映画公開終了後あたりで次の映画宣伝に入るのがコナンのペースだ。ここから怒涛の安室推しが始まる。安室は結構前から出ているキャラなのだが、一般知名度が無かった。そのせいもあったのだろう。
ただ赤井とのセットグッズはだんだんと減っていた。というよりは、露骨な商品が減ったとも言える。何を隠そう赤井と安室は犬猿の仲で、原作で顔を合わすことは殆ど無い。グッズブームで少々好き放題出ていた公式グッズが、原作の空気を読みだしたように思える。
実際のところは分からない。ちょっとやりすぎだと怒られたのかもしれない。

公式関係者たちの「赤安」煽りは続いた。もうすっかり認識したらしく、このセットは反響が凄いということでサービス発言も多かった。古参ファンがジト目になっていたことに気付いていただろうか。
ただ古参も「まぁ売れるなら」という雰囲気があった。

・2018年「ゼロの執行人」公開 安室の女爆誕
正確に言えば2016年の時点で居たのかもしれないが、「安室の女」という言葉が公式で定着した。お分かりいただけるだろうか。「平次の女」の二番煎じだということを。そう、公式が平次の女を逆輸入したのだ。またゼロシコという略称も、公式がゴリ押ししているが、実際は腐女子中心に使われていたものだ。
妙に特定のファン層と公式の距離が近くなったことが伺える。もとよりコナンはファンの意見を取り入れてきた漫画でもあるので、違和感はあったが不思議ではなかった。
安室の女というのは、つまり「夢女子」である。
コナンで夢女子が多いキャラといえば怪盗キッドが居る。この層に向けての宣伝は昔からやってきたものだ。上手いこといったのだろう。ちなみにキッドには想い人がいることは覚えておいてほしい。
映画は一気に売上を伸ばした。前年68.9億円の映画だったものが、11月現在で90億円を突破している。ちなみに赤井は出ていない。

■腐女子が与えたもの、与えなかったもの

週刊少年サンデーとサンデーSの部数に関して、データがまとまっているものがあったので貼ろうと思ったのだが、面倒事に巻き込まれたくないのでソースはこちら
電子書籍の波や出版不況の影響によりかなり落ちている、という話は置いといて、2016年上半期に2万部ほど伸ばしたことがわかる。映画の影響だろうがそれも1、2ヶ月ほどか。一時的なものであることがわかる。
続いて名探偵コナンの単行本の部数を見る。2015年発売のものと2016年発売のもの。ほぼ変わらない。89巻90巻は赤井と安室に関して重要なエピソードが入っていた(また純黒の悪夢に関わるエピソードでもある)。2017年の売り上げを見ても、むしろ微減と言っていいかもしれない。
このことにより名探偵コナンに起こった腐女子ブームは、単行本に影響していないことがわかる。

一方、2018年に入ってからサンデー売り切れ現象というのが起こった。もともと週刊誌にしては発行部数が少ない雑誌だと思われるので、不思議な話では無いのだが、サンデー読者の筆者はいつもあるはずのコンビニや書店にサンデーが無い(当日なのに)ということを経験することになる。
原因はスピンオフ「ゼロの日常」だ。安室透の日常がまったりと描かれている。(青山直々のプロットや修正が多いというのも本スピンオフの特徴である)これがまた売れた。現在2巻時点で発行部数130万部突破している。
先ほどのリンクに戻るのだが、サンデーの売上はスピンオフ開始前のデータしか出ていない。が、映画公開時に少し伸びていることは確認できる。
驚くべきはサンデーSの売上だ。映画開始前は1万2千部だが、映画開始後6万部にまで伸ばしている。サンデーSで「犯人の犯沢さん」というスピンオフが連載されているが、犯沢効果というよりも、これは毎週のように表紙を飾っていた青山描きおろし安室と、安室付録のおかげだとみて間違いないだろう。
これはまだ考察しかねているのだが、10月に発売されたばかりの単行本売上がすこぶるよく、発売後すぐに重版出来になっている。95巻は売れる要素がてんこ盛りなので保留。

これらすべてを夢女子、安室の女の経済効果と見るのは少々乱暴なことは分かっている。スピンオフの目新しさや、コナン本編の展開が注目されていることは(最終回へアクセルを踏んでいるような雰囲気など)ファンなら理解できるからだ。
が、夢女子のおかげで映画が広まり、メディアでコナンが取り上げられたことは大きかったと言わざるを得ない。コナンは読売テレビ制作のアニメなので、日本テレビ映画ほど大々的に宣伝はしてもらえないことが多いのだが、公開も終わりかけたころに日本テレビ番組が、安室の女をメインとした特集番組を組んだことがロングランに繋がったと感じている。潜在的コナンファンを掘り起こすきっかけにもなったはずだ。(そこに安室の女が必要かはともかくとして)
映画円盤もバカ売れしている。今までのコナン映画を初週で一気に抜いていくほどの売れ方だ。夢女子は確実に「名探偵コナン」に客を呼び込んだ。

