Ep.33「力強く進む」
大きな音を立ててエンジンが鳴る。燃料の匂いがした。
港から離れていく。力強く。
船の作る、大きな波跡。
その白い波跡が生まれては遠くに消えていく様を、ずっと見ていた。
一人で旅をしているけれど、心のどこかにミナがいて、また違うところには、少し成長した、半歩先の未来の自分がいる。
だから孤独ではなかった。寂しさは全くない。
今までは、自分を見失っていたと思っていたけれど、それは違った。
周りと大きな隔たりがあっても、それでも自分の感性が鳴らす音を聴いて進めばいいと、信じ抜く強さがなかっただけだ。
この道でいい。この選択の先には、ミナがいる。それなら私は、間違っていない。
ミナ。
あなたという目標を、本当に、ありがとう。一人旅という新しい学び舎を教えてくれて、本当に、ほんとうに、ありがとう。
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