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SUENEL Special interview 〜デジタルネイティブ世代と創り上げる co-creation project第5弾〜

co-creation projectとは

nana公認クリエイター(※1)となった歌い手ユーザーを中心に、「歌い手になりたい、オリジナル曲を歌ってみたい」というユーザーをアーティストとして輩出、デジタルリリースを行う取り組みです。
Co-Writing(共創)を得意とする音楽クリエイターチーム「Co-Writing Farm(※2)」をタッグを組み、リリースアーティストごとに専門チームを設立。
歌い手は歌うだけではなく、作詞作曲を含めゼロから一緒にコーライティングし、リリースまでの音楽作品制作を行うのも特徴です。

第5弾アーティストはnana公認クリエイターでもあるSUENELさん。
作家陣にはCo-Writing Farmより小木岳司、Mikey、Emyn rumbold、Ryo Ito、マスタリングエンジニアには森﨑雅人(敬称略)を迎え、2022/10/29に「TRiP ON ME」をリリース。

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今回は、音楽制作秘話も交え、SUENELさんのリリース後スペシャルインタビューを掲載いたします!

第5弾 │ SUENEL
https://nana-music.com/users/10036152
https://twitter.com/suenelv

nana公認クリエイター。
「歌はメロディのついた深呼吸」をテーマに、nanaをはじめとするSNSにて生歌の素材を活かしたサウンドを発信中。TwitterではVRoidモデルを使ったバーチャル空間での活動を公開している。as gig labels × nanaタイアップ、V Singerオーディション「ONLY VOICE」ファイナリスト。

SUENELさんインタビュー

── 今回はリリースおめでとうございます。今日は、改めてSUENELさんについてお伺いしていきたいと思いますのでよろしくお願い致します!

SUENEL(以下S):よろしくお願いします!

──最初に、co-creation projectのアーティストに決まった時の感想を教えてください。お声かけしたのは去年の年末くらいだったと思います。

S:まずは嬉しかったです。それと、誰かが作った曲を歌うのではなく、自分が制作に参加できるというのが魅力だなと思いました。

──解禁まで周りに言えない状況が続いたかと思いますが、その間はいかがでした?

S:「ONLYVOICE」の決勝で、SHOWROOMさんで配信をしていた時に応援してくれるリスナーさんがどんどん増えていたので、その方達に向けて早く言いたくて仕方なかったです。でも言えないので、何かやってる感は出してました(笑)何かやってるから待っててね、というのを雰囲気で出してましたね。

──実際の制作についてお伺いします。今回音楽プロデューサーのRyo Itoさんも加わり、全体の方向性の決めからのスタートとなりました。SUENELさんはこれまでにも作詞経験があるとのことで、最初に「今までに書いた詞を見せてください」というところから始まりましたね。
制作の順番としては、SUENELさんの詞から方向性決定⇨アレンジャーの
小木岳司さんにイメージトラックを制作していただきすり合わせ⇨Emyn rumboldさんにメロディーパターンをいくつか提示していただき決定⇨Mikeyさんと歌詞の完成、とその全てにSUENELさんが関わり理想的なコーライトができたように思います。実際やってみて難しかった点や発見した点などはありましたか?

S:序盤の伊藤さんのディレクションがかなり大きかったと思います。まず歌詞については、最終的に自分が今までたくさん書き溜めてきた詞がきっかけになっているので、書き溜めてきてよかったなー!と。伊藤さんに「恋愛に纏わる詞が尖ってていいよね」と言っていただけたのが嬉しくて。
今まで、恋愛より内観的なことを歌詞にする方が得意だと思っていたんですが、もしかしたら恋愛の詞も人とはちょっと違った目線で書けているのかな?という自覚が生まれて、今後は恋愛の詞も煮詰めて行ってみたいなと思うようになりました。

SUENELさんがこれまでに書き溜めていた歌詞の一部を大公開。実は10曲以上ありました。TRiP ON MEの鱗片がすでに見えていますね...!

