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勝手に1日1推し 203日目 「月岡芳年 月百姿」

「月岡芳年 月百姿」太田記念美術館     芸術

町田康センセの「口訳 古事記」以降、古に思いを馳せる日々を過ごしておりましたが、ここに、ななななんと!タイムリーなことに月岡芳年の展覧会開催とな!きゃほー。
晩年の、”月”にちなんだ揃物「月百姿(つきひゃくし)」全100点が拝めることに(前期・後期展示替えにて)。
私、もってる。今年、もってる。なにか、もってる。きゃほー。

鼻息荒く早速足を運びましたが、とっても良かったです!やっぱり本物を見ることでしか分からない色合い、風合いが、そして、こだわりが!!良かったよお。
グラフィカルにポップにアレンジしておらずとも、斬新な構図やポージング、躍動感などなどがひたすらかっけーんだわ。漫画、アニメのワンシーンのごとくドラマチックなんだよねえ。にじみ出る創意と才知と技術にうっとりなのよ。センス・オブ・ワンダー也。

流石に「素戔嗚尊(スサノオノミコト)出雲の簸川上に八頭蛇(ヤマタノオロチ)を退治したまふ図」はありませんでしたが、小碓命 a.k.a. 倭建命は見みることができましたわよ!!!女装して敵を倒すところ!大興奮しちゃった!
今を時めく「光る君へ」でおなじみのメンバーもずらり!藤原公任やら道兼やら花山天皇やら赤染衛門やら・・・そろい踏みで非常に嬉しいこととなっております。中の人、源氏物語の夕顔もね。

物語や背景がしっかり注釈として1作品ごとについていますので、理解も深まり、ずっとふむふむ、って腕組みしながらガン見してしまいました。「古事記」などでも感じることですが、ストーリーがぶっ飛んでいたりするのも面白いですよ。
「鵼の碑」で記憶に新しい、鵺を撃つ源頼政もありました!!鼻血!!ものすんごくかっこ良かった!ポージングがダイナミックでアクロバティックでさあ。月が描かれていないのに、矢の向かう先に月と鵺を思い描かずにはおれないすんばらしい構図でさあ。
いやあ、思い浮かべる先があるとより興味深いと感じるものです。

これらの作品が描かれた明治18年ともなると、日本画にとって過渡期だったでしょうし、西洋画の波もずずずいっと来ていたことでしょう。フェノロサよ、岡倉天心よ。でしょ?
そんな中、浮世絵師として浮世絵を描き続け、今では最後の浮世絵師なんて言われているんだよね。

無残画で知れた芳年だけれど「月百姿」の作品群は、無残とは程遠く、現代のイラストレーションといわれてもおかしくないほどの錦絵群です。季節の木々や花々、植物などは、黄金期の少女漫画的とさえ思いました。

時代に合わせ、遠近法や透視図法などを取り入れて緻密に写実的に描き、色彩も原色でぱっきりしたイメージの従来の浮世絵とは異なっており、くすみカラー的、パステル的で、非常にたおやかです。
色味については、版元(出版社)の秋山武右衛門のアドバイス?注文?もあったようですが、大正解じゃないですか!?めちゃくちゃいい!印象派の発展とジャポニズムって関係あるのかな?分からん。

光沢やエンボス加工してるような質感を出した「正面摺り」も素晴らしかった!
「正面摺り」とは、猪の牙とかでこすっツヤをつける方法だそうです。
本当にキラキラで上品で美しいです。あっちからこっちから角度を変えて穴があくほど見ちゃいました。素晴らしき哉、摺師さんの腕前!ほんと、これは実物を見ないと分からない、感じられないと思います。
しっかり平置き展示してくれているので、縦横斜上下、縦横無尽(?)に見られますぞ。
後生ですから、是非、是非に足をお運び下さいませ。

ででででで、図録も芳年イズムを反映してか?!スタイリッシュ!
かっこよい。妖怪シリーズもありんした。

いやはや、今から後期が楽しみ!紫式部の石山寺詣が見られると思うと今から胸が高鳴るわあ。まひろちゃーん。
100点全て見てから語ろうと思ったけれど、どうにも心が叫びたがっておりまして、抑えきれず前期鑑賞で奮っちゃった!それだけ素晴らしかった!おススメということです!!!

あと、原宿という雑踏ド真ん中で味わう静謐な美空間っていうのも贅沢で、なんかいいなって思います。

ということで、推します。


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