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Z世代が聴く名盤 #3 モーニング娘。「ベスト! モーニング娘。1」

ここ数年で「Z世代」という単語をよく聞くようになった。「団塊世代」「氷河期世代」「ゆとり世代」等に続く新たな世代の区分である。
なんでも世間様はこの世代を「自分達とは全く違う感性を持った若者」と見ているようで、そんな歳の若者が起こした迷惑行為やトラブルを見つけては叩く報道や、そんな歳の若者を集めては「昔はこうだった」と昭和や平成の映像やらを持ち出して色々説明して反応を見てみる企画が最近増えてきており、「最近の若いのは何を考えているのやら」という空気をなんとな~く感じる事が多くなってきた。

そこまで我々の考えていることが気になるなら発信していこうじゃないか、ということでこのシリーズを始めることにした。当記事はZ世代にあたる筆者が世代よりも上のアーティストが出した名盤を聴いて、感想を書いていくただそれだけの記事である。

筆者は2003年生まれで、ニュースなどで取り沙汰される「Z世代」よりやや年上だが、WikipediaによればZ世代とは概ね1995~2010年生まれの若者を指すとのことなので、そのちょうど真ん中あたりに生まれた自分はバリバリZ世代を名乗れる。


作品情報

モーニング娘。初のベストアルバム。当時出ていたシングル11曲とアルバムから数曲+新曲1曲で構成されている。初代リーダー中澤裕子の最終参加作でもある。Apple Music、Spotify、YouTube Musicといった著名なサブスクリプションサービスには未だに配信されていない。

前置き

自分が物心ついた頃には既にモーニング娘。の人気はピークを越しており、遥か昔にauか何かのCMで森三中とコラボしていた以外はテレビで彼女らを見た記憶もほとんどない(どちらかといえばAKB48や欅坂46をはじめとする秋元康陣営のアイドルグループの方がよく目にした覚えがある)。愛読している個人サイトの運営者さんが新作発売のたびに感想を書いているのでまだ続いている事自体は知ってたけど、それがなかったら多分とっくに解散したものだと思っていたと思う。

元々今作自体は数年前、TSUTAYAでCDを借りてパソコンに取り込みスマホに転送する時代錯誤な遊びにハマっていた頃に「そういえば『LOVEマシーン』ってあったな…」と思って借りていたものの結局「LOVEマシーン」と「恋愛レボリューション21」だけ聴いて他は聴かずに放置していた。

そんなわけで3~4年越しにちゃんと聴くモーニング娘。のベスト盤。大半の曲を手掛けるのがシャ乱Qの「ズルい女」を書いたつんく♂氏ということで先入観として何だかコッテコテな曲が多く入っていそうだが、果たして…

感想

とりあえず予想はかなり上回ってきた。代表曲からして飛び道具気味だし、タイトルにもそういうノリが散見されるので正直あまり期待していなかったというのはあるかもしれないけど、やっぱり全盛期を丸ごと収めているだけあってメロディもアレンジもキレッキレ

前述の2曲にしても、歌詞のインパクトに押されて見落としていたけど後ろの演奏がとんでもなく凝ってる。なにかと打ち込みで済ませてしまいがちなイメージのあるアイドルの曲でバンドの生演奏を使っているのだ。その時点でもうすごい。個人的にはここが一番面白い発見だった。今作には計5人の編曲者が参加しているし、それぞれの特色を探すのも案外乙なものであり、15曲とも歌がなくてもそれなりに楽しめそうな仕上がりだ。

あと、(今作は時系列順ではないので分かりづらいが)「LOVEマシーン」より前は比較的真面目路線だったこと、というか「LOVEマシーン」より前の曲もそこそこ売れてたことがそれ以前を知らない側からすると何気に驚き。
「サマーナイトタウン」「抱いてHOLD ON ME!」はシャ乱Qっぽいから分かるけど、爽やか路線の「モーニングコーヒー」「真夏の光線」や、今作でも一際異彩を放つガチガチのブラックミュージック「Memory 青春の光」は、本当にあのつんく♂が書いたのかと疑いたくなるような作風だ。

総括して今作は全盛期特有の勢いに満ちたグッドメロディーの宝庫であり、後追い世代にとっては当時の空気を追体験できる貴重なアイテムでもある。いかにもアイドルって感じの台詞が随所に入る所や、主にブレイク後の曲に見られるぶっ飛んだ歌詞とかぶっちゃけ好みじゃない部分も多々あるけど、そういうところを気にさせないくらい曲そのものの芯が強く、誰もに良い!と言わしめるだけのパワーがあったと思う。

一番好きな曲:真夏の光線
一番「…」な曲:DANCEするのだ!

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