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語句レン! 限局性学習障害

こんにちは!ココナラで心理学予備校をしているナナラボの寺島です!
全国の心理系大学院の過去問を分析し、頻出語句をピックアップしました。診断名や障害名については、心理系の大学院で問われることは多いです。今回はその中でもとりわけ出題頻度の高かった「限局性学習障害」について練習していきましょう!用語説明が初めての方は、以下の記事を一度読んでおくとよいかもしれません。

診断名が出てきたときには

基礎的なことですが、診断名というのは何らかの根拠に基づいてつけられているものです。DSMやICDがその根拠に挙げられることが多いですが、なぜか心理業界はDSM基準であることが多いです。一方で、医師はICD基準のことが多いですので、我々が学んだものと医療現場で使っているものが微妙に違うという矛盾を含んでいますが入試においてはDSMを基準にして答えるのがよいでしょう。DSMにはICDに対応するコードもついていますので、そこまで覚えれば困ることはないでしょう。

DSMについて

「精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」と呼ばれるものです。疾病の診断には操作的診断と言って、診断基準にいくつかの症状が書かれており、それに該当する場合はその病名をつけるということがされています。この操作的診断における診断基準となるものでよく使われているのがICDとDSMです。現在はDSM-Ⅴが最新バージョンです(2022年現在)。DSMはアメリカ精神医学会(APA)が作成しています。アメリカ心理学会もAPAと表記するので間違えないようにしましょう。「DSMはアメリカ心理学会が作成している」みたいな正誤問題もたまに出ます。

限局性学習障害

限局性学習障害というのは、DSM-Ⅴにおける診断の名前です。DSM-Ⅳ-TR(Ⅴの前のバージョン)では、学習障害(LD:LearningDisorder)と呼ばれていました。こちらのほうが聞き覚えがあるかもしれませんね。現在でも文部科学省は「学習障害」という言葉を使い、独自に定義をしています。つまり、限局性学習障害と問われたときはDSM-Ⅴにおける定義であり、「学習障害」と問われたときは文部科学省の定義を参照することになります。

文部科学省における定義

学習障害とは、全般的に知的発達に遅れはないが、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な基礎的な能力のうち、一つないし複数の特定の能力についてなかなか習得できなかったり、うまく発揮することができなかったりすることによって、学習上、様々な困難に直面している状態をいいます。

文部科学省

後述しますが、DSM-Ⅴにおける限局性学習障害は「読み」「書き」「計算」に限られていますので、文部科学省の定義よりもやや狭い印象です。

DSM-Ⅴにおける限局性学習障害

限局性学習障害の診断は4つのポイントがあります。

1、まずは「読み」「書き」「算数」のどれか一つに困難があり、適切な介入がされているのにも関わらず6か月以上持続していることです。「読み」には不規則または速度が遅いなどの「読み方」の困難、読んで意味を理解することに困難があるという二つに分かれます。

「書き」は綴りと書字表出の困難の二つです。「算数」は数字の概念や計算を習得する困難と数学的推論の困難の二つに分かれています。

2、1で述べた困難は年齢から期待されるよりも著しく低く、日常でも意味のある障害を起こしていること。そして検査と医師の評価があることです。これは障害の定義にも通じることですが、何らかの能力的欠損があったとしても、それにおいて困っていなければ障害ではないということです。なので、ここでも改めて「日常でも意味のある障害」と特筆されています。

3、困難は学齢期に始まっていること。大人になってから急に現れることはないということですね。ただし、学齢期に社会から求められていたことが低かったりすると大人になってから明らかになるということはあり得ます。

4、知的障害群や身体的な疾患、心理社会的な逆境、教育で使われる言語の未修得、不適切な指導で説明できないことです。つまり、他の理由で説明できる場合はそちらが優先されるということになります。

解答のポイント

限局性学習障害はDSM-Ⅴの定義であることを述べ、教育的に使われる学習障害とは違うこと。「読み」「書き」「算数」の一つに困難があり、6か月以上の持続、日常で意味のある障害があり標準化された到達尺度と総合的な評価があること、学齢期から障害が始まっており、他の理由で説明できないこと。以上のことを踏まえて解答する必要があります。語句説明としては少しレベルが高いです。だからこそ狙われるのかもしれませんね。

解答

限局性学習障害はアメリカ精神医学会が発刊しているDSM-Ⅴ上の診断名である。教育分野で定義されている「学習障害」とは別の定義である。「読み」「書き」「算数」のうち一つに困難があり6か月以上持続している。日常で意味のある障害を起こしており、標準化された到達尺度での評価と総合的な評価がされている。学齢期から始まっており、その困難は他の理由では説明できないこと。以上を満たしたものが限局性学習障害と定義されている。

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