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コロナ渦で僕が10万円を動物園に預けた理由

子どもを肩車をしてゾウを眺める親子 ガラスに張り付いてレッサーパンダを撮影する人、親のような眼差しで水鳥達と向き合う飼育員さん。

これは僕にとっての日常。

皆がマスクをしている事以外は。

おらが街の動物園

福岡県北九州市にある到津の森公園は僕のホームグラウンド

それは「居住地から距離が近いから」というのも理由のひとつだが
通えるからこそ、様々な動物の名前や個性、そして出会いと別れの経験が
僕を勝手にホームグラウンドと呼ばせているのだと思う。

動物園や水族館(以後統一して動物園)の多くは今、コロナ渦で
危機的な経営状況に晒されている。

助けを求める動物園

そんな中、各地の動物園はクラウドファンディングや
欲しい物リストを公開することで一般市民からの支援を募っている。

例えば愛知県の犬山にある日本モンキーセンターは「ご支猿」という名目で
アマゾンの「欲しいものリスト」を公開し、物や資金の支援を求めている。

また、同県で全国3位の来場者を誇る名古屋港水族館も支援を求めている。
こちらは支援の返礼品として好きなペンギンの羽が送られてくる等
特典は非常に興味深い。

僕もペン羽目当てに思わず2口支援してしまった。

また、北海道のノースサファリサッポロでは
「ライオンに破いてもらったダメージジーンズ」を返礼品に出した。

これはTwitterで大きな話題。つまりバズっていた

厳しい状況だからこそ、動物園を身近に感じることができるアイディアで
知名度を上げたり、展示内容を知ってもらう。

「死中に活を見出す」そんな気概が今の動物園には必要なのかもしれない。

ただ、到津の森公園は今の所そうした支援を募集していない。
唯一の援助方法は既存の寄付制度である【動物サポーター支援】だけである


以前話した通り、僕のホームグラウンドはこの街から無くなった事がある。


経営悪化の煽りを受けて閉園した動物園。
僕は昔の事を今の時代に思い出して不安になる。

一度潰れた動物園

僕はTwitterでバラ撒けるほどお金持ちではない。

僕にとって10万円は大金だ 
だけれども、僕は到津の森公園に10万円を預けに行った。

ぶっちゃけ僕の手取りの給料の半分以上ある額だ。


なぜそんな大金を僕は到津の森公園に預けたのか

それは、単純な事で。僕は夢を見続けたいだけだからだ。

夢見る動物園

僕の夢は「動物カメラマン」ちなみに現在は自称だ。
敬愛する岩合光昭さんのように世界各地でシャッターを切ることはないし
本やテレビで仕事として活躍するプロの方々のような知識も技術も無い。

そんな僕を小さな箱庭で「動物カメラマン」にしてくれるのが
動物園だ。

暑さに項垂れるアライグマ 

日本画のような佇まいを見せるアマサギ


「何時までそこに居るんだ」と言われたような気がしたライオンの瞳。

日常では絶対にありえない出会い、発見。
この小さな地球の中だけでは、僕は世界の動物達の様子を
多くの人達に伝えるカメラマンだ。

そんな小さな地球がこの街から消えたら
僕は一体何者になるのだろう?

もし、そうなった時。
人間でもペンギンでもない空っぽな自分が産まれるに違いない。

それは僕にとって死ぬ事よりも恐ろしい。

共存する動物園

動物園は本来、街と共存して生きる場所だ 娯楽の場 としてだけではなく

市民の庭 僕はもっとそんな場所であることを伝えたい

https://www.google.co.jp/amp/s/withnews.jp/amp/article/f0180717003qq000000000000000W00o10101qq000017690A

有名な起業家に比べれば、配るお金も無いし、フォロワーも少ない僕だ。

しかし、これだけは多くの人達や動物園の関係者に理解してもらいたい。

街の動物園は世代を超えて続くからこそ本当に価値がある

という事に

そのためには、到津の森公園に限らず
全国の動物園は経営が危ない時にはしっかり助けを求めて欲しい。

各地の動物園には必ず僕のような奴が居て
自分達のできる範囲の助けをしてくれるはずだ。

行政のしがらみもあるかもしれない
市民には分からない動物園の悩みもあるかもしれない。
だが市民から「愛されること目安」の1つとして
動物園に寄せられる支援の額ってのがあっても良いじゃないだろうか?

と僕は思うのだ。

還る動物園

お金はヒトが生きるために 簡単に地球を汚すことができたり
何かの生き物の命を奪うきっかけができる恐ろしい存在でもある。


そんなことを言いながらタイトルにも書いた10万円だが

僕は「あげた」とは言っていない「預けた」と言った。

だから将来的には「返して」もらうつもりだ。

だが、返すのはお金じゃないし僕に対してでもない。

動物園に居る動物達は自然からの預かりものだ。
だから将来そこで学んだ事を人間が自然に還していかなければいけない。

動物園が正しくその街に存在する限り
そんな人間がこれからも増えていくだろうと僕は思う。

我々の次の世代にその命のバトンを繋げるために
動物園はあり続けて欲しい。

本来ならば、出会う事の無かったはずの動物達に出会うことで
野生下の動物達の事を考えて、行動する人達が増える世界になるように。

この騒がしい時代に預けた僕の10万円は
長い時間をかけて自然に還して欲しい。

ご支援頂けると僕が遠めの動物園に行けます。