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音のない、おだやかな時間。

実家に帰省して約1週間。明日、福岡の自宅に帰る。
帰ってくる度に、この静かさに驚き、慣れていく。
生まれたときから大人になるまで過ごしていた場所なので、住んでいたときは当たり前だったことも、ひとつの世界だったのだと気づく。

福岡は華やかで、静けさも持っているけれど、私が住んでいる場所は、1日中音が鳴り止むことはない。窓を閉めていても、車が走る音や、誰かが大きな声で話す声、工事などの機械音が絶えず聞こえて、外の音でだれかの存在を感じる。そのせいで、毎日のラジオ(Voicy)の収録時に音が入らないように注意しなくてはいけないし、そんなときにバイクのエンジンを無神経にふかす音が聞こえてきたら…、言わずもがな、だ。

良い気候のときは窓を開けておくこともあるのだけど、昼夜問わず音が大きいと感じられるときは、ノイズキャンセリングのイヤホンをしている。うるささが集中力を助けてくれるときもあるのだけど、神経質な人なら耐えられない環境なのかもしれない。
実際に引っ越しも多いけど、私は気に入っていて、もうすぐ4回目の契約更新になる。

そんな状況を脱して飛行機に乗って人混みをかき分けて移動して、シンと静まりかえった実家の部屋で過ごす日々をスタートさせる。
1週間くらい滞在することが多くて、最初は静かさに物足りなさを感じるのだけど、時間が経つにつれて、気持ちが浄化されていく感覚がある。

時間がゆっくり過ぎていて、ただ、今の自分を受け入れていいと感じられる。自然に触れる機会が増えるからか、自分の本来の姿に戻っていくかのように。日々成長していくから、戻れないことは知っているけど、それでも本来を感じられるのがいい。

今日の朝も、窓を開けていた。雨が降っていたので音はしていたけど、人がいる音はしない。
昨日晴れていたときは、小さくウグイスの声がして、たまに車の音が聞こえた。窓を開けていたのを忘れるくらいで、外からの風が入ってくる場所におりたたみのデスクとイスを置いて、読書をしてノートに文字を書く。静かな場所で書いた文字は、自分の意識が行き届いているようにも感じた。

両方を知っているからこそ、自分の状況に適した場所を見つけられる。
2つの世界で、私と私は生きていく。

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