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【遺跡探訪11】知る人ぞ知る市街地の遺跡、ワット プリア エンコサイ Wat Preah Enkosey(10世紀後半)

遺跡を訪ねて1ヶ月、これだけ沢山の遺跡があるのなら、もしかしてシェムリアップ市街地にも小さな遺跡はあるのでは?と考えました。そこで検索して見つけたのが、以前イオン博物館の帰りに前を通ってきれいだなと思っていた、ワット・プリア・エンコサイでした。

最初ここかな?と思ったら、ここは学校でした。
Khmer Japan Preah Enkosa Secondary School と書いてあります。
こんなところにも日本の協力がありました。

プリア・エンコサイ(Wat Preah Enkosey ប្រាសាទព្រះឥន្ទ្រកោសិយ)

10世紀半ば、ラジェンドラヴァルマン2世(注:バクセイチャムクロンを建立)の娘と結婚したディバカラブハータによって建立されました。寺院は2つの聖域が並んで配置されています。敷地の対称性から、3つ目の塔が当初の設計に含まれていたと考えられますが、完成しなかったか、完全に破壊されてしまいました(基礎石がないことは前者である可能性が高い)。

10世紀の寺院によくあるように、ほぼ全面的にレンガ造りで、ペディメント(切妻)などの砂岩の特徴がわずかに見られる程度です。

Asian Historical Architecture

特にこの寺院のWikipidaはありませんでした。代わりにWat AthvearのWikipediaには昔のシェムリアップの街の北限がプリア・エンコサイであり、南限がワットアトヴィアであったことが書かれています。

今日のマップ

google mapより

往路(赤):オールドマーケットから出発。川沿いの道が一方通行なので、川の東側を北上。

国道6号は中央分離帯があって突っ切れないので、一旦東側に走って戻ります。

復路(青):ワットプリヤエンコサイの正面に橋があるので渡り、一方通行の川沿いの道を南下。国王別邸のあたりからイベントで通行止めが始まるので、少し西側を通って南下しました。

オールドマーケットから徒歩30分とGoogle mapにはありました。トゥクトゥクやバイクでは10〜15分くらいです。

表から見ると普通の現代の仏教寺

現代のクメールの仏寺
奥に新しい建物を建てているよう
併設の?学校でした。校舎にフランス語とクメール語が書かれています
プノンペンの王宮に似ている、クメールとフランスの折衷スタイルの建物

10世紀の祠堂は奥に潜んでいました

表からは全く見えず、かなり奥まで入り込まないと遺跡まで辿りつきません。案内図などもなく、感覚的にこっちかな?という方向へどんどん行くとありました。感覚が冴えてきたようです笑

現代のお寺の境内の一部ということで、遺跡チケットは要らないようです(念のため持っていきました)

来ました!敷地のかなり奥にありました。レンガ造りです

プラサット・クラヴァンやプラサット・バッチュムに似ています。時代も同じですね。


今も聖堂として使われているので、地元の参拝客も訪れています

ユネスコによる石碑もありました

現代の入り口とは逆の方向が、建立時点での入り口だったようです。そう言えばアンコール遺跡のほとんどが東門から入るのでした(アンコールワットとワットアトヴィアのみ特殊で、西門が入り口)

東門より。現代の入り口とは逆の位置にあります。
境内の一番奥なので、ここまで来る人はあまりいないかもしれません。
巨木がありました

ここもリンテルが美しいです

左側と右側の祠堂はほとんど同じに見えるのですが、何故か左側のリンテルは綺麗に残り、右側はほとんど風化して消失しまっています。同条件のはずなのに、何があったのだろう、と興味をそそられます。

2基のうち、向かって右手はリンテルが風化して消失しています。左手に美しいリンテルと石碑が残っています

かわいい乳海攪拌

リンテル上部の細い部分、これはアンコールワットにもある乳海攪拌なのだそうです。人の動きがユーモラスでマンガっぽい!

え、こんなのでいいの?と思ってしまった笑
拡大
こちら、アンコールワット第一回廊の乳海攪拌。幅が47mと壮大なスケールの壁画です。

古クメール語の石碑を発見

石碑。プラサットクラヴァンと近いのですがちょっと違う感じもします。

扉の枠の内側のに古クメール語を見るのはこれで4回目だと思います。プラサットクラヴァンに近い感じはしましたが、្រ などが表記が違うようですし、文字が少し縦長でした。

現在も祠堂が毎日使われているのは良いです。周りの空気がシャキッとします。
ライトアップ装置が埋め込まれていました。通常、アンコール遺跡は5:30で閉まるので、夜は楽しめないのですが、もしやここは夜が良いのでは?!!

だいぶ色々な遺跡と博物館を訪れたので、ガイドブックだけではなく、この頃の歴史について体系的にまとまっている本を読みたいなと思っていたところに、いい本がありました。

プノンペンの紀伊國屋で発見

まさに、この前博物館で見たバンテアイクデイで発掘された大量の仏像、それを発掘した上智大学アンコール遺跡調査団の団長、石澤良昭さんの著作でした。
今ちょうど、バコンの章を読んでいます。(まだ、プリヤ・エンコサイの時代まで追いついていません)実際の遺跡の訪問と併せてじっくり読みたいと思います。


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