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恋愛相談室 Twitter店 ①

シナリオ案です◇
・選択テーマ

①大麦こむぎさんの『月がきれいですね』

・人 物
梛木陽(30)恋愛相談室 Twitter店 運営
大福         梛木の愛犬・パグ
綿矢理子(19)大学生
笠原光喜(19)大学生
理子の母
美容師
客A
先生

・ストーリー
梛木陽は、過去の経験からweb系の会社で働きながらTwitterで恋愛相談室というSNSを更新している。ある日から、恋愛には必要不可欠な『すき』という単語が日本から消えた。その後の日本において、恋愛コラムニスト達が支持を受けるようになる。陽の人に寄り添う言葉とたまに出る痛烈なコメントが、現代の悩める人々にフックし人気を集めている。読者からは女性だと思われているが、30歳の男性である。ペットのパグ・愛犬の大福とのゆるい日常劇とSNSを通して様々な人々の恋愛模様に触れる。片思いのクラスメイトと同じものを共有したい女子大学生、旦那に飽きられないよう完璧な妻を演じたいが上手くいかない主婦など相談者が次々と現れる。

①片思いのクラスメイトへ

・本文(※上手く改行できない箇所があり見づらいかもしれません)

○さわら荘・梛木の部屋
   部屋には床にペターっと横になる大福。
   中央にはソファとテーブル、男性物の洋服が散乱している。
   流し台には食べ終わったカップラーメンの入れ物。
   テーブルの上に置かれたパソコンから受信音がする。
   そこには「Twitter _riko片思いの人のことで悩んでます」と表示。
   大福がむくっと起き上がる。
   
〇渋谷の街中
   行きかう人々、交通量の多い道路
ナレーション「ある日突然、恋愛には必要不可欠な『すき』という単語が無くなった日本。その後の日本において、恋愛コラムニスト達が支持を受けるようになる」

〇渋谷駅周辺
   外は雪が降っている。
   綿矢理子(19)、ガードレールにもたれかかり空を見上げ雪を見る。
   ため息に似た息を吐く。

〇同・携帯画面アップ
   理子、Twitterを開いており、画面にはyou(ヨウ)の文字。      
   プロフィールには恋愛相談 Twitter店の文字。

〇渋谷の繁華街・路地裏
   梛木陽(30)、歩きながら携帯を見ている。

〇タイトル
   「恋愛相談室 Twitter店」

〇晴れ渡る空

〇美容院・中
   美容師にカットを受けながら雑誌を見る客A。
   雑誌には「今注目すべきSNS」、「恋愛相談室 Twitter店 you」
美容師「その人、今人気みたいですよ」
客A「そうなんですか?」
美容師「私も見てるんですけど、良いこと言
うんですよね~姉さんて感じです」
客A「へ~私も見てみようかな」
美容師「恋に悩める人の救世主ですよ」
   客Aの髪を切る美容師。

〇さわら荘・玄関
   玄関には小さい雪だるま。
   大きめのくしゃみをする梛木陽。

〇同・梛木の部屋
   ガチャっとドアの鍵が開く音。
   大福、むくっと起き上がる。
   扉を開けて鍵を玄関に置く梛木。
   そのまま携帯をいじりながら入ってくる。
   部屋に荷物を置き、ゲージを覗く。
梛木「ただいま、大福」
   大福は真ん丸とうずくまったまま。まったく、といった表情の梛木。
   梛木、ソファに座りパソコンを開く。
Twitterのメッセージを見る。 「Twitter _riko片思いの人のことで悩んでます。ご飯に誘ってもそっけなく、反応が薄いです。脈がなさそうですがこのままでは進展がなさそうで…どうしたら気持ちが伝わるでしょうか?」の文字。
   梛木は手を顎にかけて考える。
梛木「んー」
   梛木は文字を打つ。
   「何事もしたいと思った時がタイミング。薄々気持ちに気付かれ時から、曖昧な態度とってたら相手は逃げ始める」
からね」と返信をする。
   打ち終わりソファに寄り掛かる梛木。
   梛木は立ち上がり、大福に餌をちらつかせる。
梛木「大福、大福」
   大福、ゲージの中で梛木の持つ餌を目で追う。
梛木「その前に」
   梛木、大福を手に乗せようと触るが噛まれてしまう。
梛木「いた!……もう触らせてよ」
   梛木、もう一度触ろうとするが逃げまわる大福。
   大福は隅っこで梛木を見つめる。
   梛木は諦めて餌をあげる。
   大福は喜んで食べている。
梛木「ずるいんだよなあ、大福め」
   ゲージを指で突く。
パソコンから受信音がなり、先ほどの返信が返ってくる。
   「Twitter _riko直接呼び出しても来てくれるか不安で……」の文字。
   「話したいことがあるって言って都合つかなかったら、電話でもいいんじゃない?直接だと濁されたりする可能性あるし」と返信。
   すぐに「頑張って連絡してみます」の文字。
   「頑張って。報告待ってるよ」
   と送信。
   そのまま梛木は、着ているツイートに目を通す。
   「失恋しました」、「恋愛ができません」などの文字。
   パソコンのキーボードを叩く梛木。
   部屋の本棚には数冊の恋愛指南書が並ぶ。梛木は恋愛本を一つ手に取り開く。
   開いたページには「ハリネズミのジレンマ」について「傷つくのが怖いという気持ちと相手を傷つけたくない、嫌な思いをさせたくないという気持ちでどちらも傷つかない距離感を保っている」と書かれている。
   梛木は考えさせられるような表情。
梛木「バランス、むず」
   梛木の後ろから、カリカリとゲージをひっかく音がする。
   振り向きく梛木。
梛木「(ニコッと)ん?」
そのままじーっと大福ミを見る。
梛木「(頷いて)うん。うん、うん」
   梛木は開いていた本を閉じる。
梛木「やっぱり太ったよね?」
   大福は背中を向ける。
梛木「だよね?ねえ!」 
   ゲージに駆け寄る梛木。