では腐女子層はなにも与えなかったのか?というと先ほども言ったがグッズが売れるようになった。データを手にすることはできないが、発売されている種類の多さを見てもよくわかることだ。また映画プロデューサーも「今まではキッドくらいだったものが、赤井と、特に安室が驚くほど売れるようになった」というような話をしている。
夢女子の参入で安室に関してはアホほど売れているのだろうと思う。安室の新商品を見ない日は無い。
昨今は脇の脇、コナン好きしか知らないキャラクターのグッズがどんどん出てくるようになった。綾小路刑事までグッズ化されている。需要あるのだろうか。
でも、たくさんのキャラクターが並んでいるのを見るのはコナンファンとしては楽しいものだ。
正直メインキャラはマンネリ化していたので手にしようと思えなかったのだが、準々レギュラーまでがグッズ化されると壮観で、嬉しくなってシールを買ったりもした。ありがとう腐女子。

こうやって、共存していければいいと思っていたこともあった。いや、今も思っている。しかし、最近は少し形相がおかしいと感じるのはコナンファンなら皆が思っていることではないか。

■思い通りに動かないキャラ

スピンオフが始まり、ネットでたくさんの反響が上がることになった。それはスピンオフ作者が始めた、発売日の2日前の0時にTwitterアップする青山修正原稿「next zero's teatime」(アニメの予告「Next Conan's HINT」からとっている)の影響である。
トレンドに入ることもあり、宣伝効果は抜群である。数コマから思い浮かぶエピソードを予想するのもまた楽しみだが、その影響力が強すぎた。
もはや多くは語らない例の「安室と梓の炎上回」である。
安室の女や腐女子ともとれない批判コメントが予告ツイートに、つまりスピンオフ作者に相次いだ。
――あれは夢女子だ、いや腐女子だ。違う!安室と梓のカプ厨だ!
結構どうでもいいことで争っていたが、その炎上がネットニュースになったりかなりの話題になった。さらにはスピンオフ作者が謝罪。青山もコメントを出すなどの事態に発展したのだ。
(なお長年の読者としては、青山のコメントは誠意というよりも楽しんでいるように見えたのだが…)
いまどき、オタクでも無い限りネットニュースやツイッター、まとめサイトを読むだけで終わってしまうが、筆者はオタクなので腐女子の集う掲示板を見ていた。

背中がぞっとした。

腐女子への理解はある方だと思う。ちょくちょく覗いてもいたし、今なにが話題なのか、このスレの雰囲気がどんな感じなのかは把握している。が、その予告ツイート以降形相が一変していた。
実は予告前にネタバレもあったらしい。早バレもありさらに荒れていたのだ。いや、発売されて買ってからにしろ…と思うがその話は置いといて。
書かれていたのは批判の言葉の嵐だった。
そしてキャラへの批判。作者への批判。スピンオフへの批判。罵詈雑言。
お前ら、1週間前まではそんなこと書いてなかったじゃないか。という見事な手のひら返し
ツイッター以上の発狂っぷり。匿名掲示板おそるべし。本音が書かれる書かれる。普段の三倍も四倍もある深夜の書き込みは朝まで続いており、何スレも批判でつぶされていたのだ。間違いなく、コナン関連で一番荒れていた場所はそう、腐女子専用の板にあるスレだった。

ここで筆者は知る。作品でどれだけラブコメをしようと、赤井にどれだけジョディと復縁フラグが立とうと、過去の忘れられない恋愛があろうと、安室と梓とのラブコメがあろうと、多くの腐女子がそれを受け入れたくないのだということを。
そりゃそうだろ、という話かもしれない。
でもコナンだし。というおごりが筆者にもあったのか(?)きっといつかラブコメすること前提で「萌えている」人が、腐女子には多いのかと思っていたのだ。
夢女子のほうが荒れるだろうと思っていたが、今のところ影は薄い。荒れてないわけではないのだが…実は夢女子の方が受け入れられたりするのかもしれない。少女漫画を読むような感じかな?という感想を見たりはした。筆者の夢女子理解が乏しいことをご了承いただきたい。

