秋と冬の境目を歩く朝、ふたつの幸せを想う
雨の音で、目が覚めた。
窓は開いていないはずなのに、部屋の空気はひんやりとしていて、心なしか澄んでいるような気がする。
まだ、夢と現実の間をふわふわと漂っている気分だった。
薄いタオルケットを肩のところまで引き上げ、まどろみながら、しとしとと静かに地面を濡らす雨音に意識を向ける。
昨日の夜、彼から借りた半袖Tシャツから出た左腕は、もうすっかり一晩で冷えきっていたけれど、身体の右半分は、彼の体温であたたかかった。
「おはよう」
隣で何度かそう呟いた彼の声を、目を閉じ