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公務員を辞めるまで思っていたこと、公務員を辞めて思うこと(+公務員を辞める方法)



公務員を辞めるまで思っていたこと

大学を卒業し、地方公務員として働き始めて思ったことは、この職場で退職まで働き続けるのだろうという漠然とした思いでした。

・公務員は安定

・公務員は安泰

・公務員は就職先として間違いない

これらは公務員になることができたあなたは勝ち組ですという考えです。世間一般的にもそのように考えられているのではないでしょうか。


その反対にこのような話もよく聞く話です。特にこれらは公務員同士でもよく聞こえてくる話です。

・公務員は(転職するとき)潰しが効かない

・公務員は民間では使えない(だから転職はあきらめたほうがいい)

・公務員は頭でっかちになってしまう(だから転職は無理)

特に、長く公務員として勤めている人ほど、これらの考え方が知らずに染みついているのではと思います。

私自身、転職を考えるまでは、公務員は恵まれている、転職なんて考えられないし、転職なんてできるはずがないと思っていました。

また、こんな話もあります。

・20代で転職すれば、仕事が長く続かない(転職癖があると思われる)

・30代以上で転職は難しい

・40代以上は転職先がない

公務員の職場では、公務員の多くがこのような話を信じています。

実際に、公務員は年功序列で毎年確実の昇給し、ボーナスも確実にあります。福利厚生も決して悪くありません。これ以上良い職場環境があるはずがないと思っている人が大半です。

そんな公務員なので、仕事を辞めるなんてことはありえないと自分自身も思っていました。仕事がきつかったり、長時間労働が続き、うんざりすることもありましたが、これ以上良い仕事、職場があるわけがないと信じていました。
サービス残業で多忙でも、人のため、地域のためのなる仕事ができ、やりがいもある。公務員を辞めることなど考えたことはありませんでした。

家庭の変化と変わらない職場環境

結婚し、子どもが生まれ、子育てがはじまると家庭の状況が大きく変わりました。

今まで、当たり前のように残業し、土日も出勤することが当たり前になっていましたが、子育てが始まるとそのような働き方では家庭がまわらなくなってしまいました。

昭和、平成の時代は、男性が外で働き、女性は家を守るというスタイルで家事も子育ても女性が担うことで家庭が成り立っていた時代です。夫婦で共働きの場合は、同居の家族(祖父や祖母)に家事や子育てをお願いして、仕事に邁進ということもできたでしょう。

しかし令和の今は核家族かつ共働きは当然のことながら、子育て、教育のために子どもとの十分な時間が重要だと認識され求められるので、長時間労働、休日出勤が大きな問題となります。当たり前のように朝8時から24時まで働いていたので、家族の不和、子育てへの悪影響が避けられない状況でした。

ところが、昭和、平成の働き方でやっと仕事がまわっている行政の現場で、予算も厳しい自治体にとって、長時間のサービス残業は組織文化として、しっかりと今も継承されています。働き方改革やDXが求めらてきたものの職場環境はに変わることはありませんでした。

子育てのために公務員の手厚い福利厚生を活用し、育児休暇や時短勤務、年次休暇を使って、育児時間を一時的に確保したとしても、その後はまた残業で子育てが難しい状況に戻ってしまいます。

仕事と家族のバランスを保てずに離婚、無理な長時間労働を続けて心と体を壊して退職、そのような先輩たちが少なからずいる職場です。

人のため地域のために働ける素晴らしい仕事ではあるものの、家族を大切にできないようであれば何のために働いているのか分からなくなってしまう。

そのように考え、今まで考えることもなかった転職について考えるようになりました。私にとって、子育てが転職を考えるきっかけでした。

公務員を辞めるまで(公務員を辞める方法)

転職するためには、まず世の中にどのような転職先があるか調べる必要があります。私の場合、そこからのスタートでした。とても当たり前のことですが、今まで一度も転職を考えてこなかったため、転職方法を知りませんでした。
まずは転職エージェントへの登録、そしてハローワークへの登録です。

新卒で就職し30代までの職歴は公務員のみ。これで該当する求人があるのか大きな不安でしたが、以外にも希望に合致する求人は多数ありました。「公務員は転職できない」これは大きな思い込みでした。

公務員の仕事で培った行政手続きの手法や事務業務の進め方等は民間組織でも求められるスキルであり、十分役立つことに気づきました。

ハローワークについても気づかされたことがあります。それは、ハローワークのインターネットサービスを活用すれば、いつでもどこでも全国の求人を確認できるということ(・・・こんなことも全く知りませんでした)

