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迷い、の2023年が幕を開けた

「本当は書く仕事以外に、好きなことがあるんじゃない?」

2022年12月末。自分のやりたい企画を知り合いの編集者さんに持ち込んだときのことだった。
企画の柱が弱かったことで、私自身が何を伝えたいのかわかっていないことを見抜かれての言葉だった。
とにかく図星だと思ったし、これまで見て見ぬふりをしてきた部分をえぐって、見せられた気がした。
けど、書く仕事以外に何が好きかもわからないし、自分が信じてきた道を否定するかもしれない現実を受けられなかった。頭が真っ白になった。

遡ること約15年前、ピチピチのJKだった私。当時イギリスの名門サッカークラブでプレーしたスティーブン・ジェラードが大好きで、会う方法を考えたところ、スポーツジャーナリストとして近づけば話せる機会があるのではないかと思いついた。そんな不純な動機から始まった、メディアへの想い。
ハードルの高さから一度は諦めたものの、記者になりたいという思いが23歳で再燃し、デンマークへジャーナリズム留学。帰国後にテレビ局の記者として4年間働いた。

報道志望になったのは大学で難民の勉強をしてから報道へ関心を持ったから。5歳から見ていたサスペンスドラマに登場する事件記者にも大きな影響を受けて、スポットライトの当たりにくい人とか社会的弱者と呼ばれる人と接する中で何か伝えられたらと思った。

思うように取材ができなかったりと、現実と理想のギャップを感じながらも、テレビ局の記者職はやりがいがあった。OA数分前まで原稿直しにVTR編集をして猛スピードで2階分の階段を駆け上がったり、お偉いおじさんたちと喧嘩をしたり、台風で千葉や長野がダメージを受けたときは2、3日泊まり込みで特番にも携わった。最後の一年は政治汚職や脱税取材をメインに行いつつ、大きな災害などでは現地に行って遺族の方に泣きながら話も聞いた。退職の数ヶ月前、少年受刑者に話を聞いたものを形にできたのは、短い記者人生の集大成となったと思う。

テレビ記者になるにあたり、少しミーハー心みたいなものはあったと思うけど、単純な踏み台キャリアではなくなっていたし、得るものはすごく大きかった。賛否両論のある仕事だけどやっぱりこの仕事はすごく重要だし、記者になれたことに喜びを感じていた。

結果的に報道記者としての4年間の実績を見てくださる方がいて、スペインへ渡った後にありがたいことにお仕事をいただけたりもした。

「私がした選択は間違っていなかった」。
そんなふうに自信すら持ち始めた直後、編集者からの問いかけに崖から突き落とされた気分だった。

なんでそんなふうにいうんだ、と少し思ったけれど、
当たっている気がする。
気がする、と言っているのは、認めたくないからなのか。

「自分の薄さ」に気づいた

企画書持ち込みの後、1人で少し考えていた。
私は自分自身がすごく薄い。
こだわりが薄いともいえる。
絶対こうじゃなきゃ、というのがない。
音楽はR&Bがいい、ロックがいい、ジャズがいい。
これだけはこだわる!というのが、小さいものでもあんまりない。
だから相手が「こうしよう」と言ったら、それでいい。
別に私がレゲエを好まなくても、相手がそれを聴いていたいならそれでいい。

物事への執着が少ないから、仕事でもこだわりを持てていないのかも。
記者という仕事になりたいと思ったけれど、考えるのが面倒だったし、なんだかかっこいいからだったんじゃないかと思い始めた。

私って何が好きなんだろう。
そんな自問自答をしながら2023年になった。
28歳でまさかの自分探しが始まるのか。
それはもう終わった気がしたのに、またそれを始めるのは億劫だし、
すごく怖い。
これまで培ってきた、と言えるレベルではないけれど、自分なりに精一杯取り組んできたことが全部ひっくり返ってしまったらどうしようという不安や心配。
無駄なことは何もないけれど、ゼロから出発するのってすごく疲れる。そもそもスタート地点がどこかもわからないし、スタートにいつ立てるのかすら見通せないのもいやだ。

でもポジティブに考えたら28歳で気づけたからこそ、何かに新しく挑戦したりしやすい。
10年後、20年後の自分は感謝するに違いない。
やっぱりライターが好きという着地でもいい。
それが望ましいけれど、本当のライターはやっぱり私みたいなポンコツじゃない。
みんなもっと努力しているし、それが苦だと思わないだろうし。
私はその場しのぎで書いているだけなのかもしれなくて、それは本当に好きなものとは言えないのだろう。
同業者がスペインにきたら、私の居場所なんてすぐになくなる。

そんなことを考えていたら、スペインに来年以降もいるのが果たして正しい選択なのか分からなくなってきた
なんでスペインがいいんだろう。
フランスじゃダメなのか、カナダやオーストラリア、アメリカ、他にも国ああるのに。
ビザの問題もあるし、いっそのこと、日本に帰ればいいのに。
日本に帰るのが面倒なのかな。確かにパッキング面倒なのは事実だけどね。
それか、就活するのがかったるいのかな。
もはや先を考えるのが面倒くさいのかな。
ここにいるのが楽なのかな。

自分って何者なんだろう。

あれ、最初は企画書を持って行っただけだったのに笑
まさかこんなループにはまるとは思わなかったな。
少し立ち止まってみる。そんな時間が必要ということなのかな。
2023年は迷いの一年。ゆっくり歩みながら、道を探してみよう。

あけましておめでとうございます。


#2022年のわたしと仕事

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