角田光代さん「薄闇シルエット」の装画にまつわる話
こんにちは。
今日は過去の私の仕事「薄闇シルエット」(角田光代さん長編小説)の
文庫本装画(イラスト)の紹介です。
装画を描く時…まず原稿をじっくりと読みイメージを湧かせ、ラフを複数描きます。
〜「薄闇シルエット」あらすじ〜
「結婚してやる」と恋人に得意気に言われ、反発する主人公ハナ37歳。
結婚を幸せと信じにくいが、自分なりの何かも見つからず…
そんな自分に苛立ち、戸惑うが…ひたむきに生きる女性の心情を描く傑作長編。
結婚、仕事、変わりゆく周囲、自分は何も持っていないと焦る37歳ハナの心情に共感するも…
ハナの友人であり共同経営者であるチサトの
「いくつになったってその人はその人になっていくしかないんだから。きょろきょろ人のこと見てる間にあっという間におばあちゃんだよ」
という言葉が胸に響く。
つい周りと比較してしまうことで生まれる自己無価値観に揺れながらも
自分のやりたくないことはやらない、自分の好きなことにまっすぐでいたいという思いを守り変わらずにその場にい続けるハナ。
「薄闇シルエット」ラフ↓↓
主人公は古着屋さんの経営者であり「洋服」「布」に関する描写も多く、複数のラフを提案しました。
最終的な仕上がりはこちら。
主人公ハナの微細な心情を表すような表現を試みました。
デザインは角川書店装丁室の鈴木久美さん。
久々に再読したこちらの小説。
自分の人生をああでもない、こうでもない、と迷う主人公を自分と重ね合わせ、10年ほど前に読んだ時よりもさらに共感の嵐…。
これからも間違えたら手放して、またつかんで、たとえ時間がかかったとしても…。
自分が納得できるものをたった一つでも見つかればいいんじゃないかと前を向いて、薄闇の中を自分なりに進んでいこうとするハナの
姿にとてもとても励まされました…!
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