勝手に1日1推し 32日目 「見つめていたい」
「見つめていたい」西田東 漫画
本日も先日(27、28日目)に引き続き、三浦しをん先生のエッセイ「シュミじゃないんだ」からのお届けです。作品自体は取り上げられておりませんでしたが、流石の眼識です、師匠!西田東先生、最高でした!
ドラマチックで刹那的な展開が好まれがちな恋愛漫画界ではありますが、先生の作品は恒久的な関係性を描いており、とても味わい深く素敵ですし、新鮮です。他作とは一線を画しております。男性同士ならではの永久の愛の手に入れ方に痺れます。
堅物課長の山口は、若く不誠実な男、阿部カズキに翻弄されていた。だが、阿部の思いも寄らない純情に気付いた時、山口は…。 Amazon
本作はそこそこなお年のおじさんとチャラ目の男の子のお話です。この年の差が肝となっております。
若年ならではの未熟さ、甘さ、無鉄砲さが物語をドラマチックにし、熟年ならではの達観、諦め、責任感が物語に趣きを与えています。感動します。泣けます。
そして、先生の作品の素晴らしさはお話のみならず、たった1カットで全てを説明していたり、その1コマがあるために次のコマが引き立っていたりと、漫画だからできる演出だと思います。漫画の極意が随所に光っています。言葉で説明しすぎるきらいのある昨今、有無を言わさぬカット割り、無駄のないコマ使いは必見です。
関係ないですが、私の世代ですと、デニムを横線で表現する作品にはかなり愛着を感じてしまうのです。横線デニムの代表選手は「バナナフィッシュ」のアッシュです。アニメ化の際、どうなるのかと、不安半分期待半分でしたが、スタイリッシュに仕上がっており、少し寂しかったです。
「見つめていたい」は、阿部くんが横線デニムの代表入りすることはもちろん、何度でも読み返したい名作の代表入りも確実です。収録されている他の短編もいいです。
ということで、推します。
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