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aiko的恋愛の狂気と青春と、シアワセについて


最近リリースされた「aikoの詩」をルンルンでパソコンに取り込むわたしの前で、事件は起こった。

「あいつの、話まじでつまんないところが好きなんだよね」

……なんだと。

女子大生が目の前で、しかもしれっと、エモを炸裂させている。そしてその話を聞いている友人も、そだねー、みたいなテンションで相槌を打っている。

……嘘だろ。
わたしが友人Aだったならば確実に騒ぎ立てている。いや、心の中はもう大騒ぎである。そんな状況なので脳内は今、aikoと青春でいっぱいだ。というわけで、何曲かピックアップしておすすめという名のもとに思い出やエピソードを連ねた記録的noteを書き始めた次第である。


「今度までには」

あれも素晴らしくってこれも素敵だった
悲しいけれど切ないけれど
あれもこれも忘れるのかなあ
そして最後にあなたのぬくもりも忘れるのかなあ

歌詞のどこをとっても、わたし(aiko)が彼との別れを察して、もしくは一度別れ話をされたかのようなテンションなのだが、

あなたの言葉を飲み込むふりしてそっと戦う決意をしてみた

このワンフレーズでガラッと意味が変わる気がしている。察しているけど、別れてしまうけど、でも、じゃあせめてわたしから別れを言おう。みたいな決意を感じる。

起こりうるすべてに理由がある、とわたしはどこかで教えられた。恋人である二人が別れるのも理由があるはずだ。

「好きじゃなくなった」
と言えばそれまでだが、大体の場合、もっと深くに理由は存在する。生活リズムが合わないだとか、価値観が合わないだとか。

悪くないのに振られるのが一番つらい。なにか非があればそこに責任を転嫁できるし、それを改善しようと前向きにもなれる。きみはいい子だ、でもだから、もう無理だ。と言われることのやるせなさったら半端ない。

(勉強問わず)頑張って優秀になれば報われる、というかそれが良いと教えられた学校教育に文句すら言いたくなる。できること増やしたって恋はうまくいかないじゃん!と。

別れる決意ができない友人は、この曲を聴いて決意を固めようとしている、と言った。理由なき別れを告げられた友人はこの曲を聴いて、そうかわたしは悪くない、と言った。

きっとそうだわたしはあなたの言うこと全てに答えてきたつもりよ


「未来を拾いに」

楽しい事なんてこの世には死ぬほどたくさんあるのよ
だから笑うのもっと笑って逢いに行こう

aikoのライブでは「一緒に頑張ろ」っていうメッセージとともに「傷なめあってこ」みたいなメッセージもある。

傷をなめ合うってなんだかよくないイメージもあるけれど、不幸というか苦しいことちゃんと受け入れて、そっからまたがんばろ。というような意味をaikoの歌、ライブ、特にこの「未来を拾いに」からひしひしと感じる。シンプルに背中を押してくれる。aikoのライブで泣いたランキングベスト3って感じで本当に好きな歌なのでおすすめしたい。
(1位は透明ドロップ、2位はドレミです。選び難い)


「プラマイ」

あいつより好きだったとか言わないで

好きだったとか、と言っている時点でこの二人の関係は終わっているわけだが、猟奇的だけどもう別れてるから可愛いな……と思ってしまうこの歌詞で始まるのが、プラマイ。

PV見てもらったら感じてもらえると思うのだが、とにかく怖い。だって髪の毛食べるんですよ……。まあでも「元カノに、あなたの存在を感じたいから髪の毛一本ほしいって言われたことある」という話を聞いたことがあるので髪の毛は恋人という存在を表すメタファーとして効果的なのかもしれない。

と、深読みするとわりと怖いこの曲ですが歌い出しが可愛いことでわたしと友人の間では話題。ちょっと気になる彼がいるカラオケで歌うことをおすすめする。

「あいつより好きだったとか言わないで」って言いながら気になる彼をなんとなく見たら、恋が始まるかも。いや、始まる物語を聞きたい。


「あたしの向こう」

中学の時から好きで、付き合って別れて復縁して、とにかく彼のことを10年近く思っていたある友人は「彼のことになると時間の感覚がわからなくなる」と言っていた。

過去の記憶に形はないので、時間間隔まで正確に、感情と同期させて思い出すことは難しい。

あたしが忘れてしまったら
あなたがいなくなってしまった
これはついさっきの話
いいえずっと昔の事

ついさっきだっけ、いいや、ずっと昔だな。って、過去を振り返るときの時間の不安定さから始まる歌詞がこの恋の大切さを描いている。感情が動いた恋ほど、終わったあと忘れようとして記憶が曖昧になる。そんなリアルがじんわりとつまった曲、なのにポップな曲調が頭から離れない。

これからの朝これからの夜
たまには思い出してもいい?
あなたの心に変わった形のままでもいいから
いられたなら

最後に明るく伝えられるこの歌詞に込められた「別れたけど魅力的な自分でいるよ、わたしはひとりでやれる」という、可愛いつよがりがたまらない。本当に可愛い。

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aikoの曲には「あれ」とか「それ」とか、とにかく指示語が多い。それに「あなた」とか「あたし」とか「二人」とか、本当に普通の言葉ばかりである。

でもだからこそ、聞き手の余白が最大限に用意されていると思うのだ。そして例えば、ライブに行こうものなら、aikoの小さくてパワフルなステージに持っていかれて「これはわたしのための歌だ!!」などと思わざるを得ない。きっとギャップというやつだ。わたしもそれにやられたジャンキーのひとりである。

わたしが覚えている一番古いaikoの記憶は、実家の北の部屋で聴いた「スター」だった。あたしが刺す光の下へと、というフレーズが頭から離れなくて、それからずっとaikoの虜だった。

誰かが照らしてくれる、なんて他人まかせな考えはやめて、自分は自分で照らすんだ、と幼いながらに思った瞬間だった。


20周年でリリースされた「ストロー」で、aikoは「きみにいいことがあるように」なんて歌った。ほとんど「あなたとあたし」だった世界が急に「あなた」に突然世界が広がったので、わたしは本当にびっくりした。

aikoは本当に強い、と思うのは歌詞に昇華しているところでも20年以上歌い続けているところでもない。周りをこそ強くしているから、わたしはaikoすげーなー、強いなーっていいながら、ずっと聴き続けている。

昨日結婚を発表した山ちゃんのラジオ「不毛な議論」に出演したaikoが流したのは「シアワセ」だった。というか、このタイミングで呼ばれるaikoはやっぱり恋愛の神様かなにかに愛されているんじゃないか、と思った。恋が実る実らないじゃなくて、物語に出会う的な。はー、やっぱaiko好き。

#aiko #エッセイ #日記


読んでくださってありがとうございます。今日もあたらしい物語を探しに行きます。