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朝霧

朝5時、カラスの鳴き声で起こされた。

カーテンをちょっと開けて外を見ると霧。

昔、茨城県北部の海沿いの街に住んでいた頃のこと。海流のせいか、「やませ」という風のせいか、真夏でも気温が30度に届くことは滅多にない。寝る時もエアコンいらず。ただ湿度は高い。夜に洗って伏せておいた食器が、朝になっても乾かないほど。

初夏、たまに朝霧が出る。そうすると、昼間気温がぐっと上がる。普段暑さに慣れてない分、一気に不快指数が上がる。

でも夕方には海風が吹いて、また気温が下がる。高原の涼しい風ではなく、じとっとしつつ気温だけ下がる。結果、夏でも寒く感じる。

変な気候だったが、海の幸も山の幸も野菜や果物も豊富で、何しろとても安い。引っ越してからしばらくは、スーパーの地場物売り場を覗く度に感動してた。トウモロコシも、トマトも、メロンも、桃も美味い、安い。箱買いしても安い。季節が変わる毎に売り場を覗くのが幸せだった。

神奈川に来て、スーパーや生協で季節の野菜や果物を見ると、愕然とした。

しばらくして、もうこんなもんだと諦めた。今は更に段階的に上がってる。

今でもたまに、あの頃の、あのお店の、あの売り場を思い出す。

食べ盛りの3人子どもたちを抱えた家庭にとって、本当に天国のようなところだった。

ちなみに子どもの同級生たちは、みな体格が一回り以上良かった。うちのやせっぽちの子どもたちも、それなりに成長した。

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