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Z世代が聴く名盤 #8 Radiohead「OK Computer」

ここ数年で「Z世代」という単語をよく聞くようになった。「団塊世代」「氷河期世代」「ゆとり世代」等に続く新たな世代の区分である。
なんでも世間様はこの世代を「自分達とは全く違う感性を持った若者」と見ているようで、そんな歳の若者が起こした迷惑行為やトラブルを見つけては叩く報道や、そんな歳の若者を集めては「昔はこうだった」と昭和や平成の映像やらを持ち出して色々説明して反応を見てみる企画が最近増えてきており、「最近の若いのは何を考えているのやら」という空気をなんとな~く感じる事が多くなってきた。

そこまで我々の考えていることが気になるなら発信していこうじゃないか、ということでこのシリーズを始めることにした。当記事はZ世代にあたる筆者が世代よりも上のアーティストが出した名盤を聴いて、感想を書いていくただそれだけの記事である。

筆者は2003年生まれで、ニュースなどで取り沙汰される「Z世代」よりやや年上だが、WikipediaによればZ世代とは概ね1995~2010年生まれの若者を指すとのことなので、そのちょうど真ん中あたりに生まれた自分はバリバリZ世代を名乗れる。


作品情報

レディオヘッド、3枚目のオリジナルアルバム。世界的に評判がとても高いようで、音楽レビューサイト「Rate Your Music」では歴代トップアルバムランキングで2位を記録している(2023年8月現在)。

前置き

レディへはこれまで取り上げてきたバンド達以上に接点がなく、なんとなくインテリの意識高い系の人たちが聴いてそうな偏見は持っていたけど、作品をきちんと鑑賞したことはなかった。

出世作とされる「Creep」は大好きなくるりの「東京」のパクリスペクト元と指摘されていたのでかろうじて聴いたことがあったけどこの曲に関しても結局のところ参考にしたといわれている間奏の「ガガッ!ガガッ!」という特徴的なギターリフしか記憶にない

(該当のリフは0:57周辺に出てくる)

(3:20あたりに似たようなフレーズが出てくる)

洋楽リスナーの間ではレディオヘッドの名盤というと前作「The Bends」や次回作「Kid A」が今作と同じくらいの割合で挙がるらしいけど、まぁ今回は無難に有名どころから行っとこうと思い、世間で一番知られているであろう今作をSpotifyで聴いた。

感想

先入観として何となくエレクトロニカ色が強い作風を勝手に想像していたんだけど(タイトルからして「Ok Computer」だし)、全然そんなことはなく、普通にバンドサウンドがメインのアルバムだった。探しても「Let Down」のラストのピコピコ音や、不気味な機械音声が全編にわたってしゃべり続ける「Fitter Happier」に若干コンピューター要素があるかな、くらいで電子音の存在感は薄い。ほとんどの曲にちゃんとギターとベースとドラムが入ってて意外なまでにロックバンド然としている

予想どおりだったのは一向に明るくなる気配がない作品全体のテンション。言っちゃあなんだがいかにもメンドクサイ人が好みそうな根暗加減だ。まずボーカルからしてもう覇気がない。今にも行方をくらましてしまいそうな元気のなさ。今作では珍しくただ暗いだけじゃなくて穏やかさを感じさせる「No Surprises」もこの声で歌われると何か不穏なものを感じるし「Lucky」も全然ラッキーじゃなさそう(この曲に関しては曲自体がそうか)。それでも今作の空気にはバッチリハマってるし、そういう所が売りだったのも聴けばすぐ分かるから良いんだけど。

今作もこれまで取り上げてきたオアシスやストーンズと同様にJ-POP界隈へ凄まじい影響を与えた…らしいんだけど今回に関しては今一つ実感がない。確かに90年代末期はこういう暗めのロックが多かった気もしなくもないけど今までみたいにメインストリームにはならなかったというか、今作発売後~数年後のヒット曲を思い返してもあんまり今作の影響は感じないというか…
この時のJ-POPはどちらかといえばヒップホップやR&Bの影響力の方が強くロック方面の人達は各自が好きなものを好きなように取り込んでいたという印象で、これまでのような邦楽のシーンが今作のムード一色に染まるほどの影響力はなかったように感じる。ってかこんな作風の曲が巷で大ヒットする世の中って病みすぎじゃね

一言でまとめると、痒い所に手が届かないギリ理解できない作品だった。
悪い作品だとは思わないけど、皆これのどこに衝撃を受けたの…?これが当時斬新だったの…?みたいな疑問は解消できずじまいで、イマイチ今作の凄さというものは聴くだけでは伝わってこなかった。今回も例によって歌詞見てないからフルパワーで魅力を体感しきれてないというのもあるんだろうけど、個人的には今まで以上に「」が浮かんで頭から離れない。

一番好きな曲:No Surprises
一番「…」な曲:Paranoid Android

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