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Notefolio #06 | 一輪挿し付きデスクライト HAKKO KUJIRA

年始にあれだけ宣言したにもかかわらず、だいぶ空いてしまいましたのでバケツを持って廊下に立とうと思いましたが、バケツも廊下もありませんでした。無念。

目下作っているものはもう少しでお目見えできるのですが、今回は一旦過去編。3年前程に作った一輪挿し機能付きのクジラ型デスクライトでございます。家内制手工業で30個ほど量産しました。これ。

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機能としては、クジラの鼻孔(潮吹くところ)に当たるところに小さな瓶が挿入されており、そこが一輪挿しになっています。そのちょっと後ろに照度センサがひょっこり顔を出しており、明るいところでは消灯、周囲が暗くなるとクジラの中の2つのLEDが光るようになっています。なんでそんな仕様にしたのかって、、それは後ほど。。

事の発端

今から3年前程に結婚式を挙げるという自分には到底来ないだろうと思っていたライフイベントが発生したのでした。パリピという概念からは程遠い僕と妻ではありますが、せっかくなので二人ならではのものを作ってみようということになり、(1)水族館に行くのが共通の趣味。(2)華道をやっている妻(師範持ち)。(3)何か作れそうな僕。という3要素から、一輪挿し機能付きのクジラ型デスクライトというオリジナルのデバイスを作ろうという運びになりました。あれ?おかしいな。。

ちなみに、この機に乗じて自宅に3Dプリンタが欲しい!と主張したところ、「材料原価も含めて10万円までならいいよ。」というお達しがでましたので、晴れて3Dプリンタも買いました。えへ。

設計編

そんなデバイスを結婚式で1から作ろうのいうのもなかなかチャレンジャーだと思うのですが、せっかくだしというか早々無い機会だからなのか、もう少し気の利いた(?)演出にしてみようという事になり、いや、事になりというよりはむしろただ単に思いついてしまったからのような気もしますが、つまり、各テーブルにライトがただ光ってる状態じゃなくて、最初はあたかも各テーブルに飾ってある「クジラ型の一輪挿し」という装いにしておいて、お色直しで中座して、再入場するときに会場の明かりを落として、その瞬間クジラが全部光る。みたいな。30個。

最初は設計簡単なArduinoで組もうと思っていたんですよね。互換機で組み込みできるくらいの小型ものありますし。でも予算の関係から難しいわけですね。3Dプリンターが4万円でしたので、6万円で30個分の材料費を捻出しなければいけません。単純計算1匹あたり2千円。えっ。

しょうがないのでほとんどやったことのない、オペアンプとか使って回路を設計することに。オペアンプis何。

どうにかこうにかGoogle先生と共にインターネットを奔走しまくって、
・照度センサによりLEDを2個点灯させる(環境光による点灯/消灯
・LEDがふわっと光る(ディレイ回路)
・微妙な明るさでLEDのOn/Offがぶれない(シュミット回路)
・デバイス自体の回路をOn/Offする自照式スイッチ搭載(消灯状態でもデバイスのOn/Offの状態が見やすい
・ボタン電池での駆動(披露宴中に電池切れない程度の駆動時間
という代物が出来上がりました。

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そしてクジラ型のケースも作らねばなりません。当時はFusion360を使っていなかったので、Shade 3Dです。はい、そこ苦い顔しないで!

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結婚式の準備って大変とよく聞きますよね。ご多分に漏れず僕らも大変だったわけなのですが、設計と試作が出来上がったのがなんと結婚式当日の3週間前なのでした。は?

量産編

さて、作ったクジラケースを急いで3Dプリントしなければなりません。30個。上下2パーツありますが、1組プリントするのに7時間ほどかかります。これをすべて2週間でプリントします。したんですよ。(計算するとおかしな事になるから計算しないでくださいね。)

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そして回路の実装です。つまりはんだ付けです。
回路は円形のユニバーサル基板に2つに分けています。つまり60枚分の基板のはんだ付けです。エクストリームはんだ付け。ここまで来るとおそらく何かのスポーツです。

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最後の方はウルトラスーパーぎりぎりスケジュールでしたので、コードの皮むきを妻にお願いしたりもしました。あのときはごめんな。。まさか結婚式の準備でワイヤストリッパを持たされる新婦がどこにいるだろうか。。

という助け合い(?)もあり、無事に式場へぎりぎり納品を果たしたのでした。さながら同人誌の入稿のようだったぜ。。(だめだよ。)

式&披露宴当日

イベント当日は奇跡が起きました。
なんと30個全て動作したのです!!

そんなの当たり前だろうと思ったそこのあなた。家電が動く事、何もしていないのにWindowsが青い画面を表示しない事、非常電源が動く事、そしてエヴァが起動する事は当たり前だと思っていませんか?
そんな事はありません。自分で作ったものは大抵動きません。エヴァも動きません。いくつもの試作とテストとデバッグの末にようやく動くのです。動け、動け、動いてよ!今ならシンジくんも気持ちもわかります。ヨドバシで買ってきて即座にほぼ必ず動く冷蔵庫、洗濯機はもはや神です。

結果から書くと、全てが計画どおり、想定どおりに事が運びました。
30個すべての動作確認は一応はしたとはいえ、本番でちゃんと稼働してくれたのはまさに奇跡でした。(そしてすべてを計画通りの段取りで実行するスタッフの方々すごすぎると思いました。。)

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ちなみに、披露宴が終わったらゲストの皆様に一人ひとつずつプレゼントいたしました。持ち帰り用のパッケージに包んで。

パッケージは、披露宴終了後ゲストの皆様が帰り支度する短い時間で梱包できるように設計しました。そしてもちろんかわいく。

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ちなみに名前のHAKKO KUJIRAは発光とマッコウクジラをかけてみた。でも別にマッコウクジラぽくはないな。。

最後に

最後に。とかそれっぽく見出しつけたところで特にオチはないのですが、今振り返るとよく間に合ったなぁと思います。大変すぎてもうやりたくないな、とか思っても喉元過ぎればなんとやら。ものづくりとは一種の病気なのかもしれません。無念。

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