S:私がいくつか出した歌詞の一つにあった「似合わないことをしてる君が一番かわいい」という言葉をトリガーにする、というのが最初に決まり、それを元に小木さんがトラックを作ってくださったんですが、その流れがすごく面白かったです。今まで自分が曲を作るときは物語ベースで組み立てていたんですが、今回は、このキーワードに合わせてトラックのフレーズが生まれていったんです。こんな作り方があるんだ、と勉強になりました。

チーム間のやりとりはSlackで。伊藤さんの一言が全体の方向を決定づけました。


トラックに関しても、自分の好きな音ってどんな音なんだろう?と普段考えないことを改めてじっくり考えるきっかけにもなりましたが、特に心強く感じたのは、私が好きな音を並べて提示した時に小木さんが全部掬い取ってくれたこと。「それそれ!そういうことなんだよね〜〜!」みたいな(笑)なんで自分はこれが好きなんだろう?というのは感覚的なもので言葉にするのがなかなか難しかったんですが、全て言葉にしなくても、音で会話できている感覚がありました。

──確かに小木さんとのキャッチボールが軽快で側から見ていてもすごく気持ちの良いものでした。

S:やりとりはすごく楽しかったです!いただいたトラックを聴いて、もう少しここをこうしたいと言った時も「確かにここをこうするとこうなりますよね」と即座に返していただいて。音楽でコミュニケーションを取っている感じがしました。

──SUENELさんからも、感覚的なものも含めて「私はこう思う、自分はこうしたい」という意見がどんどん出てくるのがまた良かったです。

S:生きている中で、”自分が何に心がトキメいているか”と常に自分を観察しているようなところがあるんです。例えばスーパーに行っても、今自分は何を欲しているんだろう?とか(笑)トキメくものに対するアンテナは日頃から研ぎ澄ましているかもしれません。だから、音楽に対しても自分がどうトキメいているかを頑張って伝えようとしていました。

──”観察”ということでいくと、人にどう見せようという客観的な目線というか、自己プロデュース力も持ち合わせている印象も受けたのですが、その辺りはいかがですか?

S:もしかしたら…実は本業がゲームプランナーなんですが、プログラマーやデザイナーにイメージを伝えて作ってもらう仕事なので、それが活きている可能性はありますね。自己プロデュースについても、例えばSNSの使い方にも気を付けている部分はあって、内輪受けにならないよう、なるべくパブリックなイメージにしています。”SUENELさん”というリアルとはまた違うSNSでの自分のキャラクターをどう見せようか、というのを常に考えているので、その辺りの目線は今回の制作にも活かせたかもしれません。

──1コーラスのトラックができてから、Emyn rumboldさんより最初に2パターンのメロの提示がありました。

S:A、Bパターンがあって、どちらも歌ってみたんですが、サクッとこっち!と即決でした。

──満場一致でそのパターンが良い!ってなったんですよね。

S:そうでした。でもその後、大サビだったかな?ここはもう少しこんなふうに歌ってみたいという提案をして、それにまたEmynさんが返してくれるやりとりがありました。まさにこれがコーライトなんだな、っていう感覚が楽しかったです。
あと、Emynさんは私がこれまでnanaに投稿したサウンドをたくさん聴いてくださっていて、「あの曲のあの歌い方が好き」とか「あの曲のあの音域が好きだからこのフレーズで歌ってほしい」とか、私のイメージを持ってメロディーラインを出してくださったんですよね。だからこそ歌いやすいし、表現のイメージもものすごくしやすかった。もうリスペクトしかないですよね。Emynさん、本当にありがとうございます…!という感じです。
他にも例えばキーの決定も、私自身の歌いやすさプラス、”私の声が一番魅力的に聴こえるキーはどれか”という皆さんの意見の交換があったり、チーム全員の意見が集まって1つになっていく作り方がすごく新鮮でした。

──歌詞についてはいかがですか?SUENELさんの詞を元にMikeyさんが「歌詞」として作り上げ、そこでも軽快なキャッチボールが続いていたような印象があります。

S:実は最初にMikeyさんから歌詞をいただいたときに「すげーー!!!!」ってなったんですよ(笑)(※突然テンションが上がるSUENELさん)

──詳しく聞かせてください(笑)

S:冒頭の、

空と海が 違うのと 
おんなじくらい
君とわたし 水平線まで
泳いでも 溶け合えない

SUENEL「TRiP ON ME」より

という部分は元の私の詞にはないんですよ。だけど、私がいっぱい書いた色々な言葉を綺麗な風景として書き起こしてくれたんです。なんて素敵な表現なんだろう、これがプロの作詞家さんなのか!!と感動したんです。この表現から始まるのが直感的にすごく好き!Mikeyさんのセンスがすごく好き!って思って。私の思いをちゃんと掬い取って別の言葉にしてくれているのが本当にすごくて。すごい!しか言葉が出てこなかった(笑)

そのMikeyさんの歌詞の軸を元に、少し細かい言い回しなどの変更や修正の提案などはさせていただきました。明確に”こうしたい”と思った箇所があって…この歌詞のキャラクターは、受け身で自分から何かするようなキャラではないという感覚があり、能動的だった箇所は変更のアイデアをこちらから出させてもらいました。

