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電車という毎日強いられるギャンブル

電車で私はイライラしている。

何がって、座れないからだ。
こっちは疲れてんだよ。そんなことを思ったりもする。でも、当たり前だけど、みんなそうだ。
そんなことは分かっている。

でも、座りたいんだよ。
少しでも日中に失った体力を回復したい。

田舎に住む人間には分かりっこないが、都内の電車は本当に信じられないくらいに混む。肌と肌が触れ合う。この不快さが分かるだろうか。触れたい触れられたいと思うのはみんな自分が愛した人間だけだろう。

情けない。こんな思考をどこで言えばいい。答えはどこもない。どこで吐いてもいけない言葉だ。
スマホを触る大学生に「頼むから退いてくれ!」と「降りろ!」と心の中で叫ぶ。大絶叫だ。泣きわめいている。
しかし、降りない。

先日、自分の目の前に座る男だけが降りず、両脇がスッと立ち上がり、量隣に立っていた人間が何食わぬ顔で座った時、腸が煮えくり返る思いをした。
眼の前に座るそいつに「お前も降りろや!」と胸ぐらをつかもうか考えたし、両隣の座った奴らに「一言断り入れろや!!」と顔面を抑えて後頭部を窓ガラスに叩きつけようと考えた。地団駄踏みながら発狂する寸前だった。脳内では思いつく限りの罵倒を浴びせていた。
でも、我慢した。というか我慢もしていない。
「本当にする」なんて考えも行動力も持ってもいないからだ。
ただただ、こんなところで垂れ流すことしか出来ない。情けない。学校にテロリストが来た時の対処でヒーローになる方法を妄想する中学生と同じだ。言語化もしたくないんだよ、本当はこんなもの。

混んでいる電車に乗ると、まず私は座席の前に立つところから始まる。「今日はお前だ!」と選ぶ。これは毎日発生するギャンブルなんだ。俺はお前に賭けているんだからな。前に座っている人がすぐに降りて座れたら気持ちがいいし、ずっと座ってるようなら段々イライラしてくる。
顔には出さないようにする。

不思議なことに誰もが思うことを、みんなが我慢している。
だからあなたも我慢しようとそれを押し付けられる。
でも別に転職して、完全テレワークの会社に行ったり、住まいを変えたりということはない。金銭や諸々の事情で。それに今の住まいはそれなりに気に入っているし。

だから、仕方ないと思いつつも、
人間なのでイライラしてしまう。
いまは夏。暑いし余計にイライラする。
だから、私は座れた時は精一杯、「あ、この駅だ」みたいな顔したりスマホをしまって降りそうな雰囲気だしたりして、
眼の前に立つやつがソワソワするのを楽しんで見ていたりする。あと、なるべく女の人に譲れるような移動の仕方をする。

サイテーだな。自分でもそう思う。
だいたい座ってまでしたいことなんて別にない。
でも立っていると疲れるし嫌。

ああ、こういうことを書くと非常に自己中だと思われるだろう。でもそれが普通なんだよ。そうだろう?
私の世界の中心は私なのだから。あなたの世界の中心はあなたなのだから。
私の目から見える景色を、私以外誰も知らない。
そして、逆も然り。

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