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勝手に1日1推し 68日目 「ブルースカイ・コンプレックス」

「ブルースカイ・コンプレックス」市川けい(1~7)    漫画

以前より人気のある作家さん&作品であることは、BLファン界隈では周知の事実でしたけれど、この度、お初です。はじめましてです。やっとこ入手し一気読みしました!一気読みっていいよね。次巻が楽しみでワクワクするのもいいんだけど、一気読みってオトナだけに許される贅沢って感じでドキドキしちゃうんだよなあ。今回は一気読み+次巻が楽しみというドキドキワクワクなわけで、得した気分でした。イェイ!

で、どうだったかと言えば、この一言につきる。夏生、最高です!尊敬します!なんなら、夏生になりたいです。市川けい先生、夏生に出会わせてくれてどうもありがとうございます!

古びた本のにおいに混ざる清潔で清廉なシャンプーの香り。かるく目眩がした、放課後――。
「静かに本を読める場所が欲しい」と願っていた楢崎は、ひょんなことから学内で有名な素行不良の生徒・寺島のお目付け役に抜擢され、二人きりで放課後の図書室の受付をすることになる。
初めこそ会話のない二人であったが、ページを繰る音だけが響く図書室で、楢崎は不思議な空気をはらむ寺島に次第に興味を持ち始める。
やがて学校は夏休みに入り、お目付け役もお役御免となるが――。 Amazon

寺島夏生(なつき)と楢崎元親(もとちか)は、同級生。上記あらすじの通り、高校時代に知り合い、紆余曲折あり、とはいっても当人同士の言葉足らずが原因だったりして、そこそこ円満に恋人同士になり、卒業。からの上京。そして現在は、同棲しながら大学生活を送っている。というストーリー展開で7巻まできております。

高校時代は夏生と元親の馴れ初めが描かれ、晴れて恋人同士になり、恋人になったのはいいけれど、思い違いや環境の違い、手近な未来(受験)などのままならなさに悩み、それでも乗り越えて絆を深くしていく2人・・・という王道のBL展開です。画がとても綺麗でエロスでした。高校生の性欲とは・・・?!

そこから、上京し、大学生になるとお互いに世界が広がります。私はここからが、とても興味深かったし、とても面白かったです。狭い水槽の中で管理され、似たような魚同士で泳いでいるような環境(高校時代)から、水族館の水槽くらい大きくなった世界で、多種多様で個性的な魚が泳ぐ中、自由に泳ぎ回れる環境になった2人がとても生き生きとして見えたし、彼らの個性が光り始めたなって思いました。友人関係にも多様性が出てくる中、夏生の存在がひたすら際立っています。とにかく、人間力が半端ない!超いい子。外見の美しさ以上の美しさ、フィジカル面の強さ以上の強さを持っています。最高です!

メタ認知能力がめちゃくちゃ高い!どういう状況なのか?どうしたいのか?どうしてほしいのか?それを自分自身で知ってる。無意識にもそれを基に行動してる。だからこそ、自分以外の人に対しても同様の思考から接するし、自分と他人が違う人間であることをしっかり認識できる。これ、素晴らしいことだよ。7巻で、兄に夏生と恋人同士であることを知られた元親が悩んでいる時、夏生はその状況を知らぬ中、元親の異変に気付き、今どういう状況なのか?を想像し考え(元親は自分との関係と家族のことで悩んでいる)、自分はどうしたいのか?で行動を起こしました(元親の兄に自分の気持ちを話した)。そして、どうしてほしいのか?をしっかり元親に訴えてる(一緒に悩ませろ!と激怒した)。本当に凄い!かっこいい!!

元親兄に夏生が啖呵を切るシーンには、鳥肌~。

付き合ってるやつ居るんすよ 俺 相手 男なんすけど そういうの引きます? つってもまあそれが俺だし

まず、これ。中々言えないよ。ちょいちょい出てくるんだけど、この自己肯定感、最高!

あいつが家族をどんだけ大事にしてるかは理解してるつもりだけど 俺にとってもあいつのことは・・・・ めちゃくちゃ大事で もちろんあいつ自身の意見は最低限尊重するけど 俺はおれのためにあいつを手放さない努力を最大限する だからあいつが大事にしてる家族が相手だとしても 俺は絶対に引かない

素敵過ぎます。こういう人になりたいです、ハイ。

たとえ愛する人であっても、自分とは違う人間であると相手の意志を尊重しているところがマジ凄い!高校時代からその片鱗はあった。お母さんが結婚したいと言い出した時、夏生は「お母さんの人生はお母さんのもの」と言ってお母さんを決断を受け入れ、尊重しました。いやはや、大した男だよ。

近しい人、好きな人ほど、自分と同じであって欲しいみたいな、依存しちゃうみたいな。どんどん干渉しちゃったり、何から何まで知りたいって思ったり、そいう感じありません?毒親とかって正にそんな感じなんじゃないかな?でも夏生にはそういうところがない。相手のことを考え、深く追求しない、でも見守る。どんな思いも受け入れ、尊重する。その上で自分の意見をしっかり持ち、話し、行動する。決して流されたり、諦めたりしない。ぶっきらぼうで多少素行や口が悪くてもみんなからの人望も厚くて、もぉぉ、シビレます~。

元親や友人たちも夏生の存在に感化され、自分と向き合ったり、見つめ直したり、変化していきます。彼らの今後も気になるところです。

ま、色々揉まれても最後は徹底的に2人がラブラブなのもまた最高也~。スウィート!すれ違いとかの展開にはならないで欲しい私です。更に、BL界ですとゲイとゲイじゃない男性のカップルはゲイ側がめそめそ考えてしまいがちですので、本作の夏生の在り方は神々しいまでに清く正しく美しく見えました。夏生様~。なので、このままの夏生様でいて。

ということで、推します。


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