例えば、
【2B】は最初
「本気にさせたい」だったんですが、「惑わせてみたい」に。
【2サビ】も最初は
「きっと君を見つけ出すよ」だったんですが、「きっと君を誘い出すよ」に変更しました。

主人公の女の子は、相手が本気にはならないだろうと思っている根暗な性格なんです。"見つけ出す"も能動的で前向きに感じる言葉ですが、やはり主人公は根暗でひねくれた女の子なので、相手側を動かしたいという意味になるようにニュアンスを変えました。自分から追いかける女の子ではなく相手に追いかけさせようとしている、そのキャラは一貫させたくて私から提案させていただき、こだわった部分ですね。
こんな提案をしても大丈夫かな…とちょっとドキドキしましたが(笑)伊藤さんもMikeyさんも素敵だと言ってくださって、思い切って提案してよかった!と思いました。

──歌い手としてのSUENELさんの感覚を掬い上げながら、プロ目線からの感覚とのバランスをとりながら作品を仕上げていったCWFさんもやはりさすがというところですよね。ここまで歌い手さんがクリエイターとして参加できるプロジェクトは他になかなかないかもしれません。

S:こんな機会そうそうないですよね。私もその一員として汲み取ってくださったので本当に嬉しかったです。

──今回のレコーディングはオンラインでした。実はボーカルディレクションがほとんどなくて、SUENELさんにお任せな感じで...一発OKのような状態でした。

S:私の方で色々表現や歌い方に勝手にこだわって出してみたら「いいじゃん!」ってすぐOKになってしまって、本当にいいのかな?大丈夫かな?と思っていたんですが…

──SUENELさんのテクニック的なところはもちろんなんですが、勘所が的確で、何も修正するところがありませんでした。nana運営も作家さんも満場一致で一発OKで。

S:いやーよかったです。あまりにもすんなり通ってしまったので逆に不安だったんですが(笑)

──不安にさせてしまっていたならごめんなさい(笑)最初に出していただいたものがもう120%以上のベストテイクだったんですよ。

S:もっとやれたんじゃないのかな?と思った部分もあったんですが、実際MIXしていただいたものを聴いたら、あ、これでよかったんだ!って納得したし自信にもなりました。
あと、ハモにもぜひ注目して聴いてほしいです。最初にEmynさんが出してくださったハモラインをレコーディングして、そのあと私からも少し提案させていただき、さらに小木さんからも提案があり…と細かくエディットしながら何度も試行錯誤しました。

──ハモについては、最初はSUENELさん、Emynさん、小木さんの3人で豪速球のようなやりとりがあった記憶があります。今Slackを確認したところ、ハモのやり取りだけで60件近いスレッドになっていました。

S:そうなんです。小木さんも仕事先からボイスメモで送ってくれたり…でもその時、「オンラインで離れてはいるけど、今みんなで一緒に作っているんだ!」という感覚が生まれたのが印象に残っていますし、嬉しかったですね。
レコーディングしたハモに小木さんが作ってくださった生成ハモが重なったんですが、最終的にハモをどの部分にどのように重ねるかについても何度もチーム全員で話し合って決めました。メロとハモのバランスはすごく気に入っています。

──今回、マスタリングに興味があって…、というところから森﨑さんのスタジオにも行かれたんですよね。ミックスからマスタリングまで音源の比較などもしつつ立ち合われていましたが、何か得たものはありますか?

S:こんな機会そうそうない、と思い切ってご相談したら、マスタリングに立ち合わせていただけることになりました!実は最初にMIXでA案B案をいただいたとき、スマホ用のイヤホンで聴いていたんですが、正直全く違いがわからなかったんですね。でも、良い環境で聴かせてもらったら音が全く違っていた。これまで自分でMIXすることもあったんですが、今回の体験で自分のモニタリング環境が悪いことに気づいてスピーカーを変えたり配置を変えたりしたところ、同じ部屋いるはずなのに音が全く変わったんです。モニタリングの環境の大切さを知りました。
最終的に全員一致でB案となり、自分が気に入った音で配信できたことも嬉しく思っています。

──このプロジェクトに参加する前と今とで何か変わったことはありますか?

