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海外移住の覚え書き。小さな国に住むということ

私は、北海道より一回り小さい面積のジョージアという国に住んでいます。

人口も日本の10分の1以下です。(ウクライナとロシアの戦争の影響で、ジョージアの人口は一気に増えましたが、それでも。)

今回は、そんな小さな国の首都トビリシに1年半住んでみて感じる、大きな国にはないメリットを紹介します。


1. 治安がいい


日常生活のなかで、一度も身の危険を感じたことがありません。

物を盗まれたことも、痴漢をされたことも、暴力を受けたこともありません。

日本は「席を立つときに荷物を置いておいても盗まれない」「落とし物をすると返ってくる」国として有名ですが、ジョージアも同じです。

さらに、私が旅行中にやむを得ず荷物をベンチに置いてその場を離れたことが何度かあったのですが、戻ってくると、誰かが荷物の隣にいて盗まれないように見張ってくれていたことも何度かありました。

「なんでこんなに治安がいいの?」と、ジョージア人の友達に聞いてみたところ、「小さい街だと全員が全員のことを知ってるようなもんだから、悪いことできないよね」という回答が。

実際に、ジョージアの友達と遊んでいると、行く先々で知り合いに遭遇しています。

初めて会う人も、話していくうちに、たいてい共通の知り合いがいることが分かるそうです。

日本でも、「え、あの人とあの人がつながってるの?」ということがたまにありますが、ジョージアではそれが普通な感じ。

たしかに、こんな環境では、悪いことはなかなかしにくい気がします。

関係ないですが、この国でも日本語シャツが流行っています


※ 治安がいい他の理由として、信仰心が厚い国であることや旧ソ連時代の共産主義の名残り(お金にガツガツしていない)というのもあるかもしれません。

※ 私自身は治安の悪さを感じたことは一度もないのですが、他の日本人の移住者3名から、ひったくりに遭った、カツアゲされた、セクハラされた、という話を各1回ずつだけ聞いたことがあります。もしかしたらジョージアの治安の良さに関する意見は人それぞれかもしれません。

※ 知り合いだらけということで、常にだれかに監視されているような閉鎖的なコミュニティなのではないかというイメージを持つ人もいるかもしれませんが、ポイントは首都だということ。そんなに重くなく、カラッとした雰囲気です。


2. 移動が楽


メトロの移動は、路線が2つしかなく、大抵の場所には10分以内で行くことができるので便利です。

朝や夕方のラッシュアワーも、朝の中央線のピークの70%くらいです。

(人の多い電車に無理やり乗ろうとする人は少ないです。中央線の感覚だと「まだ10人は入るじゃん」と思ってしまうこともあります)

ただ、車に限っては少し話が違います。

小さい街ということで大きな街道も少ないので、車の渋滞も起こりやすく、車通勤の人は大変みたいです。


3. Googleマップが正確じゃないので、日常が冒険になる


東京に住んでいた頃、街のすべてはGoogleマップと瓜二つでした。

まるでGoogleマップを設計図にしてこの街がつくられたのかと錯覚してしまうほどの、寸分たがわぬ情報精度。

だから今まで、どこかに行くときに、事前にその場所の様子を写真やレビューで確認できなかったり、その目的地にたどり着けなかったりすることはほとんどありませんでした。

でも、ジョージアでは、行きたいお店が地図に存在しないことがあります。

存在していても、場所が違ったり、お店の情報が違っていることがあります。

最初は、Googleマップのストリートビュー機能がないからかなと思ったのですが、同じようにその機能がないロシアでは、そんなことはないらしいです。

ということで、ユーザーの情報提供による集合知が少ないのが理由なのではないかと友人の間では話しています。

とにかく、ここではGoogleマップはあまり信頼できないので、真実を知りたいなら行って確かめる必要があります。

日本に住んでいた時は、Googleマップを見ただけで満足して、行かなくて
いいか~となることもあったのですが、ジョージアでは、とにかく行ってみようと思えます。

そうすると日常にちょっとした冒険感が出て、けっこう楽しいです。

たまに、地図に載っていない店や通り道を発見すると、ゲームで隠し扉を見つけたときのようにワクワクしてしまいます。


最後に。小さい国に住むということ。


ジョージアの人たちは「ジョージアは小さい国だから」とよく言います。

ヨーロッパとアジアの間にあり、真上にロシアがあり、歴史的に色々な侵略を受けてきた国だから、そこには、色々な意味が込められていると思います。

私はいつも、彼らが「ジョージアは小さい国だから」と言うとき、そこに「だから、頑張らなきゃいけない」という言葉が続いている気がしています。

小さいということは、危険にさらされやすいということでもあります。

国民ひとりひとりの政治への関心が高いのも、危機意識があるからだと思います。

ここに住む外国人たちも「いつ何があるか分からない」と話しています。

小さい国に住む魅力とともに、そういう側面も知っておかなければいけないなと感じています。

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私は、ジョージアは小さい国だけれど、長く深い歴史を持ち、度重なる侵略にも屈せず自分たちの文化を守ってきたことを知っています。

これから世界がどうなっていくか分からないけれど、ジョージアの歴史や文化や誇りが損なわれない世界であってほしいと思います。

(ちなみに、ジョージアに住むロシア人の一部は、「ロシアは大きい国だから」とよく言います。ジョージアの人と対照的で面白いなと思います。この話はまた別のときにします)

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