勝手に1日1推し 26日目 「スキップとローファー」

「スキップとローファー」(1~5)高松美咲     漫画

まだ何者でもないけれど、これから何にでもなれるという若い人達の輝きがとっても眩しく微笑ましく、時に痛々しく。そして羨ましい。青春の1ページかな。

最高です!笑って泣けて、素晴らしかったです。本当に素晴らしい。何度だって読み返したい。

主人公のみつみちゃん。田舎から東京の高校へ出てきた、何事にも一生懸命で真面目な女の子。良くも悪くも普通の子。押しつけがましさがなく、常にフラット。ひたすら自分に正直に行動し、発言し、喜んだり悲しんだり。間違ったら反省し、困ったら考えて、自分で納得できる答えを探していく。そんな素直で真っすぐな彼女に感化されて、周りの友達が変わっていくっていうのが本作の面白さ!新しい!素晴らしい!

色んな人がいるよね。当たり前だけど。色んな環境から色んな事情をもった人が1つところに集まってる、おかしな集合体だな、学校って。そんな多様な人が集まる学校生活で、一人ひとりにスポットが当たっています。そして一人ひとりに寄り添っています。分かりやすく言うと、例えば、イケてる子。本作で言うと、ゆずちゃんや志摩くんみたいな子。往々にしてイケてる側の気分って味わえていない場合が多いから、感情移入しにくいけれど、彼ら彼女ら側にも悩みはあって当然だよな、ってなります。逆もしかりで、イケてるサイドの方々にとっては、そうなんだよ!つらいんだよ!分かってくれてサンキュー的な、そういう描き方。クラスにいたよな~っていう色々なタイプの人を色々な視点で描いているので、自分と重なる登場人物が絶対にいると思います。ちょこちょこイベントやら事件やらが起きたりするけれど、それを劇的に広めない描き方も良くて、常に人が中心なところに猛烈に好感が持てます。

みつみちゃんと関わる中でそれぞれが抱える悩みや事情からパーッと解き放たれ、ちょっと大げさだけど生まれ変わるんです。損得勘定とか思い込みとかあきらめとか、そういうの一切なし。掛け値なし神々しいまでの孤高さで、意図せず彼らに働きかけ、感情の置き場を教えてくれるみつみちゃん。今までの自分に、これからの自分に向き合おうと、前に進もうとするお手伝いをしています。とにかく、それはみつみちゃん本人がやろうとしてやってることじゃないってところがとにかく素敵なんです。

最新刊5巻は涙なくしては読めません。ゆずちゃんとまこっちゃん、そしてみつみとナオちゃんの関係(泣)良き。女子高生らしく、恋やおしゃれを頑張るみつみちゃんもかわよです!はあ、癒されます。嫌な子が出てこないのも癒しだし、絵がゆるいというか昭和っぽさが漂っているのも癒しです。

更に、この作品が青年漫画誌に連載されているというところにも大いに注目したい!ジェンダーについてあれこれ言うことは、ナンセンス且つ無粋でありまするが、この物語を青年たちが読むということの重要性には重きを置く必要があると思います。DK(だけじゃないだろ?)が気負わず意識せず読む!いい!関係性の物語を読む!いい!人の在り方を読む!いい!「アフタヌーンに外れなし」いつだったか誰だったかの言葉を思い出しました。正にそれな!って思いました。

ちなみに帯の「みつみといれば」シリーズを毎巻楽しみにしています。「みつみといれば、いつのまにかポジティブ(4巻)」!!

ということで、推します。




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