いくつか採用試験を受け、晴れて自分が求める条件を満たす転職先を確保することができました。次は公務員を辞職する準備です。

年明けの1月中旬に、職場の直属の上司(課長等)に辞職申出書と辞職事由書を提出します。

その後、課長に同席してもらい、部長等の上司に報告となります。

この間、課長や部長から辞職を思いとどまるように引き留められます。私の場合は次の転職先が決まっていることを伝えたため、強い引き留めはありませんでした。

そして、1月下旬に配属となっている課等のみなさんに辞職について報告。(このとき、辞職の内示がまだなので、配属の課のみの共有となります)

2月から3月は辞職のための引継ぎ準備です。年休の取得も見込んで引継ぎ準備を進めなければいけませんが、年度末の通常業務と次年度の事業準備、そして引継ぎ準備の3つを並行して進めることは想像以上に大変です。私は年休消化取得をあきらめました。

3月中旬に辞職の内示が発表されるため、その後お世話になった方々に挨拶してまわります。

辞職の挨拶まわりで感じることは、応援や心配をしてくれる人とそうでない人がはっきりすることです。私が挨拶まわりをしてもっとも多かった反応は仕事を辞めることを羨まれるということでした。給料も安定し福利厚生もしっかりしている公務員ではあるものの過酷な職場環境であることを改めて感じました。

そして3月末、退職です。
退職までの1、2ケ月はあまりに多忙で自分が自分ではないような感覚で過ごしましたが、翌日からは次の職場です。バッサリと人間関係、生活環境が変わります。


公務員を辞めるための備え

公務員を辞めたあと、収入が上がるか下がるか、再就職か、フリーランスか、進路は様々だと思います。いずれにせよ、公務員を辞めるということは安定した給料、手厚い福利厚生、社会的信用もあるといわれる立場を捨てることとなるので、備えが必要です。

そこで、公務員を辞めるための備えを以下に記します。

1 資産形成する

安定した給料、手厚い福利厚生を手放すこととなるため、iDeCoやNISAを活用し、将来に備えましょう。

2 クレジットカードの整理

社会的信用があるといわれる立場を手放すことになるので、転職の前に自分や家族にとってもっともメリットのあるカードを準備、整理しましょう。

3 居住の確保(賃貸の場合)

転職後も賃貸に住む予定であれば、社会的信用があるといわれる立場を手放す前に賃貸契約を済ませましょう。

4 保険・共済の見直し

公務員の場合、職員共済に加入している場合があります。退職後、継続できるものと継続できないものがあるため、民間保険を含めて保険の見直しが必要です。

5 スマホの契約見直し

毎月安定して給料が入ってくるためか、スマホの契約の見直しを行っていない人が多いように感じます。今は様々な格安プランがあるため、定期的なプランの見直しは辞職後の家計の助けになるはずです。

6 スマホのアプリ整理

時間の浪費とお金の節約のために無駄なアプリを削除し、家族共有のスケジュールアプリや家計アプリを活用して、時間と家計の見直しをしましょう。

7 お世話になった方々を大切に

仕事を辞めるということは多かれ少なかれ、お世話になった方々に迷惑をかけることになります。本当にお世話になった方々に感謝し、仕事に励みましょう。

8 家族と話し合う

転職は自分だけでなく、家族にとっても大きな変化となります。転職が家族にとってもより良いものになるためにしっかり話し合いましょう。 

9 健康に気を付ける

どんなに安定した給料とボーナスをもらえたとしても健康を害する働き方をしていては、自分にとっても家族にとっても不幸でしかありません。転職するときの最大の資本は健康です。


公務員を辞めて思うこと

公務員はかつて「休まず 遅れず 働かず」と言われていたそうですが、今の時代このような公務員はほぼ消滅したと感じます。
公務員は使えない、公務員は働かないというのはかつての話。
日々、一生懸命働いている公務員にとっては転職は難しいものではないと感じます。

私の場合、転職後は公務員時代よりも給料が下がりました。
それでも悔いはありません。
今は今の仕事を頑張り、定時に帰り、家族と一緒にご飯を食べ、お風呂に入り、一緒に眠ることができます。家族の時間が断然増えました。
家計については以前よりしっかり考えられるようになりました。地に足がついた感覚です。

帰りに車を運転していると、雲がきれいだな、夕焼けがきれいだな、月がきれいだと感じます。一日15~16時間働いていたときは、空をみても何も感じませんでした。

公務員をやめたからこそ、世の中には、いろんな仕事があり、生活があると実感しています。いろんな生き方があるんだなと。

公務員を辞めようと考えるきっかけは様々だと思います。仕事がきつい、家族との時間が取れない、自分が思っていた仕事ができないなどでしょうか。
中には、とても苦しみながら働いている人もいると思います。

公務員は素晴らしい仕事です。人のため地域のために働くことで給料が入ります。でもそれは公務員だけのことではありません。自分のためにも家族のためにもより良い仕事はもっと他にあるかもしれません。

この文書が公務員を辞めようか悩んでいる人にとってほんの少し役立てば幸いです。


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