パイナップルジュースを飲みながら
先週、ちょっとした出来事があった。
いわゆる学校でヤンキーと言われている子が問題行動を起こした。
1日目は私が授業中だった時だった。
次の日は学校に来ないだろうと思っていたが午後になってやってきた。
彼は到着するなり校長室に言った。
前日に管理職二人で家庭訪問に来られたことに腹が立ったみたいだった。
そういったことをするのをやめてほしいと言いにきた。
でも、校長室にいた時間はそんなに長くなく、出ていく時に壁を蹴った。
そして教頭先生が出てきた。廊下で彼と教頭先生とで話すことになった。
声を荒らげることはなかったが、すごくイライラしていた。
周りに生徒指導の先生がいたので、私の出る幕はないと思っていた。
授業時間に入った時に、大きな音がした。廊下に出てみると彼が教室に一度入って、出るときに何かを蹴ったのか、なんの音だったのか・・・。
彼を探しに階段を上がると、彼がいた。
窓を開けて、そこからひさしの方に出て行った。
私も行こうとしたが、他の先生に「大丈夫だよ」と言われて行くのをやめたが、久しぶりに話したいという思いから、「喉乾いた?」と聞いてみた。うまく反応が聞き取れなく、「ジュース飲む?」と聞いてみた。
すると「飲む」と反応が返ってきたので、急いで職員室に戻りパイナップルジュースを2本持っていき、私もひさしに出た。
ジュースを渡し、色々な話をした。
学校に対する不満や校長先生に自分の気持ちを伝えることができたのかとか、教頭先生はなんて言っていたのか、夏休みはどんなことをして過ごしていたのか・・・。
彼は彼なりに自分の考えを持っていた。
校長先生と教頭先生がなんて言っていたを聞いたがあまり覚えていなかった。
彼の中で印象付けられたことだけは言ってくれたけど、前後の話はよく分からなかったみたい。
広い世界で生きている大人と狭い世界で生きている子ども。
広い世界で生きている大人が狭い世界を見るためには、子どもの思ったことを聞かなきゃ分からない。
傾聴をし、引き出してあげるのが広い世界で生きている大人ができることだと思う。
けれど、大人は初めから全て納得してもらおう、理解してもらおうと思っているのか、分かりやすい言葉で説明をする。大人の世界のわかりやすい言葉で。
それは違う気がする。子どもと同じような言葉を使うこと。同じような言葉を使い、子どもに近い雰囲気を出すことで知ることができるのではないかと思う。
子どもに与えるようにパイナップルジュースを持って飲みながら話すことのように。
もしかしたら、若い私ができることなのかもしれない。
私はジュースを持って話を聞けるけれど、生徒指導の先生の様には言えない。
私は私のできることを果たそうと思う。
これは私の勝手な願いだが、彼は高校まで行ってほしいと思う。
中学だけが世界の全てではない。
もっと違う世界があるし、違う人たちがいる。
諦めないでほしいと思う。
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