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ギャル、勇者になる

24
真奈ちゃんの冒険に興味を持った方、ここに来てくれればほかの記事のノイズに邪魔されずに読めます。
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ギャル、勇者になる 24

「これがアタシの戦い方! エーカトール式ルチャリブレ!」
イキーシンに強烈なかかと落としを決めたセレちゃんが言う。
「クッ…たかが踵落としがどうしたっていうんだ…」
 そう歯を食いしばるイキーシンだったが、蛇鱗空間が解除されたことで彼に入った一撃は相当重かったのだと推察できた。
「セレちゃん…すごすぎだよ…」
「どうってことないよ! これくらい。だってこれアタシの一番単純な攻撃だし」
 にっこりと

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ギャル、勇者になる 23

 それは突然やってきた…!
「全然帰ってこないと思って見にきたんだが……まさかしらねぇ奴に稽古つけてたなんてなぁ!ハッハッハ!笑っちまうぜ!」
 …あ、ウチ、桜河真奈!一緒にエーヴァック王を討伐するために力を貸してくれるというブラッドさんに戦い方のレクチャーを教わってたんだけど…
 なんか「来た」の!ワケワカンナイ感じになりそうなんですけど!
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「…イキーシン、どうしてここに!

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ギャル、勇者になる 22

「レピティリア姉さんを…倒したの…?」
「だからそう言ってんじゃない。アタシだって一応一国の長なの。わかる?」
 エーヴァック嬢が知っている「強さ」の概念ををいとも簡単に覆す女性、エミト=イソティリカ。その計り知れぬ強さに、身内がやられたなどという内輪の感情を考える余裕はエーヴァック嬢には無かった。
 そしてその妹であり、エーカトール邸のメイド長であるレイラ=イソティリカにもまた、彼女は警戒を目を

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ギャル、勇者になる 21

「そんな威圧感出さなくてもいいだろ!本当に妹の様子を見に来ただけなんだし」
 自分の目的を理解してくれない事にストレスを感じている一人の女性がいた。
「門番担当のメイドの首を持っている貴女に警戒する事は当然ではなくて?」
 それに応対する女性がもう 1 人。この館の主、アトリ=エーカトールだ。
 突然やってきた「エミト=イソティリカ」と名乗る人物は、館の主に苛立ちを覚えていたのである。
「なら調べ

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ギャル、勇者になる 20

「遅い…」
 そう呟く人物がいるのはボーア領に存在するエーヴァックの城の中である。
「レイラはまだ戻ってこないのか?」
「場所はつかめている為、ブラッドとレティの2人を向かわせているハズなのですが…」
 少し焦った表情で報告するのはエーヴァック王が率いる軍における幹部の1人。報告の相手は勿論、彼の父でありボーア領の王であるアルヴォーク・エーヴァックだ。
「確か場所は旧エーカトール領の館だったか…?

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ギャル、勇者になる 19

「さ、まずは単純なところから始めていこうか」
 そう言うのはボーア領次期女王であるレイラ・エーヴァックの異母姉妹であるブラッド・エーヴァックだ。
 現在、ウチらがいるのはエーカトール邸の西棟にある訓練場。広さ的には一般的な学校の体育館ほどの広さではあるが、なんと言っても天井の高さが違う。
「真奈、ファイト〜!」
 このなんかちょけてる金髪ガール、セレナ=エーカトールこそ、このエーカトール邸に住む1

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ギャル、勇者になる 18

「…あいつ…どこ行ったのかしら……ああ〜!時間ないのに!!イライラする〜!!」
 とある街をウロウロする女性が一人。誰かを探しているようだ。
「よ、そこの綺麗なネェさん!困り事かい?」
 この地域では珍しい「お好み焼き屋」を開いている一人のガタイの良い店主は、その女性に声をかける。
「なんか言ったかしら、えぇ!?」
 店主に向かってまるで牙を剥くような声量で返答した。
「おいおい…せっかく悩んでい

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ギャル、勇者になる 17

「貴女達に頼むのは……レイラ・エーヴァックの依頼である『父親を倒してほしい』を共に遂行してもらうことです」
 訪問者の『レイラ・エーヴァックを返してほしい』という依頼に対し、躊躇いもなく承諾した女王が、その見返りとして出した条件である。
「お嬢の……依頼……」
 その依頼内容に困惑しつつもその言葉を受け取ったブラッド・エーヴァックとレティ・エーヴァックの表情は、どこか決心した表情にも見えた。

 

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ギャル、勇者になる 16

「名乗る必要はない。私たちはそこにいる次期女王を取り戻しに来ただけだ」
 小柄な女性はエーヴァック嬢を指差し言う。
「ブラッド!いきなり敵意向けちゃダメっすよ!」
 長身の女性ーレティ・エーヴァックが制止する。
「いつ仕掛けられるか分からないのに気を抜いてる場合か!」
 小柄の女性はすでに戦闘体勢である。彼女、ブラッド・エーヴァックというらしい。
「お、落ち着いてください!主人様はご依頼主様に刃を

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ギャル、勇者になる 15

「威厳のある館なのに機械のインターホンが付いてる…」
 『御用・ご依頼の方はこちらを押してください』と書かれたプレートの横に設置されているインターホンのボタンに長身の女性は指を押し当てる。そこから発せられる機械音は高めのピンポンの音。別の地域のものを取り入れているという話は聞いたとはいうものの、おおよそ『禁術を使い追放された元女王が住まう館』には似合わないものだった。
「…もしかして間違えた?」

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ギャル、勇者になる 14

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「エーカトール邸にね…了解。すぐに向かうわ」
エーヴァックの城内で報告を受けた一人の女性がそう言う。
「なんでアタシらがいかないといけないんですかね~?というか大体おかしいんですわあの人のやり方さ~!なんで自分の子供を幽閉させたいんだか…アタシにはわからないよ…」
もう1人の背の高い女性が言う。その言い方はもはや愚痴に近い言い方だった。
「エーヴァック王の娘の幽閉事情については疑問が残

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ギャル、勇者になる 13

ウチ、真奈!
エーヴァック嬢との駆け引きを通じてアトリさんの「女王」であった所以をまざまざと見せつけられた気がする…!というかあれ、ほぼ尋問というか…
何はともあれ、依頼を承諾したからにはセレちゃんのパートナーとしてここにいるウチもいよいよ本格的に動き出す時がきたってコト!?
頑張るっきゃないでしょ!
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 エーヴァック嬢の依頼を正式に引き受けたウチらは、これからどう動くかについて考え始め

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ギャル、勇者になる 12

ウチ、真奈!
ウチらを襲ってきた「レイラ・エーヴァック」と名乗る人物が実は今お騒がせ中のエーヴァック王の娘その人だったの…!
しかもウチらになにかを頼みに来たんだとか…どうなっちゃうワケ?!
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「なるほど。エーヴァック王の娘ですか」
 ウチらはレイラさんの部屋から移動し、以前ウチとアトリさんが初めて会話したティールームに来ていた。レイラさんが言うにはアトリさんはこの部屋が一番集中できるら

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ギャル、勇者になる 11

ウチ、真奈!
ウチらを狙っていた「何者か」とバトル中なんだけど…レイラさんの目が無くなっちゃった…焦りを隠しきれないウチに声をかけてきた「何者か」の正体は「レイラ・エーヴァック」と名乗る女性。レイラとレイラだし、エーヴァック家の人みたいだし…ワケワカンナイんですケド!!!!!
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「レイラ・エーヴァック・・・てことは、今絶賛お騒がせ中のお家の人?」
 名前を聞いたウチは思わず聞き返す。する

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