S:まずは先ほどの通り自宅のモニタリング環境が変わりました(笑)あと、楽曲を作ることに対するモチベーションが上がりました。昔作っていたこともあったけど、最近はあまり作らなくなっていて…もちろんカバー曲は歌ってきましたが、オリジナルを作るって気合がいるじゃないですか。でも、オリジナルだからこそ興味を持ってくれる人もいて、もっとオリジナルを作っていきたいと思うようになりました。
あと、実は”人と一緒に何かを作る”というのを少し敬遠していた部分もあったんですが…音楽だけじゃなくて、人と何かを一緒にやるって難しい部分もあるじゃないですか。だから最初は一緒に作るってどういうふうになるんだろう?と不安もあったんですが、すごく和気藹々と楽しくて。人と一緒に何かを作るって楽しいことだなって思い出させてもらえたというか。これからも機会があれば自分でチームを作って何かを作り上げてみたいなと、誰かと何かを一緒に作ることにポジティブになれました。コーライトの楽しさをちゃんと味わえました!ありがとうございます。

──その感想はすごく嬉しいですね。ちなみにリリース後の周りの反応はいかがですか?

S:一番近いところの反応としては、妹がめちゃくちゃ喜んでくれています(笑)気に入って口ずさんでくれていますね。

※妹さんもnana公認クリエイター、うかさんです。

S:ネットで派生しているとこはすごく嬉しくて、ラジオでピックアップしてもらったり、プレイリストにインしてもらえたり…。ちょうどV Singerとしての活動も始めたこともあり、バーチャル方面からのファンが増えていることも嬉しいです。TAKUYAさんのラジオで紹介いただいてからもまたフォロワーさんが増えて、そこで紹介されていた他のシンガーさんと繋がることもできて、少しずつ広がっていることを感じます。


──ありがとうございます。リリースについて伺ってきましたが、ここからは少しnanaについても聞かせてください。nanaを始めたきっかけを改めて教えていただけますか。

S:昔は結構積極的に音楽活動をしていたんですが、色々あって歌をやめてしまっていた時期がありました。でも、私が歌をやめていることをもったいないよ、と言ってくれた友人がいて…。もったいないからネットにあげなよ?って。
ただ、人に聴かせるなら作り込まなきゃ、こだわらなきゃ、という思いも強くて尻込みしていたんですね。
そしたらその友人が、nanaならラフでいいから1日1曲あげてみろ、30分でいいから歌ったものをそのまま出せ、投稿するハードルを下げてみなよ、って言うんです。とにかくSUENELが歌わないのはもったいないから、って。
またその時期に、とあるゲームの推しキャラが「自分が好きな表現と、自分に似合う表現が違ったとき、まずは後者を武器としてしっかり自分のものにできたら、結果的に好きな形で自分を表現できるようになる」というようなことを言っていて、それならやっぱり私の得意なことって歌だよねって思ったんです。
友人と、好きなキャラクターに背中を押してもらって、「歌う」ということを久しぶりに始めたのがnanaでした。

──nanaを始めてみてどうですか?
実はコロナ禍になってから始めたので、nana歴はそんなに長くはないんですよね。でもその短い期間の中でピックアップいただいたり、TikTokの広告に使っていただいたり、ONLY VOICEのオーディションでファイナリストになれたり、フォロワーさんも増えて、V Singerの活動も始めて、すごく充実しています。

──今後の夢や展望がありましたらお聞かせください。
S:V Singer活動も始めましたが、歌うVTuberになりたいわけではなくて、バーチャルの音楽アーティスト、バーチャルシンガーになりたいと思っています。生身の私もリアルでライブ活動もしているんですが、リアルの自分とはまた別の、ネット上のアバターとしてのシンガー、SUENELさん。自分とは人格もキャラクターも違います。でも、リアルとバーチャルの二人の自分がいることが自分の救いになっていたりもします。
nanaはその中間かもしれませんね(笑)
実はONLY VOICEに参加するまでVのことは何一つ知らなかったので、配信を含めて貴重な体験ができたONLY VOICEに感謝していますし、そのきっかけとなるオーディションを開催してくれたnanaにも本当に感謝しています。

──nanaとしてもそれは非常に嬉しいです。ありがとうございます。
では最後に、すでに「TRiP ON ME」を聴いた方、そしてこれから初めて聴く方に向けて何かメッセージをいただけますか。

S:TRiP ON MEの魅力はやはり「音」だと思うので、ぜひヘッドホンで聴いて欲しいです。あと、nana民にはぜひたくさんカバーして欲しいです!すでにコラボしてくれた方もいて嬉しいのですが、もっともっと広がって欲しいですね。

──本日はありがとうございました!今回のリリースがSUENELさんの糧となり次へのステップになっていたら嬉しく思います。
みなさんもこれからもたくさん「TRiP ON ME」をたくさん聴いて、歌ってみてくださいね。


これまでのインタビューはこちら

第1弾

第2弾

第3弾

第4弾


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