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放浪歌人になる

勉強することだけに意味があると、思想が凝り固まっていた中二の頃の話。
そのころ、「ちはやふる」という漫画が流行っていた。百人一首の恋の歌がものすごく好きで、「百人一首を読む」ことが好きだったわたしは、「札を取る」ことに特化した競技かるたというスポーツにあまり乗り気ではなかった。(漫画の中でいうと、まさに「かなちゃん」キャラ。笑)

しかし熱心な親友の誘いで百人一首を始め、本格的にカルタ会に入会して練習をした。結局長続きしなかったけれど、今でも札は覚えている。そして百人一首など素敵な歌の数々は今でも、どうやって風景を、どうやって感情を、歌に詠むのがいいかということを、たびたび教えてくれている。

今思えば、凝り固まった自らの思想の隙間に、百人一首が入り込めたというのはなかなかにすごいことだったんじゃないかと思う。中三になればそこに芭蕉が増え、これは歌というより句だけれど。

あのころの自分に今の旅暮らしを説明するなら。いや、多分説明してもわからないだろう。わたしが詠んだ暮らしの歌、旅の歌を、「昔の自分」に見せるというのが、結果的に一番素直に認めてくれるはずだと思う。旅に生きた芭蕉、恋を詠んだ額田王に憧れ、いつかそのように生きたいと願っていた過去の自分に。今や歌人になって、旅人になって、「こんな旅の歌が詠めたよ」「こんな恋の歌を詠んだよ」と見せたとき、「こんな素敵な歌を詠む人生は素晴らしいに違いない」と言うしかないような歌を詠もう。これは決意だ。

だからわたしは、歌を詠むために旅をして、旅をするために歌を詠む。

#歌人
#歌人デビュー
#百人一首好きな人と繋がりたい
#ちはやふる
#額田王

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