小説📕プロローグ
久しぶりに着た黒いワンピース。
「少し太ったかな?」なんて独り言を言いながら、目立つ汚れを見つけてしまった。
「これはクリーニングでシミ消ししてもらわないと」
そう言っていた深夜2時。
悲しい事があった。
そのはずが、私には驚くほど動揺がない。
あまりにも気分屋だったし。
そのおかげで昔から怯える存在だった。
なんだか貼った糸が切れて開放感すら得たような…。
自由になれた気がした。
とにかく、はやくクリーニングに出して明後日には着るためにポケットの中身をチェックしていた。
久しぶりに出したワンピースはクリーニングから帰ってきたままの袋がかかったまま。
長い間出していなかったからタンスの匂いと埃がついていた。
「新しく買おうかな…」
そう呟いているとポケットの中から、
『忘れていたので入れておきます』と、メモと一緒に映画の半券が入っていた。
もう年期が入っていて茶色い。
映画の内容もほとんど覚えていない。
「あれ?2枚ある…」と、同じ映画の半券が違う日付で2枚入っていた。
意味がわからない。なぜ、このワンピースに入っているのかも分からない。
こういうモノは取りに行った時にお店から教えて欲しい。
確か一回は家族で見に行った。
もう一回の記憶がなない。
映画の日付けはそこまで離れていない。
その時私は、ある事を思い出し…涙した。