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【アニメ感想】BLUE GIANT

後輩から「とにかく黙って観てください」と勧められた。
ジャズか…。
そんなによく知らない。
おしゃれなバーで流れてるやつってイメージ。
ジブリのジャズアレンジアルバム聴くくらい。

つい最近『響け!ユーフォニアム』を観たので、管楽器へのハードルはかなり低い。
仙台からの上京とか、自分との境遇も似てる。
…ということでとりあえず観てみた。


シナリオがしんどい。
雪祈の実家のピアノ教室に通ってたお姉さんが夜逃げて…。
楽しそうにピアノを弾く姿とのギャップに心が痛む。
JASSのSo Blueでの演奏時に客席いた「ゆきちゃん」って叫ぶ女性がそのお姉さんなのかな?
なぜこの場にいるのか、そのエピソードが無いのでよく分からない。
「現在も楽しくピアノ弾いてる」みたいなエピソードで救って欲しかった。
もし全然違う人だとしても誰やねん。
尺に収まらなかったのかな。

そして雪祈の事故。
夢の舞台での演奏前日に事故とかベタすぎて逆に無いだろうと思ってたから衝撃的だった。
っていうかあのぶつかり方は死んだと思った。

それにしても、最後が不完全な演奏ってどうなの。
ジャズは感情で奏でるから左手だけでもいいって?
ゲスト演奏の時に壁を乗り越えて覚醒した演奏があったから、雪祈の見せ場はもう充分って?
ジャズはメンバー固定でやるものではないって劇中でも散々言ってたとはいえ、このメンバーでの最高の演奏聴きたかった。

最高の演奏して、大の海外進出のために解散。
数年後、海外でお互いに腕を上げた雪祈と再開。
みたいな平和な感じがいいです。

事故は悲劇として使いやすいカードかもしれんが代償が大きい。
昨日事故った人の演奏で観客が心の底から楽しめるのかって話。


主人公はそんなに好きにはなれなかった。
自分を信じて突っ走るタイプにはどうも共感できない。
『ラブライブ!』の高坂穂乃果みたいな。
ただ、無名の若者が圧倒的な演奏力で大人を黙らせていくのは観てて気持ちが良い。

雪祈は人を舐めてバカにする態度が鼻についてたから、So Blueの支配人にボロカス言われた時にはちょっとスカッとした。
その後の豆腐屋さんに謝罪に行くシーンは良かった。
自分に足りないものが分かって、ようやく壁を乗り越えて良い奴になった途端に事故とか気の毒すぎる。

玉田がいい。
大学のサークルでの温度差についていけず辞めてドラムに打ち込んでいく。
足を引っ張った悔しさを見せるシーンでは「玉田ぁ〜」って切ない気持ちに。
彼はジャズがやりたいというより、何かに打ち込みたくてドラムを始めたし、大の力になりたい気持ちが強い。
素直でいい。


汗臭い男の青春物語って感じ。
三者三様の若者が結束して、時にはぶつかり合って、と。
真剣に何かに打ち込んだことのある人は共感できるんだろうなぁ。
自分は明確な勝負のために上京した訳じゃないから、大よりも玉田への共感が大きいし。
大きな勝負もせずにズルズル生きてきたから、正統派の夢追い物語には劣等感を抱いてしまう。
勧めてくれた後輩は職場を辞めて新しい道を進んでるから、特に心に響いたんだろう。

シナリオにちょっと気になる箇所はあったけど、原作漫画の一部分を映画化したようだから描ききれない部分もあったのかな。
映画化するなら単独でも成立させろよ、とは思いますが…。
声優に有名俳優を起用するのも話題作りに見えてしまう。
目を見張るような演技もなかったし。(※個人の感想です)

ただ、演奏シーンの演出は本当に素晴らしい。
熱が伝わってきて、圧倒される。
3Dでリアルになると肉感が出て、急にごつく感じるという違和感はあったけど。
アニメーションでの抽象的表現と3Dでの写実的表現が組み合わさって演奏の凄さが視覚からも伝わってくる。

演奏された音楽も良かった。
ジャズっていいなと思えた。
特にピアノが。
元々ピアノの音色が好きってのもあるけど。
ピアノがあれだけ自由で攻撃的で情熱的なのは聴いていて心地良い。

ジャズについてあれこれ考えたけど、よく分からなくてWikipedia読んだら多くの歴史とさまざまな要素があるようで…。
ジャズの一側面に触れただけのようですね。

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