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馬鹿みたいにいつまでも

口約束はもう握りしめてなんていない。

それでも、私の憎たらしいほど思い出に染まったプレイリストがmoon dropの「シンデレラ」を流すたびに君を思い出している。

「この曲は元カノと別れた時によく聞いていたんだ」なんて、狡い話じゃないか。
その元カノには「聴く度に思い出す曲」を作っているなんて。

最後の最後に君は、「この曲を聴くと君を思い出す」なんて言って、私のギターを弾いて歌ってくれた。

「シンデレラ」

君にとって私は、そんな存在になれていたのだろうか。
今でもガラスの靴の片方を私は抱いて、眠っているのに。



染めて傷んだ髪をどこに行っても恥ずかしくないように、君が使っていたヘアトリートメントを買ったよ。

今では、私の金髪からあの時の君の香りがする。
抱きしめた時に、君の長い髪と首筋から香る懐かしい匂いがする。

ドライヤーの風が何度も私にあの時の感情、あの時の部屋、あの時の空気、あの時の君を思い出させるから、その度に私はドライヤーする手を止めてしまった。

もう二度と戻ることは無い二年前の冬と、いつまでも変わることの無い私の気持ちがぶつかっては、幾度となくから回る。もう苦しいんだよ。

久しぶりに会った君は、まだ私を想ってるんじゃないかと勘違いするくらいに苦しそうな声で私を突き放した。
どこかにあの頃の私を見てるような、懐かしい声で「ここのセブンイレブン潰れちゃったんだよ」なんて言ってた。

寂しいね、と笑った私に、「寂しいね」なんて返さなくていいよ。覚えていないでいいよ。飲み込んだ言葉はいつも、一人の部屋で涙に変わってしまうのだけれど。


何度繰り返しても分かり合えない二人だった。

タイミングが、とか年齢が、とか。どうしようもないことに理由をつけて逃げるしかないほどに、きっとちゃんと愛し合っていたのだろう。
私のせい、にはしなかった君のことだ。心の内をぶつけられない環境を作った私をいつまでも恨むんだろう。


私にぶつけた「今までで一番好きだった」はいつ更新されてしまうのだろうか。もう、されているのだろうか。
いつか嘘になる言葉を投げつけてこないで欲しい。
私は君みたいに割り切れるほど強くはなかったのに。


泣いた私を見てどう思ったのか、とかそういうのはもうどうでも良くて、分からなかった。ごめんね。



靡く髪が君に染まった。色も香りも。あの頃のまま。

似たような髪型のふたりが、またいつかどこかで笑い合える日は来るのだろうか。来なくてもいいかもしれない。


「会っちゃダメだよ」なんてもう言われ飽きてる。

周りの声も何も届かないくらいに必死に恋していた。
今すぐにでも会える距離に飛んでいきたいくらい、まだ好きだよ。




だから、もう二度と会わない。
片方のガラスの靴は君が、処分してくれ。

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