遊牧菜々

@nanayuboku

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  • 本と映画の感想

  • 見習い編集者のひとりごと

    新卒で書籍編集部に配属になった見習い編集者が、「あらまほしき編集者」になるべく奮闘している日々の日記です。「売れる本がいい本なのか問題」「営業部へのプッシュ問題」「編集会議が会議になってない問題」など、世の編集者が悩みがちなポイントがぎっしり。

最近の記事

「エスター ファースト・キル」遅すぎる感想※ネタバレあるよ!注意!

140文字で感想を書こうと試みたけど、長くなってしまったのでこちらで。 「エスター ファースト・キル」。前作「エスター」は私が高校生くらいのとき? TSUTAYAで不穏なパッケージにB級ホラー好きの血が騒ぎ、借りてみたら衝撃すぎた怪作、何回も見直してるファンのくせに、本作は公開より2年遅れで観ました……。 前作の最後で、エスターが子供の見た目をした成人女性という設定がバレているところからの前日譚。正直、ヒットの2作目は2匹目のドジョウ狙いが多くあまり期待していなかったが、

    • 奄美大島、田中一村、求道者たち

      お盆休みに奄美大島へ行ってきた。台風6号にはやきもきさせられたが、なんとか予定通り訪問できた。海の透明度は100%ではなかったものの、ウミガメと一緒に泳ぐこともできた。 帰ってきて1日。海の美しさ、アダン、濃い緑や赤い植物、ハイビスカス、満天の星星、鳥や虫の鳴き声、島の人のゆるい優しさ、が頭から離れない。心が島から帰って来られない。 私は今、ある試験のために生活を切り詰めていて、今度いつまた愛する奄美に行けるかどうかわからない。それで余計に旅の終わりがつらいのかもしれない。

      • ザラついた船橋の街・ソースラーメン

        この間船橋に行った。船橋のソウルフード・ソースラーメンというものを食べに。新宿から総武線に乗り、何本かの河を渡ると、駅前にだんだんとパチンコ屋、ラブホテルが多くなってくる。 船橋駅は、昔住んでいた松戸と似た雰囲気だった。とにかく居酒屋、あとは風俗店も。細くて曲がりくねった道の汚れたアスファルト、あちこちに停められた自転車、昼間から飲んでるらしい団体の男たち。 こういう場所にくると、つらい人生、酒で労働の苦痛を癒して、狭い和室のアパートでカップ麺を食べているような中年男を想像

        • ピンクの、メッシュの、ランニングシューズ

          最近買ったランニングシューズは一番安いものだったが、5千円もした。くつひもは蛍光の緑色で、他の部分は蛍光ピンク色だった。軽いメッシュの素材で包まれ、安価ながら履き心地はすこぶる上々。店の棚に並んでいたときはかわいいと思って買ったのだが、祖父のくたびれた革靴や、いぼいぼのついた健康サンダルなどと並べて置いてみると「派手すぎたか」というつぶやきが漏れた。いや、この玄関がくすんでいるのだ。わたしの靴はたいてい黒か茶だし、緑色の玄関マットも十年は買い換えていなくて埃が繊維まで入り込ん

        「エスター ファースト・キル」遅すぎる感想※ネタバレあるよ!注意!

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        • 本と映画の感想
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        • 見習い編集者のひとりごと
          2本

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          パクリ本が大量生産される原理。売れてない本は、一目でわかる。

          出版社に入社して半年も立たずに、売れてない本と売れてる本が、表紙を見ただけでわかるようになる。 これは、同期入社の営業部員も「なんでこんな、表紙見ただけでだけでわかるようになるんだろうね〜。」と言っていたので、私だけに起こる現象ではなさそうです。単に仕事上、普段から他社の本の売れ行きや、ベストセラーランキングなどを見慣れてくるので、今どの本が売れていて、売れていないのか、嫌でも知識が豊富になるだけかもしれない。 でも、書店へ行ったり、Amazonを見ると、はじめて見る本で

          パクリ本が大量生産される原理。売れてない本は、一目でわかる。

          190303 くちべには あかるい今日を 祈るため 俳句時々短歌

          【君】自立しろなんて言われても困ります 私の料理をたべている君 これあげる あれしてやるも 君だから 先に眠った顔がかわいい 泣く私 一緒に生きよと君は言う うたがいて 信じぬ自己を恥じ入りぬ 月高く 君の来ぬ間に 夕餉冷えゆく さいごのあめひとつ 食べたがる君にあげましょう できるなら くつ下までも履かせてあげたい 君は特別 脱力する君を抱き 東京いち幸せなのは私 こどもみたいなひとだよね 君のほうがこどもっぽいよ 人生は 長すぎるよね 君の足揉む 「か

          190303 くちべには あかるい今日を 祈るため 俳句時々短歌

          181125文学フリマ感想『早稲女×30歳』『あなたは猫を盗む旅に出てもいいし出なくてもいい』

          当日は行けなかったのですが、通販で送っていただくことができた冊子たちの感想をまとめます。今回もかなりエモい…エモいです。 @Glico30tome 早乙女ぐりこさん『早稲女×30歳』。ご本人の誕生祭で前半は手に入れていたので読了済みですが、後半も含め再読。心に残ったのは「無頼派ぶりっ子に甘んじるな」の「傘に操を立てる」話。なんというか、私も0か100でしか物を考えられない部分があって、そういうのって劇的で気持ちいいけど、人生は物語のようにはいかないし、「退屈だし意味があると

          181125文学フリマ感想『早稲女×30歳』『あなたは猫を盗む旅に出てもいいし出なくてもいい』

          担当作をめぐる、社内政治問題

          1つの出版社で、1ヶ月に何冊の本が刊行されるかご存じでしょうか。 出版社の規模にもよりますが、2、3冊〜数十冊まで、さまざま。大手であればあるほど刊行点数は増えるのですが、営業で力を入れて売るものは数点。さらに、新聞広告やPRのための予算を割いてもらえるのは、売れている本だけです。 つまり、実績のない若手編集者のつくった、売れるか売れないかわからない本は、まず取り上げてもらえません。それでも取次が全国の書店へ新刊を流通させてくれるので、書店に置かれることは置かれます。

          担当作をめぐる、社内政治問題