例の炎上回は青山プロットであり、原作者公認公式の話なのだが、それが受け入れられなかったのが、その後腐女子のスレは一変し何故かコナンの話が殆ど見られなくなった。住民がこれまた腐女子専用板の愚痴スレという体のアンチスレへ移動したらしい。タイトルは隠しているが伏せ字はしていないそのスレは…もう…目も当てられないようなことが散々に書かれている。amazonレビューを荒そうぜ、との趣旨が書かれたレスがあったようだが、あまりにも酷いので書き込みは読まず、スレの勢いしか見ていない。レビューは荒れている。
ツイッターでは謎の考察が始まっていた。
あの回は原作者による、カプ厨を馬鹿にするための話だ…という感想をまとめたTogetterが作られ、そこについた否定的なコメントをまとめ主が削除してさらに異様な雰囲気が出来上がったのだ。
筆者から言わせれば、そんなことを考えて話を作る原作者では無い!と言いたいのだが…まぁ感想は自由だね…。
さらに、あの回に対して喜ぶ感想を検索し、発言撤回を求めるようなアカウントが複数見受けられるようになった。過激な言葉を繰り返し、そこまでしなくてもというほど強く批判をしている。全方位の批判をするように見えて、特定のBLへの批判が無いのが、このアカウントの話のオチになる。
このアカウント、今まで普通にコナンを楽しんできた人たちにまで無礼を働いている。困ったものである。

とまぁ、色々な恐怖を長年ファンをしている作品で突然見るという謎の経験をしたのだが、その中で何度も「○○同人の方がちゃんと書ける」や「もっとうまい同人誌を見た」などといった感想がスピンオフだけではなく、原作にまでされていることに気付いた。この手の話題がしょっちゅう腐女子のスレでは出ていることも分かった。
この意味について一回飲み込んで吐き出して噛み砕いてみたのだが、確かに腐女子の理想とする話は同人誌にはあるのだろう。BL同人めちゃくちゃ多いらしいし。
が、それを公式原作に求めるのは、あまりにも違うのではないだろうか。
だってBL同人誌だもの。コナンでBLはありえない。批判にも聞こえるだろうが、このご時世であっても、男同士、女同士がくっつくことが無い作品が名探偵コナンだからだ。(コナンは中東でも売れているので、多分今後もそういう描写は無いだろうと思われる)
それを受け入れて読むものだし、別に作品内で極端な差別もないと感じる。端からそんな可能性求められても反応に困るのだ。

理不尽な批判が相次ぎ、どうなることか…と見ていたのだが今のところコミック売り上げには全く影響をしていない。最新刊も売れに売れているし、スピンオフも1巻から下がることなく、サンデーSの犯沢さんまで売り上げを伸ばした。

ここでやっと気づく。あれだけ騒いだのに、これだけ荒れているのに、単行本売上が変わらないこと。むしろ上がること。これがいわゆる、ノイジーマイノリティだということに。

結局それが言いたかったのか、という記事になっているが、ノイジーマイノリティがマイノリティだと証明するのは、結局実際に売り上げた数字を見ることくらいしかない。それにグッズが売れているのだから、完全な少数派というわけでもないだろうから、原作においての少数派という前置きが必要かもしれない。
編集部ならもっとちゃんと分かっているのかもしれないが(願望)一ファンが多数派少数派を知ることは簡単では無いのだ。

もしこの記事にたどり着いた一般コナンファンは安心してほしい。あなたたちはサイレントマジョリティーです。

さて、このノイジーマイノリティをどうするかということなのだが、ファンはアンケやファンレターを送るくらいしかできない。ファンなどちっぽけな存在なのだ。しかし、サイマジョのままだと…分かるよね?
どうやら腐女子界隈では、サンデーSで安室とくっついてほしいキャラに梓と答えた人が多かったことに激怒し呼びかけあって苦情を送りまくったらしいが、その凄い熱量を我々も持つべきではないのか。

そうやってお互いが競争しあい、意見を両者ぶつけあいつつ、作品をファンの力で高めあえたら。
グッズは腐女子が支えればいい。私たちはコナンの心臓=ラブコメを支えるから。そのラブコメは私から腐女子へ、腐女子から夢女子へと受け継がれていくし、そうやっていつか両者のDNAが混ざり合うから。それがファンとコナンのEternalだし。

動画貼った時からこの記事を書くことに疲れがみえているが、実際疲れている。コナンが腐女子の読むものだと言う謎の風評被害に直面し、何故かコナンを読んでいると言うことに後ろめたさを感じてきた一読者の、昨今思っていることでした。頼む。サイマジョを大切にしてくれ。

酷いこと、ふざけたことを書いてしまったことは謝罪しますが、この件について書くまで数か月悩んだことだけはご理解いただきたい。理不尽な要求と批判を好きなものにぶつけられているのを見るのが、耐えられなかった。そういう物だ、と言ってしまえばそうなのかもしれないけどね。



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