〇マンション・理子の部屋
   理子は携帯を耳にあてる。
   着信音が流れている。
外の雪は病んでいるが、窓から見える木には雪が積もっている。
   「ガチャっ」という受話器の音。
理子「もしもし、光喜?」
笠原の声「もしもし?どうした」
理子「いや、何してるかなと思って」

〇マンション・笠原の部屋(夕)
   ベッドで横になりながら漫画を片手に電話をする笠原光喜(19)。
   部屋はテレビがついている。
笠原「部屋で漫画読んでたよ」
理子の声「なんて漫画?」
笠原「スノウピリオド」
   窓の外には月。

〇マンション・理子の部屋(夕)
   理子は窓の外を見る。
理子「面白い?」
笠原の声「面白いよ、見てみる?」
理子「見たい!」
笠原の声「いいよ、読み終わったらね」
理子「うん。……あのさ、私話したいことが」

〇マンション・笠原の部屋(夕)
   テレビを見る笠原。
笠原「ごめん、今からブラジル対日本戦見る
 んだよ」
   部屋のテレビから「ブラジル対日本戦、このあとすぐ」とサッカー  中継の予告が流れる。
理子の声「サッカー好きだね」
笠原「サッカー部ですから。今度漫画持ってくよ」

〇マンション・理子の部屋(夕)
   笑顔になる理子。
理子「ありがと」
笹原の声「じゃあまた明日な」
   窓から見える木の上の雪が落ちる。
理子「あ、ちょっと待って」
笹原の声「何?」
理子「私も見る。サッカー」
理子の心の声「違う!」
笹原の声「興味あるの?8チャンだよ」
理子「興味ある、かっこいいよね4番の選手とか」
理子の心の声「違う!サッカーには興味あんまないけど」
笹原の声「そうだね。面食いだね綿矢」
理子「そんなこと」
笹原の声「ねえ、外見てみ」
理子「え?」
   窓の傍による理子。
理子「わあ」
   窓の外には満月が広がる。

〇マンション・笠原の部屋(夕)
   笠原、窓から見える満月を見る。
笠原「月、綺麗だろ」

〇さわら荘・麦田の部屋(夜)
   パソコンを開きながら、ソファでうた
   た寝をしている麦田。
   ハリネズミもゲージの中で寝ている。
   開いたままのpcには「Twitter _riko 
   だめでした」の通知。

〇中央大学・教室(朝)
   教室の席につく理子。
   大きなため息をつく。
   教室の入り口から笠原がやってくる。
   笠原を見て視線を泳がせる理子。
   隣の席に置いた鞄を足元に移す。

〇(回想)マンション・理子の部屋(夕)
   ガチャっと扉が開き、理子の母が入ってくる。携帯を押さえる理子。
理子の母「あんた、先月の携帯代2万でどう
 ゆうこと!」
理子「お母さん、今待って」
理子の母「待ってじゃない!」
   理子電話を急いで耳元に持ってくる。
理子「光喜ごめん、また連絡する」
   理子は電話を切る。
理子「お母さん、ごめんなさい。でもタイミ
 ングがね」
   理子は母に頭をコツンと殴られる。

〇元の中央大学・教室(朝)
   笠原は理子の隣に座る。理子息を飲む。
笠原「おはよ」
理子「おはよ」
笹原「昨日大丈夫だった?」
理子「聞こえてた?」
笹原「いや、何かあったの?」
   ホッとする理子。
理子「急に、あの友達が来て」
笹原「そっか」
理子「あの、昨日サッカーどうだった?」
笠原「見たよ。負けちゃったけど」
理子「そっか」
笠原「今日は授業終わったらなんかあんの?」
理子「今日?」
   首を振る理子。
笠原「漫画貸す?」
   照れくさそうに理子を見る笠原。
笠原「どっちでもいいけど」
理子「貸して!」
笠原「うん、わかった。そういえば新刊も出てるかも。やっぱ買ってから貸すわ」
   理子、がっかりした表情。
   ノートを開く笹原。
   チャイムが鳴り、教室に教師が入ってくる。
先生「おはよう~!授業始めるぞ」
   焦る理子、笹原の袖を掴む。
理子「(小声で)今日時間あったら、一緒に本屋いかない?」
笹原「(小声で)ああ、そうするか」
   理子、何度も頷く。
笹原「(小声で)そしたら新刊、先に見ていいよ」
理子「笹原が見てからがいいの」
先生「綿矢!」
   クラスメイトの視線が集まる。
理子「すみません……」

〇さわら荘・玄関
   玄関の雪だるまが半分以上溶けている。
(続く)

見てくれて有難うございました!



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