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元金融マンが、noteの決算説明資料を隅から隅まで読んでみた

こんにちは、ほんたんです。ぼくは元々メガバンクに勤務しておりまして、今は事業会社の財務部でIR資料を作ったりしているんです。

そんなぼくが、noteの決算説明資料を読んでみました。noteの売上高、利益、財務内容について知っていますか?ぼくはまったく知りませんでした。

みんなnoteをたくさん書いてるし、なんか業績は良さそう、という漠然としたイメージでした。よく読んでみるといろいろとわかりました。決算説明資料の順番に沿って、くわしく解説していきます。


【結論】

noteの業績は伸びています。たくさんいい記事を書いて(とくに有料記事)、noteの業績をみんなで盛り上げましょう!


-業績ハイライト

まずは業績ハイライトについてです。今回の決算書は第2Q(6ヶ月経過時点)の決算説明資料です。

売上高は半期で16億円、営業利益は12百万円です。これは利益率0.74%と非常に低いです。たくさんモノを売っている(売上高は立っている)けれども、利益がほとんど出ていないという状況です。しかし、よく読んでみると「noteが黒字化した!」というのはビッグニュースです。


-noteの収益力について

このグラフをみてみると、去年はずーっと赤字です。原因は不明ですが、3ヶ月で▲2億円の赤字を出したりしています。EBITDAという減価償却費を加味した数値もずーっと赤字でした。

しかし、直近の3ヶ月でやっと黒字化を達成しました。コストを抑えて利益を出すことに成功しました。これはnoteにとって大きな転換点になるはずです。これが続くかどうかが大切なポイントになってきます。


過去の業績を参考までに調べてみました。ずーっと赤字でした。2020年から順番にいくと、▲2.9億円、▲4.5億円、▲7.3億円、▲3.8億円と累計で▲18.5億円の赤字。今期も赤字の予想ですが、予想を跳ねのけるように黒字化を達成しました。すごい!


-KPIサマリー

noteではGMVという流通総額(noteユーザーがコンテンツを購入した総額)とnote proのARR(毎年安定的に入る収入)が大切な指標になります。この2つの指標はともに前期を上回っています。

noteの新規ユーザー数、公開コンテンツ数などすべての指標が前年を大幅に超えています。これはnoteが盛り上がっている証拠と言えます。


-業績サマリー

業績は増収増益と大健闘です。なんとか黒字化を達成することができました。


-noteのビジネスモデルについて

noteのビジネスモデルはユーザーがコンテンツを購入したときに発生する手数料や、プレミアムの会員またはnote pro会員(法人向け)の課金によるものです。

noteユーザーがたくさん有料記事を買ったり、企業がnoteに参戦してくれることによって、noteにお金が入ります。なのでnoteが盛り上げる、企業がnoteで広報をはじめるなどが必要です。みんなでnote書きまくりましょう!


-売上高と営業利益の推移

売上と利益を四半期ごとに並べた表になります。売上がジワジワと上がってきて、赤字幅が縮小していましたが、売上が810百万円を超えたところでやっと黒字化。ついに損益分岐点を超えました。


-売上高の内訳について

noteのコンテンツ売買による手数料収入が約80%を占めています。企業のnote proによる売上はわずか15%です。もっと多くの企業がnoteに参入してくれるといいですね。


-従業員数について

noteで働く従業員数は減っています。従業員が減ったので、人件費が安くなり、利益が出たとも考えられます。将来的には人員を補充するそうなので、また経費が増えていくかもしれません。そうなるとまた赤字になる可能性があります。

-noteの収入のカラクリ

noteはクリエイター側からと購読者側からそれぞれ手数料収入をもらっています。一番レートが高く設定されているのは、クリエイターサイドは定期購読マガジンは20%のプラットフォーム利用料。購読者サイドでは携帯キャリア決済が15%と料率が高く設定されています。

クリエイターはたくさんの定期購読マガジンを販売すること。購読者は携帯キャリア決済で買うこと。これを増やしていくと、noteは効率よく稼ぐことができます。


-noteのグロースモデル

作者が集まり→コンテンツが増えて→読者が集まる
それがシェアされて、認知が高まっていき、作者が集まってくるという循環により成長していきます。有料記事は全体の24.5%です。無料記事は読者を惹きつける広告宣伝のような役割になっています。


-どれくらいの人がnoteを使っているか?

会員数は816万人、コンテンツ数は4,530万件、クリエイター数は139万人と着実に増加傾向。noteは成長していると言えます。


-バランスシート(B/S)について

財務の健全性はどうでしょうか?バランスシートを見てみると、純資産が16億円あります。純資産とは資産ー負債、つまり純粋な貯金額のようなものです。借入金は長期借入80百万円程度と少ないです。しばらく赤字を掘っていっても大丈夫な水準と言えます。

有価証券報告書(いわゆる決算書)には詳しく記載があります。銀行からいつでも短期借入ができる枠が12億円あると記載があるので、大きな投資をしないかぎり、キャッシュはしばらくもつと言えるでしょう。


-今後の成長イメージ

最後に今後のnoteの成長戦略についてです。2024年度はコストを抑えつつ、成長投資に振っていく時期です。新規事業やAI投資にも力を入れていくようです。

来期以降はさらなる成長を目指しています。noteを今のうちからがんばっていれば、来年度以降に爆発する可能性は十分にあります。noteを始めるのはまだまだ遅くありません。


【おわりに】

以上となります。決算説明資料を読んでみると、その企業の現在地やこれからの取り組みについて理解することができます。

noteはやっと黒字化し、これから更なる成長に向けて投資をしていくタイミングです。今からnoteを始めておけば、noteへ人が流入した時に伸ばすことができるかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。それではまた!

こちらのリンクから決算説明資料が読めます。https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS05592/2c6f3303/7721/48cb/8cf4/2968d621b29c/140120240710546799.pdf

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