大好きなイラストレーター、和田誠

小学生のころ、講談社の文庫を買うと挟まっている、マザーグースのしおりが好きだった。
ちょっとヒヤリとするような、独特の怖さを持ったテキストと、なんだか間の抜けたイラスト。「こんなの私でも描ける」と奢った気持ちでいたけれど、なんだか忘れられない。みればみるほど、なんだかおかしくなってくる。しおりが挟まっていると、なんだか嬉しい。そのイラストを手がけているのが和田誠というイラストレーターだと知ったのは、はてさていつだっただろう。

私にとって、こういうイラストが描きたいな、そう思わせ続けている人だ。
この人と村上春樹が手がけたジャズの本のタイトルをもじって、落語についてのフリーペーパーも作っている最中だった。
みればみるほど、こんなふうには描けないなあ、と悔しくもうれしい気持ちになる。線と色と空間と間抜けさとかっこよさと親しみやすさとかわいらしさと寂しさと。わたしの憧れがぜんぶ詰まった作品たち。

これからもずっとそういう風に追い続ける人なんだと思う。けれど、ちょっとだけ、わたしのイラストも見てみて欲しかったなあと思う。君の絵はばかばかしいなあ、と笑ってほしかった気がする。(和田誠さんが亡くなられたことを知り。何を投稿しようか迷っていたけれど、原点はきっとここだったなと。)

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