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読書の秋~読めない辛さと読めた本、あとフィンランド~

本が読めない。

鬱と集中力と読書欲

私の場合、鬱の兆候が出始めた頃から、集中力を必要とするインプットが難しくなった。
例えば映画。映画館に行ってしまえば集中するより他はないので割と見られるのだが、家でAmazon Videoを見ようとしても、ものの五分で疲れて停止ボタンを押してしまう。
例えば音楽。聞き流す分には問題ないが、歌詞をじっくり聞くのが難しい。ちゃんと聞いていた筈が、気がつくと記憶が曲の終わりに飛んでいる。
そして本。特に小説や難しい本。星新一の短編一本を読み切るのすら辛いときもある。漫画も積んだまま放置状態だ。

けれども読書欲が無いわけではない。病院の待ち時間にはよく本屋に行って、棚をぐるりと眺め、気になる本があればついつい買ってしまう。町に買い出しに行くときも、ふと足が本屋に向き、好きな作家の本があれば手に取る。
そういうときは、「読む気はある」のだ。決して読む予定のない本を買っているわけではない。けれど、いざ家に帰って本を開いても、数ページ読んでは閉じ、読んでは閉じを繰り返して、最終的には本棚か机の端に積み上げている。読みたい、なのに読めない。これは、まあまあに辛い。

読めている本

さて、そんな中で購入した一冊の本がある。

今年(2021年)の九月に発売されたばかりのこの本だ。

元々北欧は好きだ。私にとって唯一行ったことのある外国であり、同じ雪国という環境からか、何となくデザインやインテリア、食べ物がなじむ。
我が家には「地球の歩き方」を初めとして、北欧を扱った本が色々ある。タイトルに「フィンランド」とか「アイスランド」とか書いてあると、つい手に取ってしまうのだ。そういうわけで、読めるかどうか自信は無かったが、この本もついレジに持って行ってしまった。

なお結局、現時点(10/7)で私はこの本を読み終わっていない。けれども着実に読み進められている。

まず1話辺りのウェイトが軽い。殆どの話は1~2ページで、大半のページは2~3コマの漫画で構成されている。だから各話、ものの数十秒から数分で読み切れる。集中力が切れる前に一話読めるので、「読書を中断した」という感覚がない。

そして各話、確かな満足感がある。例えば「16/100 ローカルワーカー御用達ビュッフェに行く」では、現地の人たちが忙しなく食事を摂る様子や、ビュッフェのメニュー、異国の空気感を想像し、感じ取れる。2ページ5コマの短い漫画で、美味しい文章や漫画を読んだときの満腹感を充分に覚えるのだ。

勿論、一話完結なのでどこで中断しても良い。何ならどこから読んでも問題ない。偶々開いたページを読んだっていいのだ。これはそういう自由な本だ。

あと重要なのは、食べ物・飲み物がとっても美味しそうだということである。イラストはシンプルだが、添えられた文章と、描かれた作者さんの表情から、美味しさが物凄く伝わってくる。食べたい。飲みたい。行ってみたい。読みながら、フィンランドに対する憧れと興味が増幅されていく。主に食欲方面で。

しかしこのご時世、なかなかフィンランドには行けない。そんな我々のために、幾つかの料理についてはレシピが載っている。読んでいる途中でそれに気付いて、読書を中断してシナモンロールの材料を買いに行った。ワッフルシュガーは売っていなかったのでナシで。折角なので、ロヴァニエミで買ってきたアラビアのコーヒーカップも出して。美味しいシナモンロールとコーヒーでほっと一息吐く。ちょっとフィンランドに近付いた気がする。

鬱のときは料理を作るのもまあまあにしんどいのだが、私の場合は軽度なのか、一度スイッチさえ入れば割とできる。この日私にスイッチを入れたのはこの本だった。

またフィンランドに行きたい

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そしてこの本を読んでいると、どんどんフィンランドに行きたくなってくる。ロウリュに行きたい。水辺のカフェにも行きたい。今度こそロヒケイットも食べたい。

元気になったら、またフィンランドに行けるだろうか。前のときはヘルシンキに一泊しかしなかったので、今度はゆっくり滞在して、カフェでコーヒーを飲みたい。またカレリアンピーラッカも食べたい。次は夏か秋が良い。ベリー狩りとかもできるんだろうか。

そんなことを思いながら、現在81ページまで読み進めた。ちょっとしたスキマ時間や、ふと本が読みたくなったときに、さっと手に取れるとても良い本だ。

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余談:ちなみにnoteは?

本が読めないのならnoteも読めないのでは? という気もするのだが、案外noteは読める。大抵文体が軽いからか、気軽だからか、あるいは寝っ転がっていてもスマホなら読みやすいからかも知れない。でもやっぱり長いのは読めない。まあ、徐々に回復していければいいかなと思っている。

ビールがのみたいです🍺