見出し画像

【遺跡探訪39】王宮の向かいにひっそりと、北クリアン(North Khleang, 10世紀)

アンコールトム内のプレア・ピトゥに行った時に隣にあって気になった、北クリアンを訪ねてみました。最近イベントなどが多く、アンコールの森方面に行ったのは2週間ぶりでした。

6月も終わりに近くなってくると暑期が終わって、朝の空気がとても爽やかです。カンボジアは、3月の終わりから6月初旬を除けば、日本より過ごしやすいかもしれません。

雨季の遺跡

5月終わりくらいから10月頃までカンボジアは雨季に入り、一般的にはシーズンオフです。しかし、朝はほとんど雨が降らないことと、夜露で遺跡自体がしっとりと濡れていて美しく、実はこの時期に遺跡を訪れるのが好きです。

アンコールワットに突き当たる道
アンコールワット外濠。雨季に入って落ち着いた色になりました。
森を抜けてバイヨンに入ります
バイヨンでは何か撮影をしていました。
バイヨンを抜けて王宮・象のテラス・ライ王テラス方面へ

本日のマップと遺跡情報

アンコールトム内を北上し、バイヨンをさらに北上、向かって右手のプレア・ピトゥの手前に北クリアンがあります。南クリアンと比べると、保存状態が良いようです。

North Khleang
Date: Late 10th century, early 11th century.
King: Jayavarman Ⅴ or Suryavarman Ⅰ
Cult: Hindu (if indeed this was a sanctuary)
Best seen: Late afternoon
Do not miss: The colonnettes, the wood beams still in place above the doorways

Focusing on the Angkor Temples

地味な北クリアン

バイヨン、王宮、バプーオン、象のテラスなど有名遺跡に囲まれて、本当に地味な出で立ちです。先日この石碑が道沿いにあったので、遺跡があるのだと気付きました。

建物の用途もわかっていない

ガイドブックに Hindu (if indeed this was a sanctuary)「もしこれが祠堂なのであれば、ヒンドゥー教のものだ」とあるように、宗教施設なのかどうかもわからないそうです。

テラスではないかと思われる場所にて、ナーガと思われる彫刻がありました
遺跡の犬
正直に言うと、リンテルを見るたびに「リンテル、入ってる」と頭の中で言ってしまう。
中央塔に入るところです。この塔は後年建て増しされたそう。
さらに奥を眺めます

なぜか石材に埋め込まれている木材の梁

ガイドブックにあった、数少ない見どころがこの梁でした。本当〜に地味なのですが、なぜか石材の中に木材の梁が埋め込まれています。

とはいえ、この異なる建材のコラボレーションはとても新鮮で、何より木材が朽ちずに美しい形で残っているのが好感持てました。アート作品の一部みたい。

美しい柱の浮き彫り

メインの見どころと思ったのは、サムネイルにもした柱の浮き彫りでした。石材ですが、なぜ色が黒くなっているのかはわかりません(すす?)逆サイドは同じデザインでかなり白っぽかったです。

ミャンマーのお寺は、このようなデザインパターンをこれでもか
と繰り返している印象があります。

さらに奥へ進みます。

ラピュタの世界…と言うより、トトロの世界かもしれません。

振り返ってみると、台座に草が生えています。

ゴロゴロ落ちている石も全部遺跡です。

門を通り、さらに奥の(おそらく)祠堂へ。

リンガが外れていました。

いや、なんかすごいです。
バランス崩れていそうでちょっと怖かったので、登りませんでした。これから修復があるのかもしれませんね。

よーくみると、左右にデヴァターもいます。バンテアイスレイ様式かも、と言われているようですが、風化しすぎてわかりません…

かなり傾いています。柱の彫刻や偽扉がきれい。

40cmのミニチュア寺院

この、ミニチュア寺院(ミニアンコールワット)が気になります。全長40cmくらいで、なんだか可愛いのです。多分、今までで初めて見ました。

ミニ独立記念塔ともいえそう。この祠堂で5つくらい見かけたのですが、元々はもっとあったと思います。

祠堂の全体像。

左右にライブラリーがありました。経典を保存していたのでしょうか。

ちょっと離れた場所にはペディメントが(どこの建物のものでしょう?)。解体されて、地上で復元したのでしょう。凝った装飾です。

プラサット・スール・プラットの横を通って帰りました。12基あるスール・プラットの中では、写真右奥に見える建物が一番状態がいいものだそうです。これも、「踊り子が綱渡りする塔」という伝説がありますが、用途がわかっていないそう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?