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勝手に1日1推し 206日目 「宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO」

「宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO」東京オペラシティギャラリー     芸術

御年90歳!現役イラストレーターにして舞台芸術家やエッセイストなど数々の肩書を持つ巨匠。宇野亞喜良さんの大規模展!
圧倒されるばかりの作品数!これでもか?!ってくらいある。900点ですって。
溺れるほどAQUIRAXの世界に浸れます!!しあわせ~。

15歳でこれ描けるって、ヤバない?完成度・・・。

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ほんと、高校時代からべらぼうな画力を見せつけてくるじゃん。卒業後、カルピスに就職して広告を担当したらしいですが、なななんと!イラストのみならずコピーも自ら書かれていたとか。若きから比類なき逸材ぶりを発揮しておられたのですなあ。清純の味。カルピス。妖精さんたちの何とお可愛らしいことか。

この頃の初期の作品群がほんっとうに大好きでした!トップに貼ったイラストレーション、震えるほど好きでした。代名詞(?)であるメタモルフォーゼ感が漂いつつ、見方によって、メルヘンだったりファンタジーだったりホラーだったりに感じる独特な世界観をたった1枚で表現していて素晴らしかった。何より、上手い!!
人間が何かに変容する過程、又は、人間が何かと共生している状態の不思議がたまらなく美しいです。植物だったり、動物だったりと共に生きる人を描く姿勢は今現在まで貫かれているなあと思いました。

どんな摩訶不思議なコラボレーションも、美しい×美しい=美しいに決まっているので、美しいんですよ、ホント。マックスファクターやるじゃん。
イラストと写真のコラージュポスターは当時斬新だったろうし、そりゃあ「イラストレーター」として活躍した初めての人=宇野亞喜良さんの名は伊達じゃあありません。
これしかないってところに収める構図もまた美しい~。それに、画上のフォントも美しく作品の一部なんだよなあ。

そして、雑誌のカヴァー、本の挿絵を何社も掛け持ちし、それに合わせた画風で描くって言う尋常じゃないバイタリティー。
宇野さんと言えば、細く美しい線描画ってイメージですが、それだけでなくまさかの大胆で躍動感ある筆画もあったりして、児童書や女性誌の挿絵と時代小説の挿絵がこんなにも違うなんて驚き。
作品によって変貌する画風は、正に職人技デス!!
ジャンル関係なく引き受けてること自体、凄すぎるんですけど!
しかし、どれからも毒気が感じられるのが共通点と言えば共通点で、そここそが魅力!
同志?寺山修司さん関連の作品は心なしか遠慮ない遊び心が感じられるのも見ていて楽しかったです。
+横尾忠則さん、和田誠さんらと仲良しなのとかシビレ〼!
ここからグラフィックが発展していくし、文化・芸術が垣根を超え始めたんでしょうね。羨ましい時代に思えます!

余談ですが、自慢です。
十年前くらいに巨大台風の為、館内空っぽくらい人のいなかった横尾さんの展覧会で、ご本人と細野晴臣さんが談笑しながら鑑賞していたのを目撃したのは素晴らしい思い出です。

さて、有名なアングラ演劇の過激なポスター群は圧巻です!アヴァンギャルドよなあ。コクーン歌舞伎のポスターも同じ系譜で素敵でした。
天井桟敷のグラフィックポスターはいつ見ても1万くらい飛び抜けていてかっこ良すぎて言葉が出ません。寺山修司のアクスタを買うべきか。
そりゃあ、自分でも舞台やりたくなるよねって感じ。舞台美術の展示も良かったです!
衣装や帽子(?)などの立体も有無を言わさず宇野亞喜良でした。

更には、アニメーションまで手掛けております。
アニメーション作品を見ていると、宇野さんの思考と意識の流れが見える気がしました。1つの作品に至るまでの、想像と創造の過程が見えると言うか何と言うか。形態の変化が必然に思えると言うか何と言うか。非凡なる感覚を共有した気分が味わえて幸せになりました。

2023年とか、ほんっと近々の作品まで展示されております。お元気で何よりです。その創造の源、どこからくるの?ってか、その創作意欲こそがお元気の秘訣ですかね。やっぱ女の子?
とにかく年表が長くてびっくりしました!

出口付近では、本展覧会に向けてのインタビュー映像が流れていました。
印象的だったのが「当初から今を視覚化したいという思いで、イラストレーションに取り組んでいた」とおっしゃっていたことです。「常に時代的でいたい」ともおっしゃっていました。前時代的でも未来的でもない、その時、今現在の市井や空気感を表現しているにも関わらず、過ぎ去った時代の作品に対して、現在も決して古くささを感じないというミラクル。それだけ時代を先読みしていると言うことなのか、普遍的だと言うことなのか・・・。かっこいいです。

更に、自身のイラストレーションについて、「前衛であったことはない」「日常を描いている」とおっしゃっていたんですよ。
はて?結構過激な作品も多いじゃん?とも思うんですが、本展覧会を改めて思い返してみると、初期からずーっと人に寄り添う自然の生物たちとの共生が感じられたよなあって納得したんですよ。少なくとも、どうしてああいうイラストを生み出すのかが分かった気がしたんです。

鑑賞者の思い描いていた宇野亞喜良作品像との乖離が興味深いですね。「ターゲットを決めて描いていない」ともおっしゃっていて、何か、そういうことね、って腑に落ちます。
そういうフラットさが数多の作品群、多岐に渡る活動&活躍を支えているんだろうなあって思いました。奇をてらってもいないし、気合をいれているわけでもなく、あるがまま感じままの時代性を表現しているんですね。
是非、インタビューもご覧いただければと思います。

最後に、宇野亞喜良さんのありがたきお言葉をどうぞ。

毎度ながら、オペラシティギャラリーの展示方法が良い!このボリュームをよくぞ展示してくれました!
初期作品の充実が非常に嬉しかったです。

ということで、推します。

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