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勝手に1日1推し 76日目 「春を抱いていた」

「春を抱いていた」新田祐克(1~14)    漫画

神か?神か?神なのか?はい、神です。イエス、ゴッド!素晴らしいー。BLの聖典。バイブル。ありがとうございます。ありがとうございます。

すみません!!取り乱しました。あまりの昂りに我を忘れました。興奮と感動で震えております。BLにハマって以来、様々なタイプの上質な作品に出会い感銘を受けて参りましたが、そのどの作品よりも、まぎれもなくBがLすることで物語が成り立っているという傑作でした。「ボーイズラブ」と書いて「春を抱いていた」と読むとか、読まないとか・・・。恋愛で成り立たせ、恋模様を際立たせるストーリー運びがとにかく秀逸です。逆もしかりで、人生における恋愛についての物語とも言えそうです。

三浦しをん先生をもってして、「神の降臨」と言わしめた本作。果たして噂通りのどえらい素晴らしさでした!

あらすじは、岩城恭介と香藤洋二のラブストーリー。初めっから設定がぶっ飛んでいて、AV男優出身(ゲイのではない)の2人が主人公。彼らが俳優に転身し芸能界で生きていく中で、かけがえのないパートナーへと変化していく物語です。

はー、この思いを吐き出したくてたまらない。この感情を何とかしたくてたまらない。けど、何からすれば良いか分からない!!!もはや、「岩城さーーーん!」と山の頂上で叫びたい!!あまつさえ、その叫び声のやまびこによる返答が「香藤ーーーー!!」であって欲しいとさえ思います(錯乱状態!)。読後はみなこのような錯乱状態に陥ることでしょう。未だ取り乱している・・・。これから読まれる方は、心してお読み下さい。

前半は、岩城さんと香藤の出会い、AV出身だったり同性愛だったりで世間の好機の目や無理解にさらされながらも歩み寄り、恋愛関係に発展するまでの道のりが描かれております。カチコチの岩城さんをアマアマな香藤が溶かしてゆきます。

それから後半、2人が恋人として絆が深まるほど、仕事とのバランスに悩む様子が描かれています。でも結局、2人を引き裂くような試練も愛の力を持ってすれば、こじれることなく大団円なのです!!何人たりとも2人の愛を壊せないのよ!ってギャグっぽくなったけれど、こじれない理由はひとえに2人の信頼によるもの。2人の考えがお互いに作用し、常に相手を高みに引き上げてくれるっていう、最高のパートナーな訳!試練の度に愛を実感し、尊敬し合う2人なのです。キャー、過呼吸。

岩城さん&香藤のようなカップルはそうそういないわ。泣けます。香藤の後先を考えない行動がもとで仕事を干されてから(7巻くらい)が、ドラマとしてグッと面白くなっていくのですが、本当に物語にぐいぐい引き込まれまくって、現世に戻れません。あくまで恋愛が主軸でありつつも、俳優という職業や映画に対する姿勢、スタッフや共演者に対する思いなど2人の熱い思いが迸っており、シビレルんだよ~。それぞれ矜持を持ち続け、尊重し合い、仕事に向き合う姿がとにかくかっこいいです。どん底でもその窮地を救ってくれるのがいつもお互いであると言うベターハーフっぷりにも、キャー、過呼吸(2度目)。

私は映画が大好きなもので、このセリフにグッときました。

たとえ作り物であっても 映画が人を引きつけるのは 作り手の情熱が注がれて そこに命を持つからだ・・・ 

うっとり。しかも、これが2人の共通認識である時点で、キャー、過呼吸(3度目)。

でもって、あてウマみたいな女子が出てこず、終始ラブラブであるこの安心感こそ、BLの聖典たる所以です!

BLって、フィクション(ファンタジーとも言う)か、はたまた、リアル過ぎるか、と二極化しがちだなあと思っていたのですが、本作はちょうど真ん中くらい。どちらの要素も持っていて丁度いいバランスです。全体的にはフィクション、でも肝心の恋愛事情についてはやたらリアルなんです。男性特有の力強さと精神性が通っていて、とても好感が持てます!どうしても異性間の恋愛風になりがちなBL界において、この部分は画期的かなあと感じました。岩城さんをモノにしようとしつこく追い掛け回す香藤の友人宮坂に放つ岩城さんの言葉に顕著に表れています。

女の様に誘って 俺をその気に させてみてくれないか? どうした? 本気なんだろ? どうしても俺がいいなら 逆だっていい筈だ
こいつ(香藤)も君の様に 拒み続ける俺に 乱暴な事をした事もあった・・・ さっき俺を誘ってみろと言ったのは そのまま その頃のこいつに言った事だ 君と違ってこいつは 躊躇しなかったよ・・・ 同じ性である俺のプライドを無視しなかった

こんなの、信頼しか生まない。

岩城さんは、律儀で真っすぐ、実直。努力の上に成り立つ自信で理性的に行動するタイプ。香藤は、天真爛漫で明るく、素直。自由奔放に直感とポジティブさ全開で直進するタイプ。こんな対局にいそうな2人が運命の恋人だなんて、萌えないはずないっしょ。しかも根底には、恋人に対しても仕事に対しても真摯にそして紳士的に振る舞うという真面目さが共通しているなんて、萌えること必至です!!

・・・俺たちの関係は 人格をぶつけ合って 削ったり 隙間を 埋めたりしながら作った 一個体だ ぴったりと一つになるように (中略) 俺の魂の形は もう香藤と合わさるように 出来てる・・・

だってさー。萌え萌え。てか、これ岩城さんのセリフなんですけど、前半のツンツンぶりからこの変貌なんですわ。萌え萌え萌え!香藤はもう、たまらんでしょうなあー。

ちなみに、絡みのシーンが結構たくさんございます。少し多いんじゃ?とは思うけれど、そこはエロを含めてのBLですから、悪しからず!!仲良きことは美しき哉。ですが、エロが苦手な方はそのシーンはすっ飛ばしても物語で十分ご満足いただけますので、心配ご無用かと思われます。

そして、14巻に及ぶ長編の構成なのですが、大まかなストーリーの流れの中でそれぞれにタイトルが付いている(番外編含む)のが昭和っぽくて、とても読み易くて好きでした。タッチも画風も時代的にも、更にはシリアスな展開でも、ラストを笑いに落とし込むと言う、かの有名な「お後が宜しいようで」スタイルで、THAT'S昭和STYLEで良きです!(←言い方が昭和!)とは言え、内容は超絶普遍的で、現代とリンクする部分も併せ持っているので、その魅力は計り知れません!

物語終盤の授賞式シーンでは、コロナ禍の現状と相まって、涙しました。実際、昨今のアカデミーなどの映画祭の授賞式でのスピーチと重なるものがあります。

人は‥‥身体の栄養だけでは 生きては 行けない 辛い時程 心が栄養を欲するものだ

不要不急と言う言葉に阻まれた続けた、芸術、エンターテイメント界、そしてそれを愛する人々の心を代弁してくれたような胸打つスピーチで、すこぶる感動致しました。

しかーし、「春を抱いていたALIVE」をまだ読んでおりません。こんなんじゃ、春抱きファンを名乗れないではないか(個人の見解です)!はよ、読まねば。てか、まだお互いを「京介♡」「洋二♡」と名前で呼び合っていないじゃあないか!!見届けるまでは、絶対に死ねない。早く呼べ!

はあああ。ちょいととぼけた、おばかとう(香藤)、可愛すぎるぅぅぅ。色気ムンムン、エロかわいいわきさん(岩城さん)、可愛すぎるぅぅぅ。死ぬぅぅぅ。でもまだ死ねないぃぃぃ。名前で呼び合っていないぃぃぃ。

ということで、推します。

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