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【20代で読むべき1冊】原初生命体としての人間 を読んだ感想

マガジン WIRED https://wired.jp/
のSNSにて20代のうちに読んでおくべき1冊として紹介されていた、野口三千三さんの著書「原初生命体としての人間」を読みました。

野口三千三 プロフィール


野口三千三(1914-1998)
群馬県出身
東京体育専門学校助教授
東京藝術大学教授、名誉教授
野口体操を考案し、教室を主催されていました。

今回はとくに心に響いた3つの言葉を
引用させていただきながら
感想を書いていきます。

①皮膚に包まれた液体を実感する

「生きている人間のからだ、それは皮膚という生きた袋の中に、液体的なものがいっぱい入っていて、その中に骨も内蔵も浮かんでいるのだ。」

多くの人が身体に対して持つイメージは
骨があって、その周りに筋肉や内臓がついていて
さらにそれらが皮膚で覆われていて…

身体はどちらかといえば、個体であるような
感覚を持つ人が多いのではないでしょうか。

著書では、袋の中に骨や臓器が浮かんでいるという
身体の主体を液体として考える発想が説明されていて、とても新鮮でした。


身体に対するイメージの持ち方は、とても大事だと思っています。

例えばヨガのレッスンで側屈について
お伝えするとき

「腕を上げて体を横に倒して」と説明するよりも

「腕を空へ伸ばして、ふーっと息を吐きながら
肋骨と肋骨の間を広げるように
ギューッと、気持ちよく伸ばしながら倒して」

とイメージしてもらったほうが
心地よさはもちろん、身体の動きも変わってくるからです。

2つのイメージを比べてみると、
なんとなく身体の感覚が変わる気がしませんか?

他にも、様々なユニークな7つの身体論が説明されていて、とても面白い内容でした。

②息することは生きること

「その人が生活の中において、どのような呼吸の在り方をしていることが多いかの傾向によって、その人の性格や、からだの中身の在り方が決定されていく」

普段、仕事でPC作業に集中している時、イライラしている時、忙しい時、ふと意識を向けると呼吸がかなり浅くなっていることが多いです。

逆に、ヨガでゆっくりゆっくりと身体をほぐしていくと、胸や肋骨回り、背中の伸縮がとても大きくなることに驚きます。
この時、とてもゆったりした気持ちで、物事を素直に見つめ受け入れることができたりします。

呼吸の状態によって、気持ちが変わり、日々の選択が変わりその積み重ねで人生が変わっていく。

常に意識を呼吸へ持ち続けることは簡単ではありませんが、自分の本来の自然な呼吸で生活することが
心地よい、無理のない、自然な生き方や人生に繋がっていくと再確認させられた1文です。

③人間を精神と肉体に分けることを否定する

「肉体を、精神という主人の私有物化し奴隷視して、それに対して勝手に苦痛をあたえ、そうすることによって精神が高尚になろうとするような、精神の傲慢さ・非情さは絶対に許すことができない。」

とっても厳しい1文だなと思いました。

私も昔、単に、精神的に強くなりたい、という理由だけでマラソンを走ったり、山に登っていたことがありました。今思うととても浅はかで恥ずかしいですが、過酷なことに耐え、根性で乗り越えることが、自分を強くする方法だと思っていました。

しかし達成した後に残ったのは
・思い出
(もちろん大切な仲間と頑張った経験、感謝は一生  ものです)
・肉体疲労と怪我
・一時的な達成感
・ランニング・登山に限局したわずかな自信

この4つくらいで
ここに得られると思っていた
精神面での成長や、自分に対する根本的な自信はありませんでした。

ただ単に肉体を追い込むだけでは
心の強さにはつながらないと感じた経験でした。

※ポンコツな私と一緒にいろんなことに挑戦し、支えてくれた人たちには今でも本当に感謝しきれません。人生のかけがえのない思い出であることに変わりはありません。ただ、ここでは私の当時の未熟な思考について書かせてください。

さらに加えて、”生身のからだに対して思いやり、慈しみ、いたわりのあたたかさを持てないところに
よい人間があるはずがない”と、また厳しい言葉が書かれています。

今は肉体を痛めつけて精神的に成長できるとは思いませんが、日常的につい肉体より心を優先して、”身体は限界だけど気持ちだけでなんとか乗り切る”場面はまだある気がします。

このような肉体と精神の、浅はかで単純な主従関係はなくしていきたいと思いました。

番外編


そして最後に
身体論とは離れますが

「自分の一番大事なものが、他人に通じようが通じまいがそれは二の次のことだ。」

この言葉も、今の自分にとても響きました。

ただわがままを貫いてもよい、という意味ではなく
自分自身のほんとうにやりたいこと、大切と感じているものを徹底的に極められないままで、社会のために、他人のために、どれだけの行動できるだろうか、ということです。

そこから生まれた社会でない限り、根無し草であると書かれています。

今までヨガをお伝えする中で、レッスンを継続されない生徒さんがいると自信をなくしたり

「世の中にはヨガをしていなくても自分より元気に見える人はたくさんいる。自分がヨガの魅力を伝えることは、押しつけがましく迷惑なのではないか。」

と考えてしまい、その自信のなさがレッスン中の表情、言葉選びに現れ、ひとり大反省することがありました。

しかし、他人にたとえ通じなくても、自分が勉強を重ね、徹底的に俯瞰した上で”良い”と思ったものを伝えていくこと、行動を起こし続けること、それが自分を生きることになり、そして社会のために生きることに繋がっていく、ということを教えてくれた1文でした。私にとって大発見でした。

最後に

拙い文章を最後までお読みいただき、ありがとうございます。

とても中身が濃い本で、まだ一読したのみなので
解釈の誤りや理解の浅さがあるかもしれません。

もっと早くこの本に出会いたかったと思います。
身体を動かすだけでなく、生活、仕事に役立つ内容が盛りだくさんでした。

この本も、ヨガと同じく
全ての人にお勧めしたいです!

私自身もまた何度も読み直し、理解を深めていきたい1